~青いそよ風が吹く街角~

映画(主にミニシアター映画)の感想文を軸にマイペースで綴っていきます。

*『冬の小鳥』* ※ネタバレ有

2010-10-24 19:46:13 | 映画【韓国】

  『冬の小鳥』:公式サイト

ヤクソク

9歳の時に韓国から養子としてフランスに渡ったウニー・ルコント監督の実体験から生まれた作品。
脚本を読んだイ・チャンドン
(『
ペパーミント・キャンディー - goo 映画』『シークレット・サンシャイン』『オアシス - goo 映画』などの監督)が
自らプロデュースをかって出て、
2006年にフランスと韓国で結ばれた<映画共同制作協定>の第一号作品として完成しました。

9歳のジニの目線に合わせたローアングルで撮っているのが印象的。
そういう撮り方はフランス映画『
ぼくセザール 10歳半1m39cm - goo 映画』を思い出したな。
ジニが映る場面はローアングル撮りなので、父親役のソル・ギョングの顔はなかなか映らず、
彼が映ったのはジニを児童養護施設に預けて去っていく時の一場面だけでしたね。
本来は主役級の俳優なのに冒頭の少ない出番で出演したのは
今まで数々の作品で一緒に仕事をしてきたイ・チャンドンを信頼しているからなのでしょうね。

ウニー・ルコント監督は女性なので心の叫びを前面に表す事はなく、
少しソフトなタッチではあったけど、
演出的にはイ・チャンドンの影響を受けている印象ですね。
状況的な台詞ではなく“間”で語ることで観客に登場人物の状況を想起させる。
映像は光沢感がなく、全体的に薄く霧がかかっているような乾いたオフホワイトな色調。
あと、ジニが砂をかぶり仰向けで土に寝そべっている場面は
『シークレット・サンシャイン』でヒロインのチョン・ドヨンが外で関係を結んだ後、
仰向けで寝そべっていた場面をぼんやり思い出したよ。

白い塀など白い背景に白い字幕が多々あったので、字幕が読み辛い箇所があったけど、
台詞は少なめだったし、難しい単語はなかったので大体意味はわかりました。
“ヤクソク”という言葉が何度かあったんだけど、その“ヤクソク”の日本語訳は
自殺未遂したイェシンが施設の皆に謝る時は“誓います”だったり、
ジニとスッキが小指をからませて指きりする場面では“指きり”だったり、
“ヤクソク”は日本語でも同じ意味と読みで“約束”なのだから、
意訳せずに直訳で良いと私は思うんだけどな~。

 家政婦としてもらわれる事に悩み、恋も実らず傷心のイェシン
 里親に選んでもらう為に明るく自己アピールするしっかり者なスッキ
 父親への未練から施設で反抗的な態度をとってしまうジニ

ロシア映画『
この道は母へとつづく - goo 映画』を観た時も思ったけど、

 『この道は母へとつづく』... ※ネタバレ有

施設の子供達は里親が来る度に品定めされている。
自分の人生を自分自身で切り開いていく為には他の子と競い合わなければいけない・・・。
それが施設の子供達の現実の厳しさなのでしょうね・・・。

この作品は70年代の物語だったけど、
80年代の韓国では両親が健在な家庭であっても貧しさから生活していくのが困難で
子供をアメリカなど海外に養子に出す事も多かったそうです。
単に子供を捨てるというのではなく、
子供には豊かな食事をしてほしい、恵まれた教育を受けてほしいという親心から。

健康診断の医師がジニの事情を聞いてから
「お父さんはジニに幸せになってほしいんだよ。」というような台詞がありましたね。
ジニの父親にも子供の幸せを願う良心が少しはあったと信じたい気持ちになったけど、
ジニの父親はどういう心境だったのでしょうね・・・。


≪イ・チャンドン監督作のレヴュー(感想)≫

 
『ペパーミント・キャンディー』... ※ネタバレ有

 『オアシス』・・・ ※私見+ネタバレ有

 
『シークレット・サンシャイン』・・・ ※ネタバレ有

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9 コメント

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Unknown (KLY)
2010-10-24 22:01:55
実際に子供目線の映像演出があって、そこでのとてつもなく幸せそうなジニの表情にきっと誰もが笑顔を貰ったと思うんです。たったアレだけで完全に観てるものをジニの心に同化させてしまいました。ホント上手い演出です。
キム・セロンちゃんがウォンビンと共演した作品があちらでは人気をとしているとのこと、日本に来るのは来年の今頃なんですかねぇ。
追伸 (KLY)
2010-10-24 22:04:50
作品に関係なくて恐縮ですが、
シャルロットのライブ言ってきました~~!
生の歌声が余りに素敵過ぎて胸一杯で涙出ちゃったです。至福の時間でした^^
フランス語が解ったらなぁとそこだけが悔やまれます。(笑)
ジニの微笑み。 (BC)
2010-10-26 08:14:38
KLYさん、おはようです。

最後のジニのまるで菩薩像のような慈愛に満ちた微笑みが印象的でしたね。
韓国でも子役は大成しないというジングスがあって、子役出身のスターは数少ないけど、
キム・セロンちゃんには頑張ってほしいですよね。

これを言ったらウォンビンファンの人達から石投げつけられそうだけど(^-^;
役となりきれないウォンビンよりも
役に染まれるキム・セロンちゃんのほうが演技は上手そうですよね。(^-^ゞ

ウォンビンの新作映画『Ajoshi/おじさん』はウォンビンが弟的なイメージを脱して
男っぽいキャラクターでアクションを演じたのが好評で
今のところ韓国での今年のNo1ヒット作みたいですね。
ウォンビンはCM契約も増えて時の人になっているようです。
『Ajoshi/おじさん』は日本で公開されたら観たいです。
だけど、本音を言えばもっと背が高くてガッシリした体格の俳優が私好みなので
ウォンビンと同世代の俳優ならばカン・ドンウォンのほうが好きだから
日本でもうすぐ公開の『義兄弟』のほうが楽しみです。^^


P.S.
今日、シャルロットの大阪公演に行ってきます♪
シャルットの歌声が良いのですね。
楽しみです☆
こんばんは。 (オリーブリー)
2010-11-02 23:19:29
BCさんの言うように、台詞ではなく“間”で語られる映画だったと思います。

イェシンが改まって謝る場面で、次第に笑いが起こり、最後にはとうとうイェシンも噴出してしまうシーンは印象的でした。
時間が経って思い出すと、辛い出来事も笑い話になっちゃう事ってありますものね。
もちろん、自殺なんて二度とあってはならないけど、彼女も自分の境遇を素直に受け入れたんだと思いました。

新しい洋服や靴を用意して、汚れた足を丁寧に洗ってやり、ケーキを持たせたジニのお父さんは、本当は辛かったんだと思ってあげたいです。
イェシン。 (BC)
2010-11-03 19:42:46
オリーブリーさん、こんばんは。

>イェシンが改まって謝る場面で、次第に笑いが起こり、最後にはとうとうイェシンも噴出してしまうシーンは印象的でした。

映画だとそういう場面はシリアスな演出になる事が多いけど、
実際は謝る人もそれを聞く人もよく知っている人だと照れくさかったりしますよね。
そういう意味では自然な演出でしたね。

イェシンは家政婦として引きとられて行く事に戸惑いを感じながらも
自分の進むべき現実を受け入れていく事を心に決めたのでしょうね。

>新しい洋服や靴を用意して、汚れた足を丁寧に洗ってやり、ケーキを持たせたジニのお父さんは、本当は辛かったんだと思ってあげたいです。

子供を手放す事を決めるまで親も色んな葛藤があったからこそ、
出来る限りの事をして子供を施設に連れていったような気もしますね。
子供が経済的に満たされた人生を歩めるように
子供の将来の幸せを願っての事だと信じたいですよね。
キム・セロンちゃんありき (rose_chocolat)
2010-12-03 06:18:06
彼女=この作品といっても過言じゃなかったですね。
将来が楽しみです。
韓国映画界を背負って立つ女優さんになってほしいな。
キム・セロンちゃんの作品。 (BC)
2010-12-04 18:46:02
rose_chocolatさん、こんばんは。

>彼女=この作品といっても過言じゃなかったですね。

ホント、そうですよね。
彼女だからこそ成立した作品でしょうね。

韓国にも子役は大成しないというジングスがあって、
子役から大成したと認められているのは
俳優ではアン・ソンギ、女優ではキム・ヘスだけではあるけど、
近年では『おばあちゃんの家』の子役で今は高校生のユ・スンホは
ドラマや映画で活躍しているので、
キム・セロンちゃんもそれに続いてほしいなと思います。
キム・セロンちゃん (mezzotint)
2010-12-20 00:37:55
今晩は☆彡
ドクターに聞かれて、涙しながら話すシーン
が忘れられません。セロンちゃんが本当に
ジニなのでは?と思うくらいでしたね。
映画初出演とは思えませんね。
久々に素晴らしい作品に出会いました。
セロンちゃん=ジニ。 (BC)
2010-12-22 05:14:12
mezzotintさん、おはようです。
コメントのお返事遅くなってごめんなさい。m(_ _)m

>ドクターに聞かれて、涙しながら話すシーン
が忘れられません。

ジニの苦悩が伝わってくる場面でしたね。

まさしく、セロンちゃん=ジニと思えるほど役と一体化してなりきっていましたね。

ウォンビンと共演の新作は韓国版『レオン』みたいな作風らしいですね。
新作ではどんな表情を見せてくれているのでしょうね。

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