~青いそよ風が吹く街角~

映画(主にミニシアター映画)の感想文を軸にマイペースで綴っていきます。

*『サラの鍵』* ※ネタバレ有

2011-11-20 21:41:18 | 映画【フランス】


  『サラの鍵』:公式サイト



タチアナ・ド・ロネの同名ベストセラー小説の映画化。
1942年フランスのヴェルディヴで起きたユダヤ人迫害事件を取材し、
自らも大きな決断に迫られるアメリカ人女性ジャーナリストの物語。

ホロコースト映画では『
ミーシャ/ホロコーストと白い狼』『
縞模様のパジャマの少年 - goo 映画』、
ホロコーストではないけど過酷な運命をたどる子供達を描いた作品では『
クロッシング』を思い出しました。

サラ一家を含めユダヤ人達が強制連行されたヴェルディヴ(冬季競技場)の場面で
真上から撮っているアングルは高圧的に見下しているようで
一瞬、映画という事を忘れて身ぶるいしてしまった程、生々しい恐怖心を感じました・・・。

人は生まれてくる場所は選べない。
サラはたまたまユダヤ人の家庭に生まれてきただけなのかもしれない・・・。
だけど、弟を収容所行きから守る為に弟を納戸に閉じ込め鍵をかけた時からサラは試練を強いられる・・・。
時が流れても、ユダヤ人という事実は心から離れる事はなく、
母になっても息子に及ぶ影響を極度に恐れ、生まれてすぐに洗礼を受けさせるほど・・・。
ただ、サラの描写は主に子供時代ばかりで大人になってからのサラはあまり描かれていなかったので
サラの心理がビビッドには伝わってこず、感情移入はしづらかったな・・・。

ジュリア役のクリスティン・スコット・トーマスはサラの人生をリンクさせながら自分の生き方を見つめ、
高齢出産を決断する役を感情を抑えて演じていたのが良かったです。

サラの息子はジュリアが取材しなかったら、
母がユダヤ人だったという事実は知らないままだったのかもしれないですね。
ある意味、サラの息子はそのほうが幸せだったのかもしれないけど、
真実は一生有耶無耶になる事はなく、遅かれ早かれいずれ知る時がくるものなのかもしれない・・・。
サラの息子は50歳になってから、それを知ってしまうというのも複雑な心境だろうけど・・・。

瞬時の判断で人生が変わる・・・。
また、それによって周囲の人生も変えてしまう・・・。
それが、サラにとっては幸せだったとは言い難いかもしれないけど、
サラの人生を知ったジュリアにとっては新たな一歩を踏み出せたような気もする。
その結末は希望が伝わってきて印象深かったです。


【第18回(2011年)大阪ヨーロッパ映画祭】上映作品概要発表☆


8 コメント

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今晩は☆彡 (mezzotint)
2011-11-20 23:22:58
BCさん

今晩は☆彡
こちらでは、1月公開です。随分前から
気になっている作品です。
「黄色星の子供たち」も同じ事件をベースに
作られたものでしたが、こちらの方が評判
良さそうです。
サラを演じたのはリッキ―の女の子でしたね。
今から楽しみにしていますので全部読まずに(笑)
原作。 (rose_chocolat)
2011-11-20 23:34:12
もしよかったら原作本お読みになることをお勧めします。
実際原作にかなり忠実に映画は作られていたんですけど、さすがに内容が密度濃すぎて全部は映画にはできなかったので、
大人になってからのサラの心情までは映画では拾いきれなかったように感じました。
あと、ジュリアと夫との感情的な部分も映画ではあまり深くは描写がなかったため、ここも本で補足するとより深く理解できるかもしれません。

これは私の昨年myベスト1位ですからねー。 でも今一生懸命試写会応募してます。 また観たいから(苦笑)
観ちゃったら無理矢理今年も1位にしちゃうかも(^_^;)
Unknown (mig)
2011-11-21 09:58:56
おはようBCさん、
ゴシップにコメありがとうね!
嬉しいワ♪

マンネさんて方のことよくツイートしてるからてっきり韓国俳優詳しいのかと。。。。
あの方、俳優じゃないの?
韓国はホラー、猟奇殺人系映画しか詳しくない私(笑)

ところでこの映画気になってるので観たら読ませてもらいまーす☆
サラ役の女の子。 (BC)
2011-11-21 23:49:45
mezzotintさん、こんばんは。

この作品は京阪神では来年公開ですね。
私は映画祭で一足先に観ました。
一般公開前の作品なのでネタバレなしで感想書くつもりだったんだけど、
奥深い内容だったのでネタバレなしでは感想書けなかったの。。。

『黄色星の子供たち』は観逃してしまったんですよ。
ホロコースト映画や戦争映画など重い映画は
気分がノラない時は観に行く気力がおきなくてついつい観逃しがちです・・・。

>サラを演じたのはリッキ―の女の子でしたね。

そうだったんだ。
この作品では力強い演技で大人の共演者を喰う存在感ありましたよ。
大人のサラ。 (BC)
2011-11-22 23:40:41
rose_chocolatさん、こんばんは。
rose姉さん一押しの作品なので、
大阪ヨーロッパ映画祭で最初に観る作品はこの作品に決めていました。^^

無駄のない演出で良質な作品だと感じましたよ。
原作では大人になってからのサラの描写も細かく描かれていたのですね。
多少、長尺になったとしても母になったサラも描いていれば、
夫と息子のやりとりにサラの心境もリンクしてもっと深みが出たような気もしますよ。

東京では来月公開なので試写会もそろそろ始まっているみたいですね。
試写会当たると良いね。
愛称、映画の好み。 (BC)
2011-11-23 09:17:30
migさん、おはようです。
コメントのお返事遅くなってごめんね。m(_ _)m

マンネというのは愛称でキム・ヒョンジュンと言います。
韓国では東方神起のライバルと言われていた
SS501(ダブルエスゴーマルイチ)という5人組アイドルグループの最年少メンバーで
昨夏のSS501活動休止後はソロ活動。
このグループには日本語表記で同名のキム・ヒョンジュンがもう一人いるので
ファンの間では彼はマンネ(末っ子)、
最年長でリーダーのもう一人はリダ(リーダー)という愛称で呼び分けられています。
現在24歳にして昨夏から韓国歌手協会の理事(役員)も務めていて本業は歌手だけど、
ラジオDJ・情報番組の司会・ファッションショーのステージモデル・ミュージカル・
最近では連続ドラマデビューとマルチに活動しているの。
今夏に日本でソロ歌手デビューした時は渋谷のタワレコでサイン会もしていました。

私は韓国映画は6・7年前は何でもかんでも観ていたりしたけど、
韓国映画は個性が強いので当たり外れが大きい事に気づいて
近年は好きな監督・俳優・女優の作品しか観ていないな・・・。
なので、韓国映画選びは偏っているからそれ程詳しくはないです。。。

『サラの鍵』は重い題材で地味な演出なので
『フローズン・リバー』や『ウィンターズ・ボーン』はNGだった?
migさんの映画の好みに合うかどうかはわからないけど、
テーマに寄り添う事が出来ればじわっと感銘を受ける事が出来る作品だとは思います。
試写会 (rose_chocolat)
2011-11-26 07:53:35
当たったわよw 根性(^_^;)
また行って来ます。
メリュシーヌ・マイヤンスちゃんは、『リッキー』もとてもよかったんだけど、こちらの演技は伝説ものですね。 彼女うまいです。

そうねえ・・・ これ重たい映画が苦手な方にはたぶんあんまり響かないかも知れないけど、
単なるナチスものだけでなくて、女性の生き方を絡めたところはうなずけると思います。
試写会当選おめでとう☆ (BC)
2011-11-27 18:14:47
rose姉さん、試写会当選おめでとう☆

メリュシーヌ・マイヤンスちゃんは
『リッキー』では普通に良かったという感じだったけど、
『サラの鍵』では演技を越えた底力があったよね。

ホロコーストを背景に描いているけど、
女性の生き方(人生観)を見つめる作品だったので
そういった面を感じとる事が出来れば素直に感動できる作品でしょうね。

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