silly ski squadronスキー雑記

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ライゾデグはこう使え!

2016年03月08日 23時17分36秒 | スキー・自転車・糖尿・メタボリック
なんていう上から目線なタイトル。。。
まだ10数例しか使っていないのですが、それでも使いどころがある程度分かってきたので少しでも臨床家の皆さまのお役に立てばという気持ちで書いてみます。
この特殊な混合型インスリンが出ると聞いた時は正直、どう使えばいいだろうかと頭を悩ませました。
当初は以前のエントリーのような使い方くらいかもと思っており、そんなに対象になる方は多くないだろうと思っていましたがそうでもない。単刀直入に書きます。

1:BOTで抑えきれない大きな血糖スパイクがあるケース(Novoさん曰くところのBig Mealとは限らない。摂取E量は少なくともCの割合が多く早く食べないといけない朝食後が一日中で一番高いスパイクが認められることも多い)
2:中間/超速効の混合型の2回打ちで、コントロールが悪い、低血糖が頻発するケース
3:高齢化や介護関係でインスリンを今までのように1日3~4回打てなくなってきたケース
4:1型でも昼食時に事情があって打てない場合に一日二回(前向きな使用法ではないですが)

まだ他にもいろいろあるでしょう。
そこで絶対にライゾデグを使うにあたりやっていただきたいことがあります。
そんなの測るの当然だよと思われる先生方も多いと思いますが、意外にPPG(postprandial glucose=食後血糖)が測定出来ていないケースが多いので、HbA1cやGAが予想されるより高いと感じた場合は再度SMBGの見直しをしてみてください。
実例を挙げますとFPG(fasting plasma glucose=空腹時血糖)は100mg/dL前後と文句なし。低血糖もない。
でもHbA1cは7.5%であるとかそういう場合ですね。
頑張って休日などを利用して各食前・各食後を測定してもらったところ、各食後とも250~300mg/dLまで上がっている。
この方はデグルデクとDPP-4阻害薬+メトホルミンの組み合わせでPPGの抑制も出来ていたと思っていたのがそうではなかったのですね。
若い方であったのでデグルデク一回打ちでは血糖コントロールが十分でなく、将来合併症のリスクが高まること、インスリン分泌能が低いので内服薬ではPPGの抑制が困難なことを説明し、納得されたのでライゾデグ朝夕2回打ちとしたところ、綺麗にPPGは下がりました。

最近は高齢の方でも持効型インスリン+GLP-1製剤(一日一回であれ週一回であれ)を併用せざるを得ないケースが多くなっていることは真面目に臨床に取り組んでおられる先生方はよく知っておられると思います。
そういう時、FPGは低いのにやたら夕食後PPGが高いパターン。またはその逆の朝食後血糖だけやたら高いというパターンもあります。
そういう時にライゾデグを用いると非常に改善することが多いです。

どうしても頻回のSMBGは嫌だと仰るかたは多いと思います。そこを測定するように納得していただくのが専門医の仕事ではあるのですが、無理なこともあります。
そういう場合はせめて受診日当日はFPGを測定して来ていただき、食事をして1時間半を目安に来院してもらいます。
受付にもそう伝える。○○さんは今日は食後時間指定できてもらっているので採血だけは順番前に回すように。
さすがに当日の朝食は皆さん覚えておられますので、摂取内容を詳細に聞き取ってE量、C量を計算する。これとPPGの値を組み合わせるとカーボカウントですら予測できます。
小生の診療所は京都市ですので診察時間は午前診と夜診に分かれています。近畿エリアはこのパターンの診察時間が多いので、夕食後に来ていただきPPGを測定することができます。
これ、メリットですね。
いずれにせよ、PPG測らないとライゾデグは使えないしどこで使うかも分からないでしょう。
こういうことをやっていると、自然とどこに超速効型を落とし込めばいいかが分かります。

さて一個だけライゾデグを使うべきではないケースを。
はいもうお分かりですね、タイムワーカーの方やどうしても一定の時間にインスリンが打てない方です。
こういうケースはデグルデクのような非常にのんびりとした持効型から超速効型が混じったライゾデグに変えるべきではありません。
デグルデクは食後であろうと寝る前であろうと、どの時間でも一日一回打てれば良いというケースの方に用いることも多いので、そこをライゾデグに変更すると食前に打たなければならないという縛りからデグルデク本来の良さが消えてしまいます。
それだけは避けたほうが良いでしょう。

あともう一つ。
ライゾデグ(デグルデクもですが)を開始する時は結果を急いではいけない。このベースになるインスリンの血中濃度上昇は非常に遅いので、患者さんには「3日間ほど空腹時血糖が上がってしまいますがあまり気にしないでください」とあらかじめお話しされると良いでしょう。
小生はインスリンに限らず、新しい薬剤を用いる際には低用量とし、併用薬も減らす安全第一主義なので「来月のHbA1cはちょっと上がってしまうかもしれませんけど調整して必ず良くなるので慌てないでください」と最初から言っておきます。
ご参考までにm(_ _)m
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