豊後ピートのブログ

元北アルプス槍ヶ岳の小屋番&白馬岳周辺の夏山パトロールを13シーズン。今はただのおっさん

登山道の管理責任 その3

2007年02月07日 | 山ネタ そのほか
奥入瀬渓流訴訟について調べているうちに、こんな記事を見つけました。


JANJAN
雲取山クリーン作戦に参加して


この記事の後半に、以下のようなことが書かれています。

山荘に泊まった翌日、来合わせていた都の自然公園管理者に、帰路に修理すべく伺ったところ、山梨県の管理領域ゆえ、手を出すなとの指示。
 これは今年の4月、奥入瀬渓谷の遊歩道で枯落木に当たって重傷を負った女性が、国と県の管理責任を問うて、訴訟を起こし、結局、国・県が敗訴し損害賠償を払う羽目に……。以来、登山道の危険箇所にロープを張るのも、既存の桟橋を修理するのも、すぐには出来なくなりました。下手に触ると管理責任を問われるからです。でも放置した方がはるかに危険なのに……、矛盾してます。



雲取山はウチから近いので、30回以上は登っている山です。身近なところに影響が出ていたので、ちょっと驚きました。


登山道整備は大がかりなものもありますが、山小屋の人や地元の関係者が「ちょろっと」山に登って作業してくる程度のことが多いのです。いちいち関係機関の許可なんて取りません。



私が関わっている「登山道整備」に、白馬大雪渓があります。雪渓上に赤いラインが引いてある、アレです。

大雪渓は雪のルートですから、夏の間にクラックができて通過できなくなったりします。そうなるとラインを変更せざるを得ません。また葱平の取り付き付近は雪渓の後退にともなって雪渓が崩壊しますから、まともに通行することができなくなります。そうなるとあらかじめ用意されている「秋道」へと登山道を変更します。ラインを検討するのはこの道ウン十年のベテラン連中ですが、私も沢に橋を架けるなど、お手伝いによく行きます。この秋道も雪が豊富に残っている間は沢筋から落石の危険があるので、シーズン最初から通すワケにはいかないという問題があります。

また大雪渓の上部にある小雪渓も、雪が後退するにつれてラインを変更します。

夏の間、私はこのような作業に従事するのですが、当然、現場の判断だけでやります。しかし、これをもって「管理責任」を問われるとしたら、とてもではないですが恐くてできません。ただでさえ、落石が飛んでくるような場所で弁当を食っているような人が多いのですから。


奥入瀬渓流の訴訟を受けて、今年あたりは私の夏の仕事にもなんらかの影響があるかもしれません。


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