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ブログタイトルを変更しましたが特に意味はありません。

2013 マレーシア旅行 その4 マレーシア――ジョホールバルへ

2013年04月17日 12時16分05秒 | 旅――海外
当初、シンガポールは一泊だけの予定だったが、リトルインディアやアラブ・ストリートという居心地のいい
街区と出会えたこと、イスラム、キリスト、ヒンドゥー、道教が共存する光景が日常にある世界観
(調べたところによればシナゴーグもあるらしい)に刺激を受けたことで、もう少しこの街に留まりたい気持ちが
強くなってきた。そうした“非日常”に触れることが旅の目的であり、自分を突き動かすエネルギーの源となる
だけに、たった一日だけでこの街(国)を離れてしまうのはあまりに勿体無い――そんな思いが時間の経過とともに
強くなっていく。

だが、前へ進むことを選択した。
今回は7泊と、いつもより日程が短いことと、マレーシアという新たな国においても、ここで感じた以上の“非日常感”
が待っているとの根拠のない確信があったからだ。それはじっとしていることを許さないこの気候のせいでもあるし、
道行くマレー系の人々のエキゾチックな風貌に強い興奮を覚えたせいもある。
そして何よりも、「マレーシアではどんなカレーが喰えるのだろう?」という、俺にとっては何にも優先される
愉しみへの期待が、シンガポール滞在への未練を上回ったからにほかならない。

そう考えると居ても立ってもいられず、次なる街へ向かうにあたっての簡単な計画を立てることにした。
ルート候補は大きく分けて2つ。

1.シンガポールから高速バスで一気にマラッカへ
2.同じく高速バスでシンガポール国境からもっとも近いマレーシア側の街、ジョホールバルへ

シンガポールからマラッカまでは4時間もかかる。あまり長時間バスに乗っているのは苦痛だし、
いきなりマラッカにたどり着いてしまってはもったいないという気持ちも強い。また、マレーシア
滞在中に訪れる都市がマラッカとクアラルンプールだけでは地域性を感じるに乏しすぎる。
となると(2)だ。
シンガポールからジョホールバルまでならバスで1時間もかからない。しかもジョホールバルは、
我がサッカー日本代表が初のW杯出場を決めた思い入れの強い地でもある。これは訪れないわけにはいかないだろう。

ひとつ懸念がある。
それは治安の悪さ。少し前の同地域への紀行文などを読んでいると、「マレーシアで最も治安の悪い都市」という
悪しきレッテルと共に「スリは日常茶飯事」「観光客が腕ごと時計を持っていかれた」といった物騒な情報がバンバン
飛び込んでくる。
ただ、それらは2000年代前半あたりまでの話で、ジョホール州を対象とした大規模な都市開発計画である
『イスカンダル・プロジェクト』が2006年よりスタートしてからは、地域一帯の治安を改善するべく警官を大幅に
増員。違法営業の店の一斉摘発などを含めて大々的に街の浄化に尽力した結果、「劇的」と言えるほど治安が
良くなったそうだ。「シンガポールの対岸」という立地性と地政学的条件に基づく国の威信をかけたビッグプロジェクト
で大きく変貌していく都市だけに、今、このタイミングでジョホールバルを訪れ、その雰囲気を肌で感じることは
思った以上に大きな価値を持つのかもしれない。上昇機運の只中にいられるということは想像以上にポジティブな
エネルギーを吸収できるものだ。

ホテルの手配はいつものようにagodaを使っての直前予約。ホテルはJBセントラル駅からタクシーで15分ほどの
『グランド・パラゴン』というタワーホテルにした。



チェックアウトを済ませた後、ホテルのフロントに荷物を預け、昼食を食べに行きがてらジョホールバル行きのバスが出る
バスターミナルを下見。調べたところによると20分ほどの間隔でバスが出ている事が判明。一日に2,3本しか便数がなかっ
たらどうしようかとの懸念があったので、まずは一安心。



シンガポール最後の食事はもちろん昨日のインド料理店へ。



昨日のように“指差し作戦”でカレーをチョイス。エビカレー、ピーマンのカレー、パコラにライス。
今回は何故かバナナリーフではなくターリー皿に盛られて出てきた。
昨日はサンバルとラッサムがサービスで付いたが、本日はサンバルだけ。ちなみに相方にはサービスなし。
一体どういった基準でサービスに変化が生ずるのか見極めてみたい。
とはいえ昨日と同様、実に美味いカレーだった。



気に入ったのが、このフィッシュティッカ(?)。辛そうに見えるが、思った以上にマイルドで香ばしい。
この色はチリパウダーではなく、パプリカパウダーに依るものだろう。骨までポリポリと食いきれるのがいい。
先日、新たなスパイス問屋を見つけた際、大量にパプリカパウダーを仕入れておいたので今度作ってみよう。



カレー屋は至るところにあるし(結局は先の店でしか食っていないが)、そこで供されるカレーは感動するほどに美味いし、
インド食材店もたくさんあるし、行き交う人々は素敵だし、接する人々は穏やかで優しいし、一帯にはお香や香辛料の香り
が常に漂いメロメロになっちゃうし、アーユルヴェーダの学校まであり、そうした要素が重層的に絡み合い日本では滅多に
感じることのできない多幸感に包まれる。



しかしここではそれが日常なのだ。上記のように、「日常的」という大雑把な感覚を因数分解し、
その構成要素を一つずつ列挙していく、なんてことはここでは野暮だ。第一、この暑さが余計な思考を許してくれない。



ということで、これにて。
さらば、シンガポールよ。



ホテルに戻り、荷物をピックアップした後、タクシーでバスターミナルへ。係員のおじさんによると、今まさに
ジョホールバル行きのバスが出るところだという。見たところ満席っぽいので次のバスを待とうとしたが、
相方がいつのまにか乗車していたのでそれに続く。我々が乗車し、シートに着くのを待ってからバスが発車した。



45分ほどでマレーシア国境に到着。iPhoneのオフラインマップでジョホールバルの地図を見ていたら、
いつの間にかジョホール海峡を超え、マレーシア側に入っていた。
イミグレーションを通過するためにバスを降りる。相方がバスを降りた所で写真を撮っていたら、マレーシア側の
国境警備員が飛んできて「ここは国境。撮影はダメだ」と諭される。ということで撮影したデータを、その警備員
立ち会いのもとに削除。「次回からは気をつけるよ」との言葉を添える。
写真はパスポートコントロール。礼拝の時間が近いのか、大音量でアザーンが詠唱されている。
シンガポールとは全く異なる空気。一気にイスラムの世界へ。



パスポートコントロールを通過すると、そこがこの街最大のターミナル駅JBセントラル駅。
ここでタクシーを手配し、本日の宿『グランド・パラゴンホテル』へ。
ちなみにここマレーシアでも、“流し”のタクシーを拾うことは難しく、駅前のタクシー乗り場で
行き先を告げた上でチケットを購入、配車係の指示に従い当該のタクシーに乗車、という流れになる。
やや面倒だが、ボッタクリ行為には遇わずに済む。
つーか、誇り高いマレー系の人は、まずそういった狡辛いことはやらないと思う。



チェックインを済ませて一安心。
思ったより静かでいいホテルだ。1Fに水や日用品、新聞・雑誌を扱う“よろずや”があって便利。
寡黙ながら人のいいマレー人のオヤジさんが静かに店番をしており、何度か利用させてもらった。
この他、宝石店や高級時計店なども入っている。ああミルガウスほしい。



世界で6番目、アジアでは初となるレゴランドがオープンしたジョホールバルだけに、フロントにはレゴで作った恐竜が。
一日のみの滞在なので多分行かないだろうな。レゴは大好きなんだけど。
ホテルのカウンターでも両替ができるので、余ったシンガポール・ドルをマレーシア・リンギットへ替えてもらう。
シンガポールで思ったよりも金を使わなかったので、結構な額になる。



部屋は高層階(14階だったと思う)のツイン。写真だと狭く見えるが思った以上に広くて快適。
agodaのアプリで確認した部屋のイメージと大きな乖離はなく、概ね満足。



部屋からジョホールバルの街並みが一望できる。といってもここいら一帯は住宅街。繁華街のような雑多感はない。
ベトナムなどよりも整然としている。



一風呂浴び、さて街の散策に、となった途端に雷を伴った強烈なスコール。これはマレーシアの特徴。
アラスカなら雪、スーダンなら灼熱の炎暑、夏の香港なら100%の湿度と同じように、マレーシアにスコールは付き物なのだ。
ということで昼寝をカマしつつスコールが去るのを待つことにする。



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