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「物乞う仏陀」感想

2016年12月12日 13時58分57秒 | 乱読本感想
「物乞う仏陀」
石井 光太
文藝春秋 2008年6月10日

2013年09月30日 20:00
★4
久しぶりのノンフィクション。
帯の文章を読み、裏の説明文を読む。
路上で物乞う人たち、アジアの底辺に居る人たちのルポのようだ。
こういうのを読むのはちょっとしり込みをしてしまうけれど、『知るべきだ!』という義務感に苛まれ、買ってしまった。
読まなければいけないと思うと、以前、それはノンフィクションだったけれど、梁石日の『闇の子供たち』を読んだ時の気持ちがよみがえってきた。
エグくてグロくて、怒りを覚えてもどうすることもできない無力感、絶望感。
覚悟を決めて読み初めた当初は思ったほどではないなと。
カンボジア、ラオス、タイ、ベトナム、長く内戦がありその後遺症が残っている為の貧困が原因のような気がして、いつかは変わっていくだろうというホンの少しの希望がみえた気がしたからなのか。
ミャンマー、スリランカ、ネパール、神がいる。
信じるモノがある。
傍から見ればそれは神ではないと思うけれど、彼らにとっては一縷の希望なのだろうと感じられたからなのか。
『闇の子供たち』程ではなかったなと思った矢先のインド。
これはもう・・・
カースト制の弊害などの記事を最近読んでいたのに、IT産業が脚光を浴びている国というイメージが先行していたためよけいに衝撃が大きかった。
このインドの、ある町の人々をどうしたらいいのか。
赤ん坊をさらい、物乞いの道具として使う。
赤子でなくなれば手や足を切り落とし、より憐みをさそうようにして物乞いをさせる。
臓器を切り取る。
売春をさせる。
搾取する人もかつては捨てられ、さらわれた人。
その上にも、またその上にも搾取される人がいる。
『人』と書いたが、どこからが『人』なのだろう?
人が人ではなくモノ、もしくはモノ以下のそこには何の希望も見いだせなかった。
国という機能がここに存在しているのだろうか。

最後に筆者のあとがきがあるのだが、インドのことには触れられていない。

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