2012年 03月 30日 14:32 JST ロイター
●年後半に日経1万2500円、業種超えた再編に注目
<岡三証券 日本株情報グループ長 石黒英之氏>
足元の市場環境は年初から大きく変化した。第一の要因が欧州不安の後退だ。昨年12月末と2月末に2度にわたって実施した欧州中央銀行(ECB)による合計1兆ユーロの資金供給により、欧州各国の国債利回りが低下し、欧州財政問題が鎮静化。海外投資家を中心にリスクオフからオンの動きに切り替わった。
加えて円安基調へのトレンド転換が第二の要因。日銀による追加金融緩和と東日本大震災からの復興に絡む財政出動の2つがデフレ解消へのドライバーとなり、日本株の上昇を支えた。ドル/円に限ってみれば米景気の回復も円安要因だ。
新年度の日本株式市場20+ 件はリスク要因が後退したことで下値不安が解消され、堅調な展開を想定している。目先は引き続き円安が日本株を押し上げるだろう。4月には日銀による追加緩和が期待され、国内金利が低水準にとどまる一方、良好な米経済指標を背景とする米金利上昇により、日米金利差が拡大し、一段と円安に進むことで日経平均は1万1000円程度まで上値余地があるとみている。
その後は4月下旬から5月にかけて短期的な株価のピークアウトを迎える公算が大きい。国内企業の経営陣がまだ慎重姿勢を崩しておらず、2013年3月期見通しが保守的となるためだ。来期は最終利益で前期比65%増を見込んでいるが、会社計画ではそこまで強気な見方にはならないだろう。
5月にフランス大統領選やギリシャ選挙を控えていることも不透明要因となる。ただ調整しても値幅にして1割程度にとどまるとみており、下値は限定的。調整一巡後は年後半にかけてじり高基調となり、日経平均1万2500円程度までの上昇が期待される。 企業面では再編がポイントだろう。それも業界内再編ではなく、製造業と非製造業との融合など業種を超えた再編だ。
例えばソフトバンクやNTTなどの通信業と、自動車やハイテクとの資本提携は国内企業に対する海外勢の評価を高めるとみている。こうしたイレギュラーな再編が起これば日本株はさらに上値余地を拡大させるだろう。 来年度末までの日経平均のレンジは9500円─1万2500円とみている。
●業績上振れ期待出れば、年末に日経1万2000円も
<マネックス証券 チーフ・ストラテジスト 広木隆氏>
株価水準を決めるのは企業業績次第であり、これをサポートするのが為替だ。新年度の業績は大幅増益、V字回復が期待できる。長らく続いた円高局面で企業は採算点を徐々に切り下げてきた。足元の想定為替レートは1ドル=77円台。足元の為替水準はこの想定レートから相当、円安に触れており、業績の上振れ期待が出てくる。
市場がこれを評価していくことで、日経平均株価の上値余地は大きい。 ただ、4月からの決算発表では、力強い見通しというよりは、保守的な見通しになるだろう。企業側は為替のトレンド転換について判断しかねているところもあり慎重になっている。
新年度のシナリオは、日本株は季節性からすると、前半が強く秋に弱いというのがパターンだ。新年度のV字回復業績を織り込み、4─6月期に震災前の高値をクリアする1万1000円程度を付けるのではないか。その後は目標達成感から調整もあるだろうが、年度の後半にむけ、再び業績の上ぶれ期待が出てくると、株価水準を切り上げ年末には1万2000円もありうるとみている。
新年度のレンジは高値で1万2000円、下値は9500円。ドル/円の為替レートは80円─90円程度とみている。 来週からは名実ともに新年度入りとなるが、今期の決算発表が終了するまでは、新聞等の指標欄は今期見込みで算出したものが出ている。今期業績でみるPER(株価収益率)は依然高いが、期代わりすることで、市場に対する見方も変わってくる。
●来年には米財政緊縮、上値めどは日経1万1000円
<みずほ総研 シニアエコノミスト 武内浩二氏>
日銀による追加金融緩和以降、株価のレンジは上振れしているが、このまま順調に上値を追う展開になるとはみておらず、日経平均でみて1万円前半を中心とした値動きと予想している。新年度前半は1―3月期の株価押し上げ材料を織り込んでしまい、上値の重い展開が続く見通しだ。
年度半ばから後半にかけては米金利の緩和期待から日本株も堅調地合いとなる。しかし上昇は限定的だろう。米国経済の成長率が高まり、翌2013年には財政緊縮に向かうため米株も下落するとみている。日銀には引き続き緩和圧力がかかりやすいものの、米金利も緩和を継続する見通しで外為市場で一方向に円安に向かうとは考えにくい。ドル/円は80円前半で推移すると予想する。
欧州財政危機については解決への動きが鈍くリスクオンとはならないのではないか。こうした外部要因から日本株の上昇も限定的だろう。政治もリスク要因だ。国内政治に関しては消費税引き上げが焦点で、法案が成立しないと海外勢による日本株買いが後退するとみている。
さらに、原油価格上昇への懸念もある。新興国経済は現時点で金融緩和モードだが、インフレを意識して引き締めに転じれば相場にブレーキがかかる。米原油先物が1バレル=110ドルから120ドルに向かう展開になってくれば、国内企業の収益にも影響が出てくるだろう。 来年度末までのレンジは日経平均で9000―1万1000円を予想している。
●ドル/円、年後半に80円割れを試す可能性も
<ブラウン・ブラザーズ・ハリマン 外国為替部 シニア通貨ストラテジスト 村田雅志氏>
2月から3月半ばにかけてドル/円は84円台まで急ピッチに水準を回復したが、年初のマーケットが想定していなかった2つのことが起きたことが背景にあった。米景気がマーケットの期待よりも回復を遂げたことと、日銀の金融政策スタンスがマーケットにわかりやすい形で変わったことだ。日銀は2月に「中長期的な物価安定の目途」を導入したが、英訳では「goal」を用いた。米連邦準備制度理事会(FRB)と同じ言葉を用いたことで、英語圏の人々にも緩和姿勢の強化がクリアに伝わった。
来年度のドル/円の予想レンジは80―85円。4―6月は上方バイアスの方が強く、日銀の追加緩和期待や米景気回復への期待感の持続で底堅い推移を見込む。ただ、ドル/円の上昇は続きにくく、来年度末に90円までの戻りは期待しにくい。来年度末時点の予想レートは85円だ。
円高につながる要因として2つ想定している。第一に、ユーロ圏の債務問題は抜本的には何も解決していない。年後半にかけて金融市場の緊張を再び高めるリスクがある。年前半にはユーロ圏各国で重要な選挙が控えており、結果次第では各国の現体制が変わる可能性がある。選挙リスクも考えると、ユーロ圏にまつわる緊張が緩和に向かう展開は見込みにくい。
一方で、米景気が2012年を通じてマーケットの期待を上回るペースで回復を続けるのも難しいだろう。米景気に対する期待を失望に変える指標が出てくる可能性がある。弊社ではFRBの量的金融緩和第3弾(QE3)はないと予想しているものの、市場で期待が高まればドル安の流れが再燃するおそれもある。
ユーロ圏の問題や米景気に対する懸念、さらには中国景気への警戒感で年後半に80円割れを試す可能性もある。
●4─6月期に円安シナリオ見直しも
<みずほコーポレート銀行 国際為替部 マーケット・エコノミスト 唐鎌大輔氏>
来年度77─85円のレンジで、3月末は81円を予想している。レンジ上限の85円をみてもわかるように、一度は年初来高値はつけるだろうが、そこまでだろう。貿易赤字になっている以上、円の買い手が減っていることは間違いないが、2カ月間の8%程度の上昇は早過ぎだ。この背景にあったのは、JGB(日本国債)はもうだめだとか、日銀は変わったとか、米国経済は大丈夫だとか、そういったものだが、これらは全て4─6月期に見直しが入ってもおかしくない。
例えば、日銀については、今は消費者物価1%に上昇するまで何でもやってくれるのではないかという空気があるが、そんなものは実際はない。次の一手としてデュレーションの長期化まではあり得るだろうが、外債購入や国債引き受けといったドラスティックことをやるとは考えにくい。海外勢は今までとは違う日銀像を持っているが、実際は現実的な政策運営をするだろう。いずれかい離が生じて、円安相場にブレーキがかかる。
貿易収支も、昨年よりは断続的な黒字があるはずだ。この結果、意外に日本の対外経済部門は大丈夫なのではないかというムードになると、これも円の再評価につながりかねない。 米国についても、例えばこの1─3月期のダウ平均.DJIの上昇が4─6月、7─9月も続くのかといえば、チャートを見ればやはり無理だろう。
これまでの米国は、在庫を積み上げる動きの中で、結構成長してきた。10─12月期の米成長率のほとんどが在庫投資だったわけで、これからは在庫に見合った出荷が出ているかを見ていかないといけないが、本当に出ていくのか。所得はそれほど増えておらず、例えばいま自動車が売れているのは、今まで我慢してきた分が表に出ているだけで、一巡するとどこかで踊り場を迎えるのではないか。
●米国は低金利政策維持、ドルの持続的な上昇見込めず
<JPモルガン・チェース銀行 チーフFXストラテジスト 棚瀬順哉氏>
2月14日以降、日銀の予想外の追加金融緩和を受けて、日経平均株価がアウトパフォームした。日経平均と円の間には強い逆相関関係があり、円はアンダーパフォームした。ただ、長い目で見れば、ドル/円の上昇には限界がある。ファンダメンタルズが弱いドルが持続的に上昇するためには、米国の短期金利が相当上がる必要があるが、米連邦準備理事会(FRB)が当面低金利政策を維持することが予想される中では、ドルの持続的な上昇は見込めず、結果、ドル/円の上値が重くなるというシナリオは変えていない。
海外を中心に日銀の追加緩和に対する期待度が高く、目先はいったん上を目指すかもしれないが、その後は徐々に上値が重くなっていくだろう。3月15日に予想を変更したときに比べて欧州の状況が悪くなってきている感じがあり、これだとリスクオフで円買いになる。米金利の上昇モメンタムも弱い。
10年債で2.5%くらいまで上昇するとみていたが、行かずに戻ってきてしまっているので、これらを踏まえると、ドル/円も変更時に思っていたほどは上昇しないリスクが高まってきているかもしれない。われわれは年央に86円までいくと予想しているが、もしそこまで行かないで上値が重くなるのであれば、3月に予想している82円もそのまま切り下がる可能性がある。
●長期金利0.8─1.4%、日銀の緩和姿勢は継続
<バークレイズ・キャピタル証券・チーフストラテジスト 森田長太郎氏>
年度を通した長期金利は0.8─1.4%のレンジを想定している。年初からの動きで、日米の景気回復、欧州危機の鎮静化、株価上昇は想定通りだ。サプライズは中国景気。景気が下振れているわけではないが、底入れ時期が後ずれしている。世界景気の回復に向けて中国がドライバーとなる段階は終わりつつあるが、中国景気の弱さが世界景気にマイナスの影響を与えることは否定しない。もっとも、先進国もバランスシート調整が進んでいる。先進国の成長率は高水準に戻ることはないが、緩やかなペースを維持していくだろう。 緩やかな成長ペースだけをとらえるのであれば、金融政策が引き締め方向に舵(かじ)を切ることも考えにくい。
日銀はむしろ、デフレ脱却に向けて取り組んでいるというアナウンスメント効果を狙って、追加緩和を打ち出してくるだろう。4月、5月に追加策が決定されても不思議ではない。資産買入目標の目途を12年末に設定しているため、今秋以降に資産買入のロール・オーバーとともに、追加策の議論が活発になる可能性もある。 低金利を踏まえると、投資家は買いをちゅうちょする可能性がある。一方で、2年続けて期初の金利水準を上回って推移していない残像が市場参加者にある。
年度を通じてキャリーを取っていかないとリターンを得られにくいため、買いから入る動きも出てくるだろう。一定の買いを市場が吸収すれば、その後に調整局面があるかもしれない。昨年の欧州危機におけるテールリスクに対する警戒感から、金利は下振れて推移してきた経緯があり、何らかの材料をきっかけに修正が起こる可能性がある。
●長期金利、7月以降は緩やかに上昇
<SMBC日興証券 チーフストラテジスト 末澤豪謙氏>
10年最長期国債利回り(長期金利)は4─6月は低位安定、7月以降は緩やかに上昇するとみている。欧州債務問題における欧州安定メカニズム(ESM)など安全網の再構築に成功するかどうかを6月まで見る必要があること、国内では4─6月は期初のため、金融機関の国債の積み増しニーズが強いことが背景にあり、4─6月の金利は低位で安定する見込み。投資家はキャリー・ロールダウン収益を狙う上で、年度前半に積み増しニーズは強くなるとみている。
7月以降は日本の復興需要本格化で金利に上昇圧力がかかりやすいほか、米国ではオペレーション・ツイストが6月末で終了するため、米金利に上昇圧力が加わってくる可能性が高い。中国も10月の共産党大会を控えて、春以降夏に向けて徐々に金融面、財政面でアクセルを踏んでくる見込みにある。 また、消費増税関連法案の先行きが不透明な中、「話し合い解散」など日本は選挙が起こる可能性があるほか、格下げリスクも加わり、夏場にかけて金利は上がりやすいとみている。
株式相場、為替相場を大局的に見ると、年後半に米金利が上昇すると、日米金利差拡大で、ドル高/円安が起きやすくなるので、日本の株高、債券安の方向感に振れるシナリオを想定している。 長期金利は年度を通じて、0.9─1.4%程度のレンジで、コアは1─1.25%とみている。
●消費増税難航なら金利に上昇圧力
<富国生命投資顧問 社長 櫻井祐記氏> 長期金利の指標10年債利回りは来年3月末にかけて0.9%から1.4%で推移するとみている。国内景気に関しては強弱見通しが入り混じりそうだ。これにより日経平均株価が節目の1万円を大きく超えて推移するのは難しいのではないか。ギリシャの債務問題は片付いていない。懸念が取りざたされて、飽きたらその懸念がしぼむ不安定な状況は、しばらく続くだろう。欧州周縁国への伝播も予想され、金融市場でリスクオフの流れが再燃すれば、円高・株安・債券高となろう。
緩和的な金融環境も債券相場を下支えする公算が大きい。日銀は、海外景気の状況や政局をみながらマインドが下がれば追加緩和に踏み切るだろう。国債や社債を買い取る基金の増額や、白川方明総裁の本意ではないだろうが、国債買いオペの増額も、緩和策の選択肢になり得る。 懸念は消費増税関連法案がどうなるか。閣議決定にはなんとかこぎ着けたが、すんなり国会を通過するとは到底、思えない。新たな政局が生まれ、さらに視界不良になれば日本の財政悪化が意識され、金利に上昇圧力がかかる可能性がある。
<コメント>
年末に円安トレンドが読めなかった人たちの奮起を望む。
●年後半に日経1万2500円、業種超えた再編に注目
<岡三証券 日本株情報グループ長 石黒英之氏>
足元の市場環境は年初から大きく変化した。第一の要因が欧州不安の後退だ。昨年12月末と2月末に2度にわたって実施した欧州中央銀行(ECB)による合計1兆ユーロの資金供給により、欧州各国の国債利回りが低下し、欧州財政問題が鎮静化。海外投資家を中心にリスクオフからオンの動きに切り替わった。
加えて円安基調へのトレンド転換が第二の要因。日銀による追加金融緩和と東日本大震災からの復興に絡む財政出動の2つがデフレ解消へのドライバーとなり、日本株の上昇を支えた。ドル/円に限ってみれば米景気の回復も円安要因だ。
新年度の日本株式市場20+ 件はリスク要因が後退したことで下値不安が解消され、堅調な展開を想定している。目先は引き続き円安が日本株を押し上げるだろう。4月には日銀による追加緩和が期待され、国内金利が低水準にとどまる一方、良好な米経済指標を背景とする米金利上昇により、日米金利差が拡大し、一段と円安に進むことで日経平均は1万1000円程度まで上値余地があるとみている。
その後は4月下旬から5月にかけて短期的な株価のピークアウトを迎える公算が大きい。国内企業の経営陣がまだ慎重姿勢を崩しておらず、2013年3月期見通しが保守的となるためだ。来期は最終利益で前期比65%増を見込んでいるが、会社計画ではそこまで強気な見方にはならないだろう。
5月にフランス大統領選やギリシャ選挙を控えていることも不透明要因となる。ただ調整しても値幅にして1割程度にとどまるとみており、下値は限定的。調整一巡後は年後半にかけてじり高基調となり、日経平均1万2500円程度までの上昇が期待される。 企業面では再編がポイントだろう。それも業界内再編ではなく、製造業と非製造業との融合など業種を超えた再編だ。
例えばソフトバンクやNTTなどの通信業と、自動車やハイテクとの資本提携は国内企業に対する海外勢の評価を高めるとみている。こうしたイレギュラーな再編が起これば日本株はさらに上値余地を拡大させるだろう。 来年度末までの日経平均のレンジは9500円─1万2500円とみている。
●業績上振れ期待出れば、年末に日経1万2000円も
<マネックス証券 チーフ・ストラテジスト 広木隆氏>
株価水準を決めるのは企業業績次第であり、これをサポートするのが為替だ。新年度の業績は大幅増益、V字回復が期待できる。長らく続いた円高局面で企業は採算点を徐々に切り下げてきた。足元の想定為替レートは1ドル=77円台。足元の為替水準はこの想定レートから相当、円安に触れており、業績の上振れ期待が出てくる。
市場がこれを評価していくことで、日経平均株価の上値余地は大きい。 ただ、4月からの決算発表では、力強い見通しというよりは、保守的な見通しになるだろう。企業側は為替のトレンド転換について判断しかねているところもあり慎重になっている。
新年度のシナリオは、日本株は季節性からすると、前半が強く秋に弱いというのがパターンだ。新年度のV字回復業績を織り込み、4─6月期に震災前の高値をクリアする1万1000円程度を付けるのではないか。その後は目標達成感から調整もあるだろうが、年度の後半にむけ、再び業績の上ぶれ期待が出てくると、株価水準を切り上げ年末には1万2000円もありうるとみている。
新年度のレンジは高値で1万2000円、下値は9500円。ドル/円の為替レートは80円─90円程度とみている。 来週からは名実ともに新年度入りとなるが、今期の決算発表が終了するまでは、新聞等の指標欄は今期見込みで算出したものが出ている。今期業績でみるPER(株価収益率)は依然高いが、期代わりすることで、市場に対する見方も変わってくる。
●来年には米財政緊縮、上値めどは日経1万1000円
<みずほ総研 シニアエコノミスト 武内浩二氏>
日銀による追加金融緩和以降、株価のレンジは上振れしているが、このまま順調に上値を追う展開になるとはみておらず、日経平均でみて1万円前半を中心とした値動きと予想している。新年度前半は1―3月期の株価押し上げ材料を織り込んでしまい、上値の重い展開が続く見通しだ。
年度半ばから後半にかけては米金利の緩和期待から日本株も堅調地合いとなる。しかし上昇は限定的だろう。米国経済の成長率が高まり、翌2013年には財政緊縮に向かうため米株も下落するとみている。日銀には引き続き緩和圧力がかかりやすいものの、米金利も緩和を継続する見通しで外為市場で一方向に円安に向かうとは考えにくい。ドル/円は80円前半で推移すると予想する。
欧州財政危機については解決への動きが鈍くリスクオンとはならないのではないか。こうした外部要因から日本株の上昇も限定的だろう。政治もリスク要因だ。国内政治に関しては消費税引き上げが焦点で、法案が成立しないと海外勢による日本株買いが後退するとみている。
さらに、原油価格上昇への懸念もある。新興国経済は現時点で金融緩和モードだが、インフレを意識して引き締めに転じれば相場にブレーキがかかる。米原油先物が1バレル=110ドルから120ドルに向かう展開になってくれば、国内企業の収益にも影響が出てくるだろう。 来年度末までのレンジは日経平均で9000―1万1000円を予想している。
●ドル/円、年後半に80円割れを試す可能性も
<ブラウン・ブラザーズ・ハリマン 外国為替部 シニア通貨ストラテジスト 村田雅志氏>
2月から3月半ばにかけてドル/円は84円台まで急ピッチに水準を回復したが、年初のマーケットが想定していなかった2つのことが起きたことが背景にあった。米景気がマーケットの期待よりも回復を遂げたことと、日銀の金融政策スタンスがマーケットにわかりやすい形で変わったことだ。日銀は2月に「中長期的な物価安定の目途」を導入したが、英訳では「goal」を用いた。米連邦準備制度理事会(FRB)と同じ言葉を用いたことで、英語圏の人々にも緩和姿勢の強化がクリアに伝わった。
来年度のドル/円の予想レンジは80―85円。4―6月は上方バイアスの方が強く、日銀の追加緩和期待や米景気回復への期待感の持続で底堅い推移を見込む。ただ、ドル/円の上昇は続きにくく、来年度末に90円までの戻りは期待しにくい。来年度末時点の予想レートは85円だ。
円高につながる要因として2つ想定している。第一に、ユーロ圏の債務問題は抜本的には何も解決していない。年後半にかけて金融市場の緊張を再び高めるリスクがある。年前半にはユーロ圏各国で重要な選挙が控えており、結果次第では各国の現体制が変わる可能性がある。選挙リスクも考えると、ユーロ圏にまつわる緊張が緩和に向かう展開は見込みにくい。
一方で、米景気が2012年を通じてマーケットの期待を上回るペースで回復を続けるのも難しいだろう。米景気に対する期待を失望に変える指標が出てくる可能性がある。弊社ではFRBの量的金融緩和第3弾(QE3)はないと予想しているものの、市場で期待が高まればドル安の流れが再燃するおそれもある。
ユーロ圏の問題や米景気に対する懸念、さらには中国景気への警戒感で年後半に80円割れを試す可能性もある。
●4─6月期に円安シナリオ見直しも
<みずほコーポレート銀行 国際為替部 マーケット・エコノミスト 唐鎌大輔氏>
来年度77─85円のレンジで、3月末は81円を予想している。レンジ上限の85円をみてもわかるように、一度は年初来高値はつけるだろうが、そこまでだろう。貿易赤字になっている以上、円の買い手が減っていることは間違いないが、2カ月間の8%程度の上昇は早過ぎだ。この背景にあったのは、JGB(日本国債)はもうだめだとか、日銀は変わったとか、米国経済は大丈夫だとか、そういったものだが、これらは全て4─6月期に見直しが入ってもおかしくない。
例えば、日銀については、今は消費者物価1%に上昇するまで何でもやってくれるのではないかという空気があるが、そんなものは実際はない。次の一手としてデュレーションの長期化まではあり得るだろうが、外債購入や国債引き受けといったドラスティックことをやるとは考えにくい。海外勢は今までとは違う日銀像を持っているが、実際は現実的な政策運営をするだろう。いずれかい離が生じて、円安相場にブレーキがかかる。
貿易収支も、昨年よりは断続的な黒字があるはずだ。この結果、意外に日本の対外経済部門は大丈夫なのではないかというムードになると、これも円の再評価につながりかねない。 米国についても、例えばこの1─3月期のダウ平均.DJIの上昇が4─6月、7─9月も続くのかといえば、チャートを見ればやはり無理だろう。
これまでの米国は、在庫を積み上げる動きの中で、結構成長してきた。10─12月期の米成長率のほとんどが在庫投資だったわけで、これからは在庫に見合った出荷が出ているかを見ていかないといけないが、本当に出ていくのか。所得はそれほど増えておらず、例えばいま自動車が売れているのは、今まで我慢してきた分が表に出ているだけで、一巡するとどこかで踊り場を迎えるのではないか。
●米国は低金利政策維持、ドルの持続的な上昇見込めず
<JPモルガン・チェース銀行 チーフFXストラテジスト 棚瀬順哉氏>
2月14日以降、日銀の予想外の追加金融緩和を受けて、日経平均株価がアウトパフォームした。日経平均と円の間には強い逆相関関係があり、円はアンダーパフォームした。ただ、長い目で見れば、ドル/円の上昇には限界がある。ファンダメンタルズが弱いドルが持続的に上昇するためには、米国の短期金利が相当上がる必要があるが、米連邦準備理事会(FRB)が当面低金利政策を維持することが予想される中では、ドルの持続的な上昇は見込めず、結果、ドル/円の上値が重くなるというシナリオは変えていない。
海外を中心に日銀の追加緩和に対する期待度が高く、目先はいったん上を目指すかもしれないが、その後は徐々に上値が重くなっていくだろう。3月15日に予想を変更したときに比べて欧州の状況が悪くなってきている感じがあり、これだとリスクオフで円買いになる。米金利の上昇モメンタムも弱い。
10年債で2.5%くらいまで上昇するとみていたが、行かずに戻ってきてしまっているので、これらを踏まえると、ドル/円も変更時に思っていたほどは上昇しないリスクが高まってきているかもしれない。われわれは年央に86円までいくと予想しているが、もしそこまで行かないで上値が重くなるのであれば、3月に予想している82円もそのまま切り下がる可能性がある。
●長期金利0.8─1.4%、日銀の緩和姿勢は継続
<バークレイズ・キャピタル証券・チーフストラテジスト 森田長太郎氏>
年度を通した長期金利は0.8─1.4%のレンジを想定している。年初からの動きで、日米の景気回復、欧州危機の鎮静化、株価上昇は想定通りだ。サプライズは中国景気。景気が下振れているわけではないが、底入れ時期が後ずれしている。世界景気の回復に向けて中国がドライバーとなる段階は終わりつつあるが、中国景気の弱さが世界景気にマイナスの影響を与えることは否定しない。もっとも、先進国もバランスシート調整が進んでいる。先進国の成長率は高水準に戻ることはないが、緩やかなペースを維持していくだろう。 緩やかな成長ペースだけをとらえるのであれば、金融政策が引き締め方向に舵(かじ)を切ることも考えにくい。
日銀はむしろ、デフレ脱却に向けて取り組んでいるというアナウンスメント効果を狙って、追加緩和を打ち出してくるだろう。4月、5月に追加策が決定されても不思議ではない。資産買入目標の目途を12年末に設定しているため、今秋以降に資産買入のロール・オーバーとともに、追加策の議論が活発になる可能性もある。 低金利を踏まえると、投資家は買いをちゅうちょする可能性がある。一方で、2年続けて期初の金利水準を上回って推移していない残像が市場参加者にある。
年度を通じてキャリーを取っていかないとリターンを得られにくいため、買いから入る動きも出てくるだろう。一定の買いを市場が吸収すれば、その後に調整局面があるかもしれない。昨年の欧州危機におけるテールリスクに対する警戒感から、金利は下振れて推移してきた経緯があり、何らかの材料をきっかけに修正が起こる可能性がある。
●長期金利、7月以降は緩やかに上昇
<SMBC日興証券 チーフストラテジスト 末澤豪謙氏>
10年最長期国債利回り(長期金利)は4─6月は低位安定、7月以降は緩やかに上昇するとみている。欧州債務問題における欧州安定メカニズム(ESM)など安全網の再構築に成功するかどうかを6月まで見る必要があること、国内では4─6月は期初のため、金融機関の国債の積み増しニーズが強いことが背景にあり、4─6月の金利は低位で安定する見込み。投資家はキャリー・ロールダウン収益を狙う上で、年度前半に積み増しニーズは強くなるとみている。
7月以降は日本の復興需要本格化で金利に上昇圧力がかかりやすいほか、米国ではオペレーション・ツイストが6月末で終了するため、米金利に上昇圧力が加わってくる可能性が高い。中国も10月の共産党大会を控えて、春以降夏に向けて徐々に金融面、財政面でアクセルを踏んでくる見込みにある。 また、消費増税関連法案の先行きが不透明な中、「話し合い解散」など日本は選挙が起こる可能性があるほか、格下げリスクも加わり、夏場にかけて金利は上がりやすいとみている。
株式相場、為替相場を大局的に見ると、年後半に米金利が上昇すると、日米金利差拡大で、ドル高/円安が起きやすくなるので、日本の株高、債券安の方向感に振れるシナリオを想定している。 長期金利は年度を通じて、0.9─1.4%程度のレンジで、コアは1─1.25%とみている。
●消費増税難航なら金利に上昇圧力
<富国生命投資顧問 社長 櫻井祐記氏> 長期金利の指標10年債利回りは来年3月末にかけて0.9%から1.4%で推移するとみている。国内景気に関しては強弱見通しが入り混じりそうだ。これにより日経平均株価が節目の1万円を大きく超えて推移するのは難しいのではないか。ギリシャの債務問題は片付いていない。懸念が取りざたされて、飽きたらその懸念がしぼむ不安定な状況は、しばらく続くだろう。欧州周縁国への伝播も予想され、金融市場でリスクオフの流れが再燃すれば、円高・株安・債券高となろう。
緩和的な金融環境も債券相場を下支えする公算が大きい。日銀は、海外景気の状況や政局をみながらマインドが下がれば追加緩和に踏み切るだろう。国債や社債を買い取る基金の増額や、白川方明総裁の本意ではないだろうが、国債買いオペの増額も、緩和策の選択肢になり得る。 懸念は消費増税関連法案がどうなるか。閣議決定にはなんとかこぎ着けたが、すんなり国会を通過するとは到底、思えない。新たな政局が生まれ、さらに視界不良になれば日本の財政悪化が意識され、金利に上昇圧力がかかる可能性がある。
<コメント>
年末に円安トレンドが読めなかった人たちの奮起を望む。
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