本を読もう、旅に出よう。

管理人(Gil)の文学作品と海外に関するエッセーです。
イラストはハリポタ・ジブリ・ヘタリア・コナンが多めです。

太陽を曳く馬  高村薫

2009年12月12日 | ブックレビュー

あっはっは もう笑うしかない。
さらにパワーアップしちゃってますよ、物語の「重さ」が!!


ここでいきなりですが、以下、場末のスナックを想像して下さい。

「アタシもなんでこんな本をブックレビュー復帰第一作として取り上げちまったんだろうねぇ」
「ママ、アンタ重いのが嫌で文学作品は読まないんじゃあなかったのかい」
「そうなのよぉ、重いのはもうコリゴリって思ってたのよ。でも、あの合田刑事が出るって言うからさ。つい手が伸びちゃったのよ」
「あぁ、あの孤高の色男ね。ハッハッハ、ならしょうがないよ、惚れた弱みってやつだね」
「もぉ、お客さん他人事だと思って。この世界はね、惚れた方が負けなのよッ」


___って、なんじゃこりゃー!!!(By 松田○作@太陽にほえろ)


ええい、無理やりにでも明るくしないとやってられない「重さ」なんでいっ。

としょっぱなから波乱気味、その原因となったこの一作、


太陽を曳く馬  高村 薫

をご紹介します。

気になるあらすじ・・なんですが・・

あぁもお、あらすじとしてこんな重い話を説明する事自体がキツい。

えー、そういうわけで、楽をさせて頂いて、Amazon.comの書評にあるあらすじにちょこっと修正・加筆を加えさせて頂いたものをご紹介します。
「画家・秋道は赤い色面一つに行き着いて人を殺した。
一方、一人の僧侶が謎の死を遂げる。その寺には秋道の父親であり僧侶の福澤彰之がかつて務めていた。僧侶の死__それは本当に事故死だったのか否か。
刑事・合田雄一郎は21世紀の理由なき生死の淵に立つ。
人はなぜ描き、なぜ殺すのか。テロが起こった9.11から、内部に暗闇を抱えたまま合田刑事は調査を始める__」


高村氏の作品の中でも人気が高いと思われる合田刑事シリーズ4作目※ですが(ちなみに合田刑事が出てくる他の作品、マークスの山レディ・ジョーカーは当サイトにブックレビューがあります。それぞれタイトルをクリックすると見られます。宜しければどうぞ^^)、読んで一言。
※福澤彰之や秋道というキャラクターは高村氏の別作品に出ており、重要人物として別のストーリーがあるのですが、管理人未読の為、あくまで「合田刑事シリーズ」として’太陽を曳く馬’はレビューさせていただきます※


大丈夫か合田さん(号泣)!!

合田刑事シリーズは回が進む毎に内容も深刻さを増し、合田刑事の苦悩も深くハラハラさせられっぱなしでした。それでも3作目である「レディ・ジョーカー」のラストで、他の登場人物はともかく、合田刑事には救いがあった感じがしたんですね。

それなのに今作では最初から精神的に落ちまくっている・・・。

ほぼ地底の住人。歳も取ったし(と言っても男盛りvvの40代前半ですが)気力が戻ってこないと言う感じ。
(ネタバレしてしまうので言いませんが)まあ、あんな事があっちゃあねえ・・・。
合田さん、あなた、離婚した妻の事をまだそれほど気にしていたのか。

そうして・・・余計なお世話かもしれませんが、

大丈夫ですかこれを読まれた読者のみなさん

と聞きたくなるほどの話の難解さ。

「宗教とは何なのか」というメインテーマを元に考察がされているようですが、内容はかーなーり難しいです。一回読んだだけではちんぷんかんぷん。
宗教の中でも仏教をクローズアップして取り上げているのですが、理解力がゼロに等しく、宗教知識もほとんどない管理人には、その仏教考察でさえも分からなかった!
あまりの難しさに、文章を読んでいる間、これは日本語なのかと何度も泣きたくなりましたよ、もー。読むだけで大変でした。

あくまで管理人の私見ですが、
「人間にとって宗教とは何なのか」
「宗教で人は救われるのか」
「理由なき殺人は何故起こるのか、そもそも起こりうるのか」
という問いが(それ以外の問いもあるでしょうが)突き付けられているような気がしました。

本著を理解するのも大変ですが、それらの問いに対しても「うーん」とうなされます。
容易に出ない答ではありますが、著者も考え、悩んだのではないかと、合田刑事の心境はそのまま著者の思いでもあるのかな、とも感じられました。


宗教に限らず、物語全体のテーマの深さと難易度の高さを考えて、おすすめはとりあえず20歳から、としておきます。大学で仏教を専門的に学んだ学生さんはついていける部分もあるかもしれませんが・・。

最初から「理解して読もう!」とやる気満々で読みだすと途中で息切れしてしまうと思いますので、ミステリーとして、まずざっくり読んで犯人捜しを楽しみ、各々の深い考察については少しずつ読み返す、というのがベストかと思います。



それにしても、合田刑事の部下、吉岡君を張り倒したいと思ったのは管理人だけでしょうか。

上司である合田さんの目の前で毎回堂々と私用メールをする厚顔無恥さ、上司と会話が終われば即ケータイをいじってメールをし始め、電話でも自分の要件が終われば先方確認なしで通話をぶっちぎるマナーのなさ、言われた仕事しかこなさないものの頭の回転だけは良い小賢しさ。
いくら彼が若手と言っても当時27,8歳のハズ。そんないい大人が働いてる場でそんな事しますか!?しかも刑事ですよ、許されるんですか、こんな事!?

個人的に好きではなかったけれど、合田刑事の元部下、森君の方がまともに見えて来たよ・・・。


うーむ、人気キャラクターである合田刑事の元義兄、加納さんの事も含めて今作は消化不良(苦笑)。

ただ、難解なテーマですが、その分読みごたえはあると思います。


管理人が偏見で採点。★5つが満点です。
読みやすさ★ 出た。久々の★一つ。はっきり言って難しいです。
魔女の宅急便の次のレビューがこれってどうよ★★★★★MAX 当ブックレビューサイトはジェットコースター式が売りでございます(何がだ)


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本当は合田刑事のイラスト(もちろん管理人の妄想大爆発。挿絵がないですから)を載せるつもりだったんですが、未完成の為スイスの写真をば。マッターホルンです。



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