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白蛇のすがたで現れる神・・弁才天の変身(1)

2013-12-22 | 日本の不思議(中世・近世)



2013年・蛇年のうちに書いておきたいと思っていたことがあります。

たしかお正月頃に、新聞におもしろい写真が載っており、切りぬいておきました。

記事の写真は撮ったのですが、なぜかその後切り抜いた記事が行方不明になり、どうしたものかと思っていました。




記事は上のもので、蛇の体に老人の頭が乗っている像が紹介されていました。

悪趣味ですが、インパクトが強く、どこのお寺か神社にあるのか知りたいと思っていました。




先日やっと、この像がどこにあるのかが分かりました。

これは、東京の井之頭公園にある弁才天のお堂のそばに建立されているものだと思います。

「井之頭公園・弁才天へようこそ」

トップ画面の右下の再生ボタンを押すと風景が変わります。5つ目に“蛇に老人の顔”の像があります。


そこで、“蛇に老人の顔”の像はどんな由来があり、それと「弁財天」はどのような関係にあるのかを調べてみました。


“蛇に老人の顔”の像は、「宇賀神」と呼ばれていることが分かりました。

ウィキペディアには以下のように説明されています。


           ・・・・・


「宇賀神(うがじん)」は、日本で中世以降信仰された神である。

その姿は、人頭蛇身で蜷局(とぐろ)を巻く形で表され、頭部も老翁や女性など一様ではない。

その出自は不明である。

また、蛇神・龍神の化身とされることもあった。

これが比叡山・延暦寺(天台宗)の教学に取り入れられ、仏教の神(天)である弁才天と習合あるいは合体した。

この合一神は、「宇賀弁才天」とも呼ばれ、「宇賀神」はしばしば「弁才天」の頭頂部に小さく乗る。

その際、鳥居が添えられることも多い。

出自が不明で、経典では穀霊神としての性格が見られないことなどから、「宇賀神」は、「弁才天」との神仏習合の中で造作され案出された神、との説もある。

「宇賀弁才天」への信仰は、天台宗比叡山延暦寺に近い近江国・竹生島を中心に、安芸国・厳島、相模国・江ノ島など全国に広まった。

これらは、明治の神仏分離の際に市寸島比売命(いちきしまひめ)などを祭神とする神社となっている。

鎌倉市の宇賀福神社では、宇賀神をそのまま神道の神として祀っている。


               ・・・・・


そこで、「宇賀神」について書かれた本を探してみました。

山本ひろ子氏の「異神」という本を読んでみました。

この本は「渓嵐拾葉集(けいらんしゅうようしゅう)」という中世の比叡山の書物に載っている資料を用いて書かれていました。

この中世の本については、別の人が書いた本の紹介がありました。

                     ・・・・・

名古屋大学出版会HP 田中貴子著「渓嵐拾葉集の世界」

天台宗の「百科全書」とも言われる『渓嵐拾葉集』は、仏教教理のみならず多くの説話や巷説、和歌を含み、中世の思想・文学・歴史の一大資料となっている。

その作者・ 諸本・成立背景等を明らかにするとともに、説話の場に光をあて、同書を結節点とする中世文化のネットワークに迫る。

                     ・・・・・


では、山本ひろ子氏の「異神」のご紹介に入ります。

リンクは張っておりませんが、アマゾンなどでご購入になれます。


                    *****


                 (引用ここから)


日本にあって「弁財天」はその功徳ゆえにしばしば「弁財天」とも表記され、池や側などの水辺に祀られて崇敬されてきたのは周知の事実である。

ところが日本にはこの「妙音弁才天」の他に、もう一種の「弁才天」が存在した。

こちらの「弁才天」は頭の上に「宇賀神」という奇妙な神を乗せており、そのために「宇賀弁才天」と呼ばれた。

では「宇賀神」とはどのような姿であったのか。

江戸期の学者の語るところをみてみよう。


                ・・・

宇賀神とて頭は老人の顔にし、身体は蛇体に作り、カエルを押さえたる様をして神社に安置し、祀る時には一器に水を盛り彼の像を入れ、“天の真名井の水”などと文をとなえてその像を浴す。

                ・・・

続き、記事には次のようにある。

                ・・・

「宇加耶」は梵語にして「白蛇」と訳す。

されば、もと密教の修行法にして、神人が伝えてこの法を修行したと見る。

ただ俵の上に蛇を作り、これをも「宇賀神」といふ。

いと古きものなり。

                 ・・・


ここには「宇賀神」にまつわる秘密の多くが、不明瞭ながらも語られている。

頭上に蛇を乗せた「弁才天」は、「宇賀弁才」とも呼ばれること、

「宇加耶」とはサンスクリットの「白蛇」の意味で、密教徒の行った修行法が神祇信仰に取り入れられたらしいが、

伝統的な密教にはそのようなものはなく、中世に作為されたものであること。

江戸時代にも、宇賀神の像が神社などで祀られ、信奉されていたことがわかる一方で、この神の生い立ちや名称の由来などがすでに不明になっていたことが知られよう。

 
              (引用ここまで)


                *****


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などあります。(重複しています)



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2 コメント

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Unknown (AO)
2013-12-26 20:05:33
宇賀神の像は京都府宇治市の三室戸寺にもあるそうです。http://www.mimurotoji.com/article.php?id=451

母が行ってきたとかで写メを見せてもらいましたが、インパクト絶大でしたね。。。
返信する
ヘビって、不思議ですね。 (veera)
2013-12-26 23:22:47

AOさま

コメントと宇賀神像のご紹介、どうもありがとうございました。

とてもユーモラスな像ですね!

七福神っぽいというか。。
ヱビス様のようですね。

それにしても、なぜヘビなのか?。。
不思議な像は見飽きません。

こういう変わったものをじっと見ていると、なんとなく発想が自由になりますね。

人間って、面白い生き物だと思います。。
返信する

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