今日のひとネタ

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今週は「約束」です

2012年08月26日 | 映画

 最近の日本映画専門チャンネルは平日に毎朝同じ映画を1週間ずつ続けてるようです。先々週は「連合艦隊」で先週は「八甲田山」。暑い日に「八甲田山」を見れば涼しくなるかというとそんなことはないので見なかったのですが、今週のは見ます。何かというと「約束」。

 主演は岸惠子さんとショーケンですが、番組サイトによると「結ばれるはずのない二人が列車で出逢い、儚くも運命的な愛を育むメロドラマ。人気歌手から俳優に転身したばかりの萩原健一の奔放だがまっすぐな演技と、映画女優として名を馳せてきた岸恵子の風格すら漂う佇まいが、何もかもが正反対ゆえに惹かれ合うワケありの男女役に見事にハマり、極上の恋愛映画となった。」というもの。1972年の作品で私は30年くらい前にテレビで一度見たことあります。

 私は萩原健一氏の「ショーケン」という本を愛読しているものですが、そこにこの映画の話もあります。それによると、彼はこの当時映画作りに関わりたいということでこの映画にはサード助監督という立場で参加したのだとか。俳優の付き人からお茶汲みのようなことまでやらされたそうですが、将来自分の映画を撮るための勉強だと思ってたそうです。

 ところが主演女優が決まらず、最初の予定の岩下志麻さんが他の映画に出演するというのでダメ、次の岡田茉莉子さんが松竹ともめててダメ、倍賞千恵子さんはキスシーンに難色を示してダメで、その他10数人とは低予算の関係でギャラが折り合わずすべて断られたとか。やっと見つけた中尾ミエさんは監督がダメ出しし、その次の園まりさんもダメ。そうしているうちに先に男役に決まっていた中山仁さんが怒り出して降板したのだとか。

 そこでショーケンのアイディアでパリにいる岸惠子さんにダメ元で台本を送ってみたら気に入って貰ったらしく、とはいえ男優がいないのでどうしようかとさらにダメ元でショーケンの写真を送ってみたら「この方はわたしには若過ぎるのではないでしょうか。」という反応だったものの、実際会ってみたところ出演を承諾してくれたのだとか。その後も岸さんの運転手をやったり衣裳選びにデパートに付き合ったり、とにかく気持ちよく出演して貰うために大変だったようです。一時期デキてたなんて噂されてたそうですが「それはない」そうです。なぜならこの当時彼は笵文雀さんと付き合ってたからだそうで、さすがにもてますね。

 この映画では共演した三國連太郎さんに「俳優というものはただ脚本に書いてある通りに演じるだけではいけない。自分なりに考えて、工夫をして、より良いものにしていこうという姿勢が大切なんだ」と教わり、いろいろアイディアを出したそうです。この言葉がのちのショーケンの礎になったと言ってもいいのだとか。ちなみに三國さんとのシーンでは撮影の前に「決して手加減せずに殴るからね。ゴメンね。許してね」と伝えられたとか。撮影では本当にボコボコにされつつ一発でオーケーだったそうですが、今回はそういうところにも注目したいと思います。この本ではこの映画について7ページほど割いてるのでかなり思い入れあるのでしょう。この映画は1972年のキネマ旬報ベストテンの第五位だったそうです。

 ということで、この映画にも注目ですがこのショーケンの本もお薦めです。この映画だけじゃなくて「太陽にほえろ」とか「傷だらけの天使」とかの現場での工夫とか苦労は本当に読み応えあります。大麻だとか麻薬とか女性関係のスキャンダラスな部分ばかり注目される本ではありますが、実際映画やドラマ作りの部分が面白いです。興味ある方は是非お読み下さい。