■僧侶の話がきっかけに
平成20年「夏の終わりのトラヴィアータ」で第3回ポプラ社小説大賞特別賞を受賞。翌年6月、同作を改題した『風待ちのひと』(ポプラ社)でデビューする。人生に逆風が吹いている、どちらも38歳の男女が海辺の町で出会い、お互いに引かれ合って新しい人生に踏み出すという物語だ。初版4千部のスタートで、重版はまだかかっていない。しかし、編集者に認められた才能は、受賞作が世に出る4年近くも前にすでに次なる作品の母体を紡いでいた。今回、受賞第1作として、「正味2カ月くらいかけて、大幅に書き直して」刊行となった。
きっかけは「親類の法事にいったとき、僧侶の方が話していたんです。四十九日の法要というのは、亡くなった方の魂がこちらの世界にとどまって、あの世へ旅立つ用意をしている期間に行うものなんだって」。特定のモデルがいたわけではないが「死者と遺族が寄り添って、お互いの気持ちをなだめ合いながら次なる段階への準備を整えるって、とてもやさしいなあと思いました」
さらに「最近は、自分の葬儀のやり方を、生きているうちに自らプロデュースして書き残す人が増えてきていると聞いたのと、レシピという言葉には料理の作り方のほかに処方箋(せん)という意味があるのを知って」タイトルがひらめいた。
昭和の時代を生きて平成の時代に世を去ったひとりの女性の生き方を振り返りながら、残された家族や知人らが、彼女の四十九日の間にそれぞれの人生を模索し、再生に向かっていく物語だ。
昨年、受賞作が単行本になったときも大喜びしたが、今回、母体の原稿を編集者とキャッチボールしながら改稿していく作業は「本になるのがうれしくてうれしくて、大変というよりも、ずっとわくわくしっぱなしでした」と振り返る。
「ここのところ世相が暗いので、最後には希望が残る物語を、これからも書いていきたいです」(ポプラ社・1470円)
宝田茂樹
◇
【プロフィル】伊吹有喜
いぶき・ゆき 昭和44年、三重県生まれ。中央大学法学部卒。
・ 可能部分は地方移管=ハローワーク取り扱い-総務相(時事通信)
・ <徳島バス>県内2路線を9月末で廃止 高速道割引で減収(毎日新聞)
・ 裁判員裁判 米子強殺で初公判 被告、殺害認め強盗は否認(毎日新聞)
・ 政調復活論牽制へ 「コアメンバー制度」 (産経新聞)
・ 火事だ!中学生が女児救出、でも犬にかまれた(読売新聞)
平成20年「夏の終わりのトラヴィアータ」で第3回ポプラ社小説大賞特別賞を受賞。翌年6月、同作を改題した『風待ちのひと』(ポプラ社)でデビューする。人生に逆風が吹いている、どちらも38歳の男女が海辺の町で出会い、お互いに引かれ合って新しい人生に踏み出すという物語だ。初版4千部のスタートで、重版はまだかかっていない。しかし、編集者に認められた才能は、受賞作が世に出る4年近くも前にすでに次なる作品の母体を紡いでいた。今回、受賞第1作として、「正味2カ月くらいかけて、大幅に書き直して」刊行となった。
きっかけは「親類の法事にいったとき、僧侶の方が話していたんです。四十九日の法要というのは、亡くなった方の魂がこちらの世界にとどまって、あの世へ旅立つ用意をしている期間に行うものなんだって」。特定のモデルがいたわけではないが「死者と遺族が寄り添って、お互いの気持ちをなだめ合いながら次なる段階への準備を整えるって、とてもやさしいなあと思いました」
さらに「最近は、自分の葬儀のやり方を、生きているうちに自らプロデュースして書き残す人が増えてきていると聞いたのと、レシピという言葉には料理の作り方のほかに処方箋(せん)という意味があるのを知って」タイトルがひらめいた。
昭和の時代を生きて平成の時代に世を去ったひとりの女性の生き方を振り返りながら、残された家族や知人らが、彼女の四十九日の間にそれぞれの人生を模索し、再生に向かっていく物語だ。
昨年、受賞作が単行本になったときも大喜びしたが、今回、母体の原稿を編集者とキャッチボールしながら改稿していく作業は「本になるのがうれしくてうれしくて、大変というよりも、ずっとわくわくしっぱなしでした」と振り返る。
「ここのところ世相が暗いので、最後には希望が残る物語を、これからも書いていきたいです」(ポプラ社・1470円)
宝田茂樹
◇
【プロフィル】伊吹有喜
いぶき・ゆき 昭和44年、三重県生まれ。中央大学法学部卒。
・ 可能部分は地方移管=ハローワーク取り扱い-総務相(時事通信)
・ <徳島バス>県内2路線を9月末で廃止 高速道割引で減収(毎日新聞)
・ 裁判員裁判 米子強殺で初公判 被告、殺害認め強盗は否認(毎日新聞)
・ 政調復活論牽制へ 「コアメンバー制度」 (産経新聞)
・ 火事だ!中学生が女児救出、でも犬にかまれた(読売新聞)