弁理士の日々

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大前研一氏の提言

2011-06-23 21:18:35 | サイエンス・パソコン
週刊ポスト2011年6月24日号で、大前研一氏が貴重な発言をしています。

5月23日の衆議院委員会で自民党の谷垣総裁が「55分間の注入中断」について管首相の責任を追求したことに触れ、「果たして、今そんなことを論じている場合なのか?」として、現在の最重要課題2点について主張されています。

原発避難者の帰宅認めぬと毎月1兆円の賠償金発生
『今、政府が判断を迫られている問題は、原発周辺で暮らしていた避難者の帰宅可能エリアとタイミングを見極め、避難の必要性の乏しい住民の帰宅を認めることである。惰性で何となく避難生活を強い続けた場合、毎月約1兆円もの賠償金が積み上がっていくと思っていたほうがよい。そしてそれは結局、東電に賠償能力がない以上、納税者の負担として重くのしかかるのだ。』
大前氏は、避難者を帰宅される放射線量の基準について、上限を200ミリシーベルトに設定することが妥当だと考えています。
『その上で政府がやるべきは、各地の放射線量を正確に測って安全な場 所を見つけることだ。そして帰宅する住民に蓄積線量計を配り、目安の 半分の100ミリシーベルトに達したら報告してもらい、再び避難を希望 する人には援助の手を差し伸べる。そういうガイドラインを周知徹底すればよいのである。』

政府がこの決定をすれば、国民から非難囂々が発せられるでしょう。「それでも断行すべき責任が、政府にはあるのだ」というのが大前氏の主張と思われます。
今の官邸のやり方は、原発から20キロで機械的に円を描き、その内側については、福島市よりも放射線量が少ない地域であっても立ち入り禁止にしています。一方で、健康被害が懸念される飯舘村について避難が始まったのはつい最近ですし、飯舘村の周辺にあるホットスポットに対する対応がやっと始まろうとしているばかりです。

そして大前氏は、もはや福島第一原発で起きてしまったことをほじくり返しているときではなく、原子炉のことは吉田所長に任せて、首相としては二つの仕事に専念すべきだ、としています。

『第一は、前述したとおり、これ以上、無意味に納税者の負担を増やさないために、一刻も早く避難者を安全に帰宅させるための行動を起こす。そして彼らに万全のアフターケアをすること。』

『第二に、13ヶ月毎に定期点検で停止される原子炉が住民感情などで再起動できなくなっている問題を解決することだ。・・・たとえ政府が安全だ、と宣言しても信頼性がない。いかに国民の納得を得ながらストレステストに合格したものについては再起動するか』『今やこの二つが最優先で取り組むべき刻下の喫緊時であるということを、政治家もマスコミも理解しなければならない。』


全くその通りです。
大前氏が重要だとする上記2点については、どちらも、国民からの非難を覚悟しなければなりません。首相たるもの、日本国の将来のためには人気を落としてでもやらなければならないことがある。
現在の管首相は、自分の人気が上がりそうな政策にしか興味を示していません。われわれが最も問題視しているところはそこです。

まずはマスコミが、大前氏の意見に沿ったキャンペーンを実施しなければならないでしょう。
また、自民党も、たとえ人気が落ちると懸念されるとしても、上記2点については政府に要求すべきです。
コメント
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