弁理士の日々

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高橋洋一氏とはどんな人?

2007-12-03 20:56:15 | 歴史・社会
11月27日11月29日に紹介したとおり、財務省の官僚だった高橋洋一氏は、小泉内閣発足当時に竹中平蔵大臣から請われ、官僚在籍のままで小泉構造改革の手伝いを始めます。そして最終的には、官僚が絶対に是認しないような改革をいくつも成功に導きました。高橋洋一氏とは一体どんな人なのでしょうか。

経歴概略については前々回を見てください。

財務省の財政融資資金特別会計から一般会計に拠出するという話は、財務省にとって最悪でした。隠している部分はそれまで知られていなかったわけです。高橋氏から竹中大臣を通じて小泉総理の知るところとなります。これで財務省から官邸に来ている人はメンツ丸つぶれです。財務省の担当者も本当に怒っていました。
しかし高橋氏に言わせれば、その金は役所自身が稼いだわけではない。国民の目から隠しておくメリットは何もない。「お前は組織人ではないのか」といわれても「いや、自分のものではないからだ」としか言いようがない。
「私ごときが悪者になるくらいで改革が進むなら、他の人に迷惑がかからず男子の本懐でしょう。」

アメリカに留学する前、現職の財務官僚だったとき、忠実な財務官僚だったという自覚はありますか、という質問に対して。
「いや、ちょっとない。ただ、それほど周囲と敵対することもなかった。自分の狭い専門的な分野で独自にやっていたという感じです。たぶん、私は理科系(理学部数学科卒)だから、文系の人たちとやや違うのでしょう。文系の人たちには専門性がないのに対し、私は理科系で専門性があるから、組織にこびたり頼るという気持ちはない。もともと数学を専門に学んできたから、ロジカルなことの方が馴れていて、論理を曲げてまでも組織のために何かをやろうという意識はあまりない。根っこが変人なんでしょうね。」
「たまたま私は財務省の理財局に4年間もいて、財投改革などの金融分野には精通していた。」「そういった経験のある官僚が、まったくひょんなことから政治に使われたのが、私が構造改革に関わるようになった過程だったという気がします。」

数学科出身というのは珍しい経歴ですね、との質問に対して。
「大蔵省は話題作りのために、変わった人間を年に一人くらいは採っているんですね。私の場合、学生結婚もしていたから余計に珍しがられました。」「数学は子どもの頃からなぜか得意で、中学生のときには大学レベルの数学もわかった」
「理論的なことには自信があるから、組織に入っても『組織で何とか』とは思わないんですね。」「自分の力で結果を出すことができると、素直に喜んでしまう。」「郵貯が放っておくと十年ちょっとで確実に破綻することや特別会計を洗い直して数十兆円の余り金を見つけたときも似たような感じでした。」

理想の官僚像は?との質問に対して
「決められたことをやる。ただそれだけですね。官僚は政策立案に深く関わると道をあやまります。」「政策立案をやりたいのなら、政治任用になって官僚組織から離れるか、国会議員になればいい。そうすれば、うまくできなければクビというリスクと引き替えに、政策立案ができます。いわばハイリスク・ハイリターン。」「現場の官僚たちはそのように考えず、政治がどんなに代わっても、国を動かすのは自分たちだと内心考えている。リスクは採らないけど、政策立案はしますとうことで、ローリスク・ハイリターン。」

高橋氏には、「官僚主導破壊」などという思想があって構造改革を行ったのではなく、たまたま小泉政権の竹中大臣と波長が合い、うまく歯車がかみ合って高橋氏の能力が発揮されたということでしょう。数学科出身で専門知識が豊富であり、一方で「省益優先」に毒されていなかったのですね。
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