弁理士の日々

特許事務所で働く弁理士が、日常を語ります。

三遊亭円生古典落語

2007-06-16 21:12:05 | 趣味・読書
しばらく所在不明だったカセットウォークマンが出てきました。ZARDの曲がカセットに入っているので、それを聞こうと思って探したのです。

私は三遊亭円生(圓生)の落語全集もカセットで持っています。購入したのは30年近く前、ある年の誕生日プレゼントで家内に買ってもらいました。録音は昭和50年頃になっています。
カセットウォークマンが見つかったことだし、久しぶりに円生を聞くことにしました。

古典落語を聞く楽しみのひとつは、江戸時代の江戸町人の暮らしぶりに触れられることです。

《文七元結》
本所だるま横町に住む左官の長兵衛は、腕は良いのですが博奕にはまり、極貧の生活をしています。博打に負けて帰ってきては女房のお久に八つ当たりします。17歳になる孝行娘が、よく知っている吉原の女将に身売りの相談に行きます。知らせを聞いた長兵衛は女将から、「50両の金を来年の大晦日まで貸す。それまで娘には行儀見習いをさせよう。しかし期日を1日でも過ぎたら、私も鬼になるよ。娘に客を取らせる。」と言い聞かされます。
50両の金を懐に帰る途中、隅田川に懸かる吾妻橋で身投げをしようとする若者を引き留めます。横山町のべっこう問屋の若い者で文七といい、掛け取りの50両をスリに盗まれたというのです。
ここから、2つの話が結びついて物語が進行していきます・・・

《唐茄子屋》
ある商家の息子が放蕩し、親から勘当されます。「お天道様とメシの種はついて回る」と気楽に構えていたもののすぐに食い詰め、揚げ句の果ては吾妻橋から身投げをしようとします。そこに通りかかったのがその放蕩息子の叔父さんで、貧乏して本所だるま横町に住んでいる人です。「いやな奴を助けちまった」とは言いながら家へ連れて帰ります。
叔父さんは、「改心するというのなら、自分で唐茄子を売って歩いてみろ」と放蕩息子に天秤棒で唐茄子を担がせ、行商に送り出します。
暑さと唐茄子の重さに耐えかね、よろけて往来に転げたときに、町内の気っぷの良い兄さんが助けてるれるところが活写されます。

《御神酒徳利》
馬喰町に店を構える旅籠屋は、将軍家から拝領した葵のご紋入りの御神酒徳利を家宝にしています。年末の煤払いの日、大事な御神酒徳利が台所に転がっているのを、主人公である通いの番頭が見つけます。紛失しては大変と最寄りの水瓶の中にしまいますが、そのことをころっと忘れてしまいます。
店では家宝が紛失したと大騒ぎ。主人公は、家へ帰ってから、水瓶にしまったことを思い出します。しかし今更「思い出しました」というのも格好悪い。主人公の女房の実家が占いであり、女房が知恵をつけます。「家内が占いの書物を持っていた。生涯に3回、占いで当てることができる。」と言って、御神酒徳利の有りかを言い当てます。
たまたま宿泊していた大阪の鴻池の支配人がこの話を聞きます。鴻池の娘が病にかかっている。生涯でまだ2回分残っているから、ぜひ占って欲しい、というのです。主人公は女房からも激励され、渋々出かけます。
神奈川の宿に投宿すると、その旅籠で客である武士の密書が盗難に遭い、大変なことになっています。残り2回のうちの1回の占いをしてあげる羽目になります。

神奈川での2回目の占いにひょんなことから成功します。そしてそのお陰で、鴻池での3回目の占いがうまくいき、娘の病が全快します。そのいきさつが、円生の語りでおもしろく語られます。
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現代の東京都中央区日本橋の横山町や馬喰町は、問屋街になっています。江戸時代にも、このあたりは商人の街だったのですね。

身投げ話が2つ有り、いずれも大川(現在の隅田川)の吾妻橋がその舞台になっているところがおもしろいですね。

貧乏人が住む長屋が、いずれも本所だるま横町であるという点も共通しています。
コメント (2)
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