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読書感想「長女たち」

2017年10月16日 12時12分35秒 | 乱読本感想
長女たち

篠田 節子
新潮社 2014年2月21日


★4
2017年10月16日 12:12

“認知症、介護離職、孤独な世話”“ 恋人もキャリアも失った。母のせいで”と帯に。
ちょっと重いのかな。
でも“希望”の文字も見える。
篠田節子に描かれる“長女”はどんなんだ?の興味で読み始める、3編。
最初の「家守娘」からして、もう、長女あるあるのオンパレード。
最後の「ファーストレディ」も、どちらも親の期待と甘えと言う呪縛に縛られている。
長女の私としては苦笑い。
苦笑いでいられたのは、私にとってそれは過ぎたことだったから。
実、義理の親、4人を既に見送った余裕、と言っておこう。
だが、今、まっただ中の人、これからそれを向かえるかもしれない人にとっては人ごとではないだろう。
長女は彼女たちのような生き方をしてしまいがちだと、長女の私は思う。
それが良いのか悪いのか、善悪ではないだろうが、長女的気質の人間が客観的に自分を見られる機会になれば良いなと思う。
前後は縛られた長女の話だが、真ん中は・・・
「ミッション」読み始めて何だかデジャヴ。
昔読んだ篠田さんの「弥勒」の世界だ!
その中で語られる“長女”は?
もちろん長女は出てくるが、前後の2作とは様子が違う。
インドの北の方の山地、過酷な自然しかない地域に日本から行った医師。
彼女は長女ではあったが、ある意味“長女”を捨てた人であった。
医師からみれば酷い生活環境の中で暮らす人々だが、そこに悩める“長女”はいない。
生きて働いて死ぬだけの人々の生活に介護の為の“長女”は必要ないのだ。
私は田舎で育った古い人間なので、この世界感は理解できる。
進んだ医療の恩恵を受けここまで生きてきたが、むしろこっちの生き方がしっくりくる。
これからの日本、どうする?
篠田さんの言わんとすることはここにあるのか!?


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