徒然なるままに、一旅客の戯言(たわごと)
*** reminiscences ***
PAXのひとりごと
since 17 JAN 2005


(since 17 AUG 2005)

JAL1935/21JUN HNDOKA KIX Divert 続報

珍しいところがぶっ壊れたようですね。記事にも書かれているように、エンジン内部の高圧タービンブレードは、そう簡単に壊れる部分ではありません。
米国 Pratt & Whitney 社は、可及的速やか且つ徹底的に原因を調査し、FAA: Federal Aviation Administration (米国連邦航空局)に報告。FAAもそれを受けて、必要とあらば、 AD: Airworthiness Directives (耐空改善命令)を発行してもらいたいものです。

我が国で Boeing777 を運航している航空会社は、全日空、日本航空(合併した日本エアシステムを含む)の2社だけですが、世界的に見ると、 Boeing777 は最新鋭の双発機としてどんどん導入が進んでいます。
ただ、今回の事例は、米国 Pratt & Whitney 社の PW4090 エンジン(念のため、PW4077, PW7074 〔これらは最初に型式証明を取得した PW4084 の出力を減じた型〕も検査対象にして欲しいと思うのですが)の問題でありますので、Boeing777 でも当該エンジンを搭載していない機体はまず関係ないと言ってよいでしょう。

日本の航空会社では、Boeing 777-200 型には PW4077, PW4074 が、Boeing 777-300 型には、今回の PW4090 を使用しています。タイトルの写真は、機体番号 JA008D (旧日本エアシステムのレインボー・セブン)の左主翼エンジン( No.1 Engine )で、このエンジンは PW4074 です。

PW4090 エンジンを搭載している機体は、日本航空では、機体番号が JA8941, JA8942, JA8943, JA8944, JA8945, JA751J, JA752J の計7機。全日空では、機体番号が JA707A, JA708A, JA709A, JA710A, JA751A, JA752A, JA753A, JA754A, JA755A, JA765A, JA757A の計11機です。我が国に登録されているこの他の Boeing777 は、PW4074, PW4077 型のエンジンか、米国 General Electric 社の GE90-94B, GE90-115B を搭載しています。
日本航空が国際線に投入している、Boeing777-200ER, -300ER は、この General Electric 社のエンジンです。
一方、全日空では Boeing777-200ER に PW4090 を用いています。それらは機体番号が JA707A, JA708A, JA709A, JA710A の4機です。

Boeing777 の場合、機体番号は垂直尾翼付根のやや下、最後尾ドアの後ろに下の写真のように

Reg_No_at_Tail

ペイントされて(機体の両側にペイントされています)います。(この写真は RJTT 羽田空港での JA8977 )

と同時に、整備さんやグラウンドさんが識別しやすいようにとの意図かと思うのですが、ノーズ・ギア・ドア部分にも、その一部を抜粋してペイントする習慣があります。下の写真は、RJFF 福岡空港に駐機中の全日空の Boeing777-281 機体登録番号 JA701A です。

JA701A_at_RJFF


こちらの方が、ターミナルからや搭乗時には見やすいかと思います。



さて、日本航空の Boeing777-200ER (国際線に使用している機材です)のエンジンは GE90-94B なのに、全日空の Boeing777-200ER (こちらも国際線に使用している機材です)のエンジンが PW4090 と異なるのは何故?、と疑問をもたれた方もおられるでしょう。
Boeing 社では、777の導入時から、エンジンとしては3つの会社から選べる選択性をとっています。その3社及びエンジンとは;
-米国:Pratt & Whitney 社 PW4000 シリーズ
-米国:General Electric 社 GE90 シリーズ
-英国:Rolls-Royce 社 Trent800 シリーズ
です。

日本航空は、国際線用の -200ER の導入に際し、そのエンジンを「米国:General Electric 社 GE90 シリーズ」としてボーイング社に発注しました。一方、一足先に777を国際線投入していた全日空は、多分整備パーツや設備一貫性も考慮してのことでしょうが、-200ER のエンジンを「米国:Pratt & Whitney 社 PW4000 シリーズ」として発注した経緯があります。

その後、Boeing 社は、長距離向け発展型の -300ER ではエンジン選択性を止めて、エンジンは「米国:General Electric 社 GE90 シリーズ」だけにしました。
よって、全日空・日本航空共に所有している、-300ER のエンジンは、米 General Electric 社の GE90-115B となっています。

異音の原因、高圧タービン破損 日航機緊急着陸 (朝日新聞) - goo ニュース
  今月21日に羽田発那覇行きの日本航空機(ボーイング777型機)の左側エンジンから異音がしたとして関西空港に緊急着陸したトラブルで、この左側エンジン内部の高圧タービンが破損していたことが、24日、国土交通省などの調べでわかった。同省は過去、同様の破損事例は確認できないとしており、エンジンメーカーがある米国の連邦航空局(FAA)に原因究明などを要請。また、同じエンジンを搭載したすべてのボーイング777型機を点検するよう、日航と全日空に指示した。

 日航のエンジン整備専門チームと国交省大阪航空局の航空機検査官が22日、関西空港で実施した内視鏡によるエンジン内部の検査で明らかになった。

 国交省によると、破損していたのは、エンジンの燃焼室後部にある二つの高圧タービンのうちの片方のタービン。ニッケル合金製で羽状をしたタービンブレードと呼ばれる部品の一部が破損し、その破片により、さらに後部にある低圧タービンも一部欠けたり、傷がついたりしていた。高圧タービンは、燃焼室から排出された高温高圧のガスのエネルギーをエンジンの回転へと転換する働きをする。

 エンジン内部の破損はあまり例がなく、中でも高圧タービンが破損したような事例は極めて珍しい。国交省の担当者は「バードストライクのように異物が外部から入ったとは考えにくく、耐久性など構造的な問題があると思われる」と指摘。国交省の要請を受け、米国FAAはエンジンメーカー「プラット・アンド・ホイットニー」に原因究明を求める。

 同エンジンを搭載するボーイング777型機は、日本航空で7機、全日空では11機使用している。国交省は、エンジンの高圧タービン部分の点検の徹底を指示。トラブルを起こしたエンジンは、成田空港に運び解体した上で、さらに詳しく調べるという。
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