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戦後の朝鮮史観を、見直すべきだ・・「日韓がタブーにする半島の話」室谷克実氏(4・終)

2017-05-20 | アジア



古代の朝鮮半島について学びたいと思い、室谷克実氏の「日韓がタブーにする半島の歴史」を読んでみました。続きです。リンクは張っておりませんが、アマゾンなどでご購入になれます。

この本をどう読むかは、それぞれの方のお考えによると思いますが、わたしは、どちらが偉いかということでは読んでいません。

朝鮮半島と日本は古来から深いかかわりを持ってきたという、当ブログでも今までたくさん取り上げてきたテーマの一環として、一つの資料としてご紹介したいと思います。

           *****

         (引用ここから)


「半島と列島の神話は本当によく似ている」と最近しばしば言われる。

たとえば、「朝鮮民族の最初の人は〝天神の孫″で、〝三種の神器″を持って〝高い山の頂に降臨″してくるのだよ。

どう考えても歴史はむこうの方が古いのだから、日本の神話は朝鮮民族の神話を盗んだのだろう」。

あるいは、「いや、そもそも同じ民族だったから、本質的に同じ神話を持っているのではないか?」などなど。


この〝朝鮮民族の神話″とは、「檀君神話」を指している。

全文は、漢字で書かれており、400字程度しかない。

「三国遺事」に記された「檀君神話」から、私なりの訳文を示そう。

             ・・・

「魏書」によると、「今から2000年前に檀君・王倹が現れて、 阿斯達(無葉山・白岳。白州、あるいは開城の東にあるという。今の白岳宮のこと)を都とし、国を開いて「朝鮮」と呼んだ」という。

高(=中国の古代伝説に出てくる五帝の一人である「堯」のこと)と同じ時代だ。


「古記」によると、昔、桓因(帝釈(天帝)ともいう)の庶子である桓雄は、しばしば天下に思いをめぐらしては、人間社会を非常に欲しがっていた。

父は子の心を知り、3つの高い山の一つである太伯山を見下ろし、「人間に益を広めるべし」と結論した。


そこで父は桓雄に〝天符印″3個を授け、人間社会を治めに行かせた。

桓雄は、歩兵3000人を率いて、山頂(すなわち太伯山、今の妙香山)の神檀樹の下に降りた。

ここを神市と言い、これが桓雄天王だ。

風の神・雨の神・雲の神を率いて、穀物、命、病、刑、善、悪など、およそ人間の360あまりのことを司り、人間を教化した。


ときに一頭の熊と、一頭の虎が、同じ穴に住んでいて、人になることを願い、桓雄に向かって常に祈っていた。

ある時、桓雄は、霊験あらたかなヨモギ一束とニンニク20個を与え、

「おまえ達がこれを食べ、日光を100日見なければ、人の形になれるだろう」と言った。

熊と虎はこれを食べ、忌むこと21日で、熊は女身になった。

虎は忌むことができず、人身になれなかった。

しかし熊女と結婚する者はなく、熊女は檀樹の下に来ては、はらむことを願った。

そこで、桓雄が人に化けて熊女と結婚し、女は子を産んだ。

それが「檀君・王倹」だ。


「檀君」は、唐高(堯)の即位から50年の庚虎(かのえとら)に、平壌京(今の西京=平壌)を都とし、初めて「朝鮮」と称した。

やがて都を、白岳山の阿斯達へと移した。

その国は1500年続いたという。

周の虎王(武王)が即位し、殷王の親族にあたる賢者を朝鮮の支配者に任ずると、檀君は蔵唐京に移り、後には阿斯達に隠れ戻り、山神になった。

没した時は1908才だった。

           ・・・

これが「檀君神話」である。

しかし、「檀君神話」が盛られている「古記」という史書は、原典が伝わっていない。

実は、それが一般名詞なのか固有名詞なのかすらも分からないのだ。

この話が、「日本の天孫降臨神話の原型」と言われているのだが、どう考えるべきだろうか?



「三国遺事」には、もう一つの「日本神話の原型」と言われることもある「金首露(きんしゅろ)の降臨神話」も収められている。

その内容を以下に記す。

               ・・・


開闢以来、この地には国の名称がなく、君主の呼び名もなかった。

後漢の世祖・光武帝の建武18年、「亀旨(クチ)」と呼ばれる村の北側の峰に、怪しげな声がした。

声は聞こえるが、姿は見えない。

その声は、「ここに人がいるか?」と聞く。

村の長が「おります」と答えると、「ここはどこなのか?」と聞く。

「亀旨です」と答えると、

声は「皇天が私に言いつけて、ここに来させ、国を新しく建て、私に君主になれと言われたので降りてきた」、と言う。

「峰の頂上の土を掘りながら、

〝亀よ、亀よ、頭出せ、出さずんば焼いて食べるぞ″

と歌い踊れば、大王を迎えることになる」と言った。


皆がそうすると、天から紫色の紐が垂れてきた。

紐の端には、赤い風呂敷があり、中に黄金の「卵」が6つ入っていた。

それを家に持ち帰り、翌朝大勢の者が集まり、見ると、6つの「卵」が6人の男の子になっていた。

はじめに現れた男の子を首露(しゅろ)といい、大駕洛、あるいは「伽耶国」の君主となり、残りの5人もそれぞれ五伽耶の主となった。

               ・・・

これを日本の「天孫降臨神話」の原型と考えるべきなのか?


親韓派の古代史マニアたちがしばしば語る「日韓神話の酷似性」とは、「檀君神話」と「金首露神話」を混同、かつ歪曲して、こんなふうに語る。

                ・・

朝鮮の神話でも、天孫は日本の神話と同様に、高い峰の上に降臨してくる。

しかも「三種の神器」まで持って降臨する。


そして、降り立った所は「クジ」の峰という。

瓊瓊杵尊(ニニギノミコト)が降り立った「クシフル」の峰と、あまりにも似すぎている。

九州と、対岸の韓国釜山市周辺には、ほとんど同じ神話があるのだ。

ゆえに、日本の神話は、韓国から来たものだ。

                 ・・


「新羅の4代目の王は、列島から流れて行った人間だ」。

実はこれは、日本で近代的な朝鮮史研究が始まるや、すぐに指摘された説だ。

明治時代の研究者の多くは「三国史記」を読み始めるや、「ここに出てくる「脱解(タレ)」とは倭人だ」と思った。

しかしどの研究者も「多婆那(たばな)国」を熊本県玉名(たまな)市、但馬(たじま)国あるいは丹波(たんば)国に比定した程度で、深入りしなかった。

「脱解(タレ)」以降の倭人王については、考察された形跡がほとんどない。



中国の正史「隋書・倭国伝」にある、「新羅も百済も、倭国を大国として認めている。すぐれた品々が多いためで、新羅も百済も倭国を敬仰し、常に使節が往来している」という記述は、なぜ朝鮮史学者に無視されてきたのだろうか?

想像するに、この記述を史実と認めたら、戦後日本の朝鮮史学界が一貫して保ってきた「自虐的日韓関係史観」=「和人はほとんどあらゆることを半島の民から学んできた」と始まる史観(天皇の「お言葉=わたしの祖先はあなた方の国の人だと聞いています)」に象徴される対半島観)が土台から崩壊してしまうからだろう。

黒岩重吾は、「戦後、皇国史観を排除するために、〝日本よりも朝鮮半島の方がすべて優れている″という説が流行りました。

ぼくも20年前頃は、そんな風に考えた。

「任那」という言葉を口にするのさえ、帝国史観と非難され、はばかられるような雰囲気でした。」と述懐している。


隣国との関係史は、隣国を知る上でも、自国を知る上でも重要だ。

それが大声を出す暴力的な集団の圧力や、隣国との政治的妥協や配慮、あるいは研究者の自虐的な嗜好などによって歪められることがあってはならない。

             (引用ここまで)

               *****

「檀君神話」と「金首露神話」のオリジナルからの訳文を読むことができたことは、収穫でした。

これらの神話の研究を客観的にすることは、意味があることだと思いますので、他の本も読んでみたいと思います。

しかし、「檀君神話」が、南北両朝鮮で、国定教科書に自国の史実として記されている、というウィキペディアの記述には、びっくりしました。

日本が「記紀神話」を、日本史の資料として、極力重視しないのに比べて、神話を史実として、教科書に載せて、子供たちに教育するというのは。。

wikipedia「檀君朝鮮」


著者は本書の中で、「金首露」という王も、倭人であるだろうと述べています。

著者の、朝鮮の古書の分析からすれば、当然の帰結と言えます。

結局どうなのか、、いろいろな資料を今までより身近に理解できるようになったので、もう少しこのテーマを続けたいと思います。


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