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我らの聖なる水を守れ(2)インディアン・スー族の戦いと沖縄へのメッセージ・・沖縄タイムス

2017-02-12 | 北米インディアン



「沖縄タイムス」に、トランプ政権が強行するパイプライン計画に抵抗する北米インディアンの記事、および、彼らから沖縄の基地闘争をする人々へのメッセージがありましたので、ご紹介します。

                 ・・・・・

「米先住民らの抵抗現場を見た 民主主義の抹殺現場「スタンディングロック」 【金平茂紀の新・ワジワジー通信(23)】
               「沖縄タイムスプラス」2017・02・06


              
アメリカ合衆国第45代大統領にドナルド・トランプ氏が就任した。

ホワイトハウス執務室の椅子に座るや、彼は大統領令を頻発し内外に混乱を引き起こし続けている。

今、世界はトランプ大統領によって引っかき回されていると言っても過言ではない。

僕は、そのトランプ大統領の就任式などを取材するために先月中旬からアメリカへと取材に向かった。


スタンディングロック・スー族居留地のキャンプ=1月、米国ノースダコタ州(筆者撮影)

就任式翌日、全米で「女性大行進(Women,s March)」という大規模デモ行進があった。

いやはや、大変なものだった。

正直に記せば、この女性大行進こそが「歴史的」という形容詞にふさわしい出来事だと実感した。

そのワシントンの数10万人規模のデモ行進の一角に、鮮やかな原色の衣装をまとった米・先住民たちの小集団がいた。

立錐(りっすい)の余地もなく移動がままならない人ごみの中で、僕らは何とか体をずらして少しずつ彼らに近づいていった。

彼らこそ、米ノースダコタ州でダコタ・アクセス・パイプライン(以下、DAPLと記す)という石油パイプライン建設工事に反対して闘っているスタンディングロック・スー族の人々だったのだ。

彼らについてはすでにこの欄で触れてきたが、今回の米国取材で僕らは現地にまで足をのばして、どのようなことが進行中なのかを直接取材することができた。


現地、ノースダコタ州のスタンディングロック・スー族居留地は、州都ビスマークから車で2時間あまり。

現地に近づくにつれ風景が変わっていく。

季節は真冬だ。

雪原以外には何もない白い雪と潅木(かんぼく)のみの世界が広がっていた。

寒い。日本から持っていった携帯カイロをいくつも体に貼り付けて取材にのぞんだ。


先住民たちにとって、この土地および近くを流れるミズーリ川は、先祖代々受け継いできた「聖なる土地・聖なる水」であり、彼らの生き方・世界観の礎となっている。

折から、国連人権理事会傘下の作業部会などが主催する先住民たちからのヒアリングが行われていた。

パイプライン建設に反対する先住民と支援者らの非暴力直接行動に対して、州政府警察、事業主が雇った警備員らが何をしたのか?

それを丁寧に聴き取り、記録していく作業が行われていた。


先住民の生々しい証言が続く。

ゴム弾で撃たれた。

催涙ガスを散布された。

放たれた犬に噛(か)みつかれた。

拘束され大きな檻(おり)に入れられ、腕に番号を刻印された。


ビスマーク市の白人住民多数の社会の反対の声は聞き入れられ、パイプラインのコースが変更されたのに、先住民居留地の近くを通るのならいいのか?

少なくとも現時点では、国連人権理事会はこの問題に重大な関心をもっているようだ。

今現在、現地では工事は止まっていた。

なぜならば、前回この連載で記した通り、オバマ政権下で、工事の許可権限をもつ陸軍工兵隊が、去年12月に環境アセスメントの見直し等を決め、事業主に建設を許可しないという決定を下したからだった。

だが現地に行って先住民たちから話を聞くと、彼らの多くは、これは「嵐の前の静けさ」だと冷徹に認識していた。

そしてその通りになったのだ。

トランプ大統領は就任わずか5日目の1月24日、DAPLを含む石油パイプライン工事の当初計画どおりの工事再開を命じる大統領令を発出したのである。


まさにその日、僕らは現地で取材していた。

何というめぐりあわせだろうか?

「明らかにこの大統領令は先住民たちの顔に平手打ちを食らわせるようなものだ。彼らは環境アセスメントをやる気などさらさらない」(現地にいたアメリカ自由人権協会、ジャミール・ダコワール弁護士の発言)。

先住民が抗議行動の拠点にしているキャンプには、さまざまな意匠に富んだテントが数多く設営されていた。

僕らが訪れた時はせいぜい400人位しかいなかったが、一時は数千人がこのキャンプ地および近郊に結集していたという。


スタンディングロック・スー族の行政庁で歴史編さん部の仕事をしている歴史家ジョン・イーグルさんに話を聞くことができた。

「ここアメリカで主流とされる社会と私たち先住民とでは、〈神聖〉とするものが異なるのです。

私たちの祖先は、この土地から生まれでた。

この土地から、私たちの物語が始まったのです。

アメリカ人のほとんどは、海外から来た人たちです。

私たちの先祖はこの土地に眠っていますが、彼らの先祖たちはここから遠く離れた土地に眠っています。

ですから彼らのこの土地との絆は、私たちが持つ絆とは異なるのです。

土地を守り、水を守るのは私たちの当然の責任だと思っています。

それで私たちは〈水の番人〉と呼ばれるようになったのです。

ですから抗議活動とかデモなんていう軽い言葉は使いたくありませんね」


豊かな知識に裏打ちされた確固とした語り口だった。

実際、イーグルさんの話の内容は、7世代前の先祖たちの予言にまつわるものから、はるか未来の世代への責任など、時間のスケールが桁違いに壮大なのだった。

最も懸念されるのが、パイプラインからの石油漏れだ。

実際かなりの頻度で、石油漏れと環境汚染が起きている現実がすでにある。

「私たちがそれを許したばかりに、子供や孫やひ孫が大惨事に対処しなければならなくなるのです」


イーグルさんは、こちらが切り出す前にすでに沖縄の米軍基地建設に絡んで進行中の出来事のことを知っていた。

「私たちにとって、この世の中にあるものの中で1番の薬は水です。

水は命です。

沖縄の人々にメッセージを持ち帰ってもらえるならば、彼らにこう伝えてください。

彼らが立ち、守っているその土地は、スタンディングロックで私たちが立っているこの土地と同じです。

私たちはそれほど遠く離れてはいません。

心に勇気を持つように、彼らに伝えてください。

私たちは成し遂げることができます。

私は彼らのために祈ります。

この世界でもがき苦しむ全ての人が、共に立ち上がるべきなのです」

はるか遠く離れたノースダコタ州の先住民から、沖縄の人々へのメッセージである。

               ・・・・・

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