弁理士の日々

特許事務所で働く弁理士が、日常を語ります。

大型展開アンテナ衛星

2006-10-31 22:34:56 | サイエンス・パソコン
テニスコートよりも大きいパラボラアンテナを2つも備えた人工衛星が、日本によって打ち上げられようとしています。技術試験衛星ETS-VIII(きく8号)で、12月16日にH-ⅡAロケットで打ち上げ予定です。
アンテナについては、打ち上げ時には小さく畳んでおき、宇宙空間で展開して大きく広げます。

私の大学時代の同級生がこのプロジェクトの心臓部である展開アンテナに深く関わっていることを知り、注目することとなりました。

ETS-VIIIプロジェクトについてはこちら(宇宙航空研究開発機構(JAXA)/宇宙利用推進本部)です。下記2つの画像もJAXAへのリンクで表示しています。

   提供JAXA

展開アンテナについては次のように紹介されています。
「ETS-VIIIに搭載されているアンテナは19メートル×17メートルという実に大きなもの。大きなアンテナを作る技術は、日本のETS-VIIIを含めて世界に3例しかありませんが、その中でもETS-VIIIのアンテナは、現時点で世界最大級です。
テニスコートがすっぽり収まってしまうほどのこのアンテナは、打上げ時には折り畳み傘のようにたたまれて、直径1メートル、長さ4メートルほどのコンパクトな状態で収納されます。そして打上げ後に宇宙空間で切り離され、まるで花が咲くように美しい大きなアンテナを展開するのです。」

   提供JAXA

実はこの展開アンテナが宇宙空間でうまく開くかどうか、つい最近展開アンテナの小型部分モデルを搭載したロケットが打ち上げられ、宇宙空間での予行演習が行われたのです。そして無事大型アンテナは宇宙空間で展開しました。そのときの様子はこちらです。
このページのアンテナ鏡面展開(20倍速)[WMV9.22MB] をクリックすると、宇宙空間での展開の様子を動画で見ることができます。こんな複雑な機構が、よくもうまく作動して大型パラボラアンテナに仕上がるものです。
この試験に成功したことを受けて、12月16日の本番打ち上げが決定されたようです。

通信衛星を経由して無線通信を行う場合、静止衛星であれば1個の衛星で事足ります。ただし静止軌道に乗せる、つまり衛星の自転周期を24時間とするためには、遙か上空に衛星を配置しなければならず、携帯電話程度では遠すぎて静止衛星と通信することができません。携帯電話と人工衛星とで通信するイリジウム計画がありましたが、これは低空を飛ぶ非静止衛星をたくさん飛ばすというものでした。
しかし衛星のアンテナさえ大きくすれば、静止衛星でも携帯電話と通信することが可能になるのだそうです。今回の大型展開アンテナは、そのためのアンテナだということです。

H-ⅡAロケットの打ち上げ成功と、きく8号の大型展開アンテナの展開成功とを祈っています。
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