オーディオ彷徨録~JBL4331AからALTEC620A~

今までのオーディオの改良や音楽の遍歴に、今後の改善も紹介。いい音に繋がる方法を色々模索したことや、好きな音楽を紹介する。

ギュンター・ノリス ~別れの曲/クラシック・リラックス~

2017-04-05 15:57:35 | ジャズ
 今回は、少し珍しいかと思い、ギュンター・ノリス ~別れの曲/クラシック・リラックス~の話をします。これを初めて聴いたのは、大学生の時、午前零時から始まったFM大阪の、”ジェットストリーム”という番組でした。城達也さんが司会をしていたあの優しいナレーションに癒されたのを思い出します。そこで、これがかかって、そのサウンドの斬新さにビックリ!し、特に4曲目のイタリア奇想曲にノックアウトされました。
先ずは、ギュンター・ノリス の紹介から。
 ■1)アバウト ギュンター・ノリス (Gunter Noris、又はGünter Noris、Günter M. Noris、Günter Maier)
 ギュンター・ノリスは、1935年6月5日(ふたご座)生まれ。ジャズピアノの名手で作曲家でもあり、ドイツポピュラー音楽界のスターだった人で1965年~80年ごろ全盛期だったと思います。そのサウンドの厚みには、感服しました。1980年頃は、ギュンター・ノリスの曲が、どこのダンス競技会へ行っても掛かりましたという位ダンス音楽界では知られていたようです。彼は、バイエルン国立音楽院のレオンハルト教授のマスタークラスで学んだピアニスト。ベルリンのアメリカ地区放送局(RIAS)のダンス音楽やウエルナー・ミューラー楽団のピアニストとして活躍すると共に、自分のトリオを持ってモダン・ジャズを演奏し高い人気を博した。オスカー・ピーターソンと、ビル・エバンスをアイドルとしていたということで、誠に趣味の良い、上質なアイデア豊かなアドリブを聴かせてくれます。ウエルナー・ミューラー楽団の来日公演で、1966年と68年に来日もしています。2007年11月7日(享年72歳)没。合掌。

 ■2) ギュンター・ノリス・トリオ(本アルバムでも参加)
 ベースのジャン・ワルランとドラムスのハインツ・ニューマイヤーは、前の作品の”モーツアルトモダン”でも好演したノリスの僚友で、ワルランはベルギーのブリュッセル生まれ。ベルギー国立音楽学校に学んだヨーロッパのベーシストの代表格の一人。サッチモや、エリントンのヨーロッパ公演にも参加し、長い間レディケ5重奏団で活躍した。ハインツ・ニューマイヤーは、ベルリン国立歌劇場の打楽器奏者でしたが、モダンジャズドラマーの始祖ケニークラークを知って、ジャズ界に入りました。

 ■3)ハンス・ゲオルグ・アルルト・ストリングス
 別れの曲/クラシック・リラックスで共演しているが、ハンス・ゲオルグ・アルルトは、ベルリン音楽学校で、マックス・シュトラウベにヴァイオリンを学び、1946年からベルリンの放送局でヴァイオリン奏者兼指揮者として活躍。その後、RIASのダンス楽団を指揮し、1958年に自分のオケを組織し、洗練された演奏で有名になった。

 ■4)ギュンター・ノリス ~別れの曲/クラシック・リラックス~キングレコード発売GXH1004(ロンドンレコード)
 これは、ドイツポピュラー音楽界の2大スター、ジャズピアノの名手ギュンター・ノリスのトリオとムード音楽の指揮者ハンス・ゲオルグ・アルルトとの共演による大変楽しいクラシック名曲アルバムです。
 ジャズによるクラシックの名演といいますと、仏のジャック・ルーシュによる”プレイ・バッハ”とか、スイスのピアニストのジョルジュ・グルンツのバロックのジャズ化とかオイゲン・キケロの一連のアルバムとかが浮かぶと思いますが、ギュンター・ノリスもそれらに勝るとも劣らないくらい良いアルバムを出しています。その系統で、先ず上記”モーツアルトモダン”を第一作として出し、2作目に出したのが、この”別れの曲”です。昭和44年3月に一度日本で発売されて、好評を得たものです。この作品では、馴染深い数人の大作曲家のポピュラーな名曲を取り上げ、前作のトリオ演奏での手法を変え、アルルト指揮のストリングスとの共演によりぐっとリラックスしたポップ・ジャズ、或いは、イージー・リスニング・ジャズとしての表現に素晴らしい魅力を発しています。ソニー・ロリンズで言えば、”サキソフォン・コロッサス”に相当すると言えば、ジャズファンは聴かずとも判って頂けると思います。編曲もノリスです。これがCDになっていないのは、極めて残念です。あれば、即買いますが、待っていられないので、LPからPCでMP3にその内落とします。とにかく、演奏している本人が楽しくて堪らないという感じで弾きまくっています。

 ■5)別れの曲の各曲
 LPのジャケット写真を載せます。



 ①別れの曲 フレデリック・ショパン
 言わずと知れた、ショパンの名曲です。ピアノのための”12の練習曲”(作品10)の第三番目ホ長調が原曲で1833年出版。ショパン自身が、このような美しいメロディーは、生涯に書いたことがないと語ったと言うことですが、生前に語った言葉としては少し変ですね。別れの曲というのは、1934年に、ジャン・セルヴェ主演で、ショパンの青春を綴った映画”別れの曲”のテーマとなって以来、この曲のタイトルとなった。演奏は、オケとピアノでロマンティックにテーマを唄ってスタート。それからロック(8)ビートに変わり、ピアノソロがスイングし出す。ストリングスとピアノがメロディーを交換しながら進行していく面白さが堪らない。

 ②アルルの女 より前奏曲 ジョルジュ・ビゼー
 ビゼーの人気組曲”アルルの女”から前奏曲です。この組曲は、仏の文豪アルフォンス・ドーデーの戯曲”アルルの女”の劇中音楽として1872年に作曲したものから纏めたもので、第一組曲に収められた前奏曲にはには、古いプロヴァンス地方のクリスマス民謡”三人の王の行進”が使われていることもおなじみです。ノリスは、マーチ風の”三人の王”のメロディをストレートに奏し、ストリングスとのリピートを経てアップテンポの華やかなスインギーなアドリブに入る。

 ③シューベルトのセレナード フランツ・シューベルト
 シューベルトは、1828年に亡くなりましたが、この年にシュターブの詩によって作曲したもので、この年に作られた他の13曲と共に翌年”白鳥の歌”と題する歌曲集に収められて出版されました。英語詩によるポピュラーソングも作られています。どうかすると、耳に慣れすぎたと言われるかもですが、ノリスは意表をついた仕上げをしています。テイク5のイントロにおやっとおもったら、この曲を4分の5拍子のジャズにアレンジしています。快いユーモアを感じられる見事なアレンジぶりで、ウキウキと弾むスイングの楽しいこと請け合いです。

 ④イタリア奇想曲 チャイコフスキー
 チャイコフスキーが1879年末から弟のデモストと行ったイタリア旅行が刺激となって作曲されたオーケストラ曲で彼が耳にしたイタリアの民謡のメロディが消化されているようです。云わば、イタリアのロシア人というような楽しい作品。この曲が一番のお気に入りです。
先ずは、ストリングスが第一部の有名なメロディを壮麗にプレイし、これをイントロとしてノリスのトリオが第四部の喜びに満ちた明るい南イタリアの太陽を思わせるメロディを使ってキビキビとしたジャズ・ワルツのプレイを展開。バックのストリングスの流れるような動きとは対照的にノリスはダイナミックにスインギーなソロを弾きまくる。

 ⑤トロイメライ ローベルト・シューマン
 原曲は、独ロマン派の大作曲家ローベルト・シューマンのピアノ小品集”子供の情景”の第七曲。ぼんやりと何かを夢想している子供を描いた名曲で、1838年の作品。ノリスは原曲に忠実なテーマでスタートし、やがてジャズ的にフェイクしたフレーズの面白さを見せていく。しかし、バックのストリングスを含め全体としては、美しい原曲を尊重したロマンティックなムードに徹した好演です。

 ⑥アニトラの踊り 『ペール・ギュント』より エドゥヴァルド・グリーグ
 ノルウェーの作曲家グリーグの作品。イプセンの詩劇 『ペール・ギュント』のため1875年に作曲した音楽による”第一組曲”に収められているもので、ペールがアラビアで遭った酋長の娘アニトラの踊りの音楽です。原曲は、ゆるやかでエキゾティックな4分の3拍子ですが、ノリスは、これをやや速いテンポのジャズワルツとし、エモーショナルにご機嫌なスイングを伴いプレイしている。

 以下、B面

 ①舞踏への勧誘 ウエーバー
 ウエーバーがピアノ曲として1819年に作曲し、後にオーケストレーションされて更にポピュラーとなった名曲。ベニー・グッドマン楽団のテーマ曲”レッツ・ダンス”の原曲です。これは紳士熟女のエレガントなダンスの曲だったが、ノリスは途中から趣向を変えボードビルとタップダンスの音まで加えて見せる粋なアレンジをしている。

 ②ハンガリー舞曲 第五番 ヨハネス・ブラームス
 ヨハネス・ブラームスが、ハンガリーのジプシーの音楽によって作った全4巻21曲のピアノ連弾曲の一つ。1869年出版。これもオーケストレーションされて更にポピュラーとなった名曲。ピアノとストリングスのユニゾンによるメランコリックなプレイでスタート。直ぐにミディアムテンポのスイングするピアノに移る。ピアノとドラムのチェイスやテンポチェンジが洒落てます。

 ③家路 ~『新世界交響曲』より ドヴォルザーク
 チェコの大作曲家ドヴォルザークがアメリカに招かれ、ニューヨークの音楽院で芸術校長をしていた時に作曲し1893年に初演された交響曲。ノリスが弾く第二楽章ラルゴのメロディには、歌詞がつけられ家路となり、又”ウォーク・ウィズ・ミー”という黒人霊歌もある。演奏は、アイドルとしていたピーターソン的な好演です。

 ④ハンガリー狂詩曲 第二番 フランツ・リスト
 ハンガリー生まれの大ピアニスト・大作曲家のフランツ・リストの代表的なピアノ曲。ジプシー音楽の影響を受けたハンガリーの民族音楽を代表するチャルダッシュの面白さを十分に表したラプソディックな名曲としておなじみの名曲。ここではノリスが、彼独特のセンスで消化し、ジャズによるラプソディに仕上げている。スタートは、原曲通りの”ラッサン”から始まるが、ミディアムテンポのスイング感がジャズ的で、ノリスのイマジネーティブなアドリブは、見事。後半はお約束のスリリングなアップテンポとなり、ベース・ドラム・ピアノ・ストリングスの渡り合いの妙が素晴らしい。エンディングもこれでもかのアレンジがありスマートに終わる。

 ■6)ノリスの他の作品
 これは、70年代後半にエアーチェックしたテープですが、以下です。

 左は、A面が、”四季”(これはYOU TUBEで聴けます)で、B面が”バッハ(トッカータとフーガ ニ短調)”とジャック・ルーシュトリオ、
中央がA面が、”ノリスのビートルズ”、B面はビルエバンス(これもジェットストリームから)、
右は、A面が、”ノリスのブランデンブルグ”、B面は、高橋達也と東京ユニオン+中本マリ、です。

 ■7)ジェットストリームについて

 初代パーソナリティーの城達也(あのタモリさんも話術の師と仰いだとか)さんの柔らかい上品な声のナレーションをまた聴いてみたいと思います。

 あの、名調子でこの台詞と音楽を聴いてから寝るのが、最高の贅沢でしたね。

”遠い地平線が消えて、
ふかぶかとした夜の闇に心を休める時、
はるか雲海の上を音もなく流れ去る気流は、
たゆみない宇宙の営みを告げています。
満点の星をいただく はてしない光の海を
ゆたかに流れゆく 風に心を開けば、
きらめく星座の物語も聞こえてくる、
夜の静寂の、なんと饒舌なことでしょうか。
光と影の境に消えていったはるかな地平線も瞼に浮かんでまいります。

日本航空があなたにお送りする音楽の定期便ジェットストリーム 
皆様の夜間飛行のお供をするパイロットは私、城達也です”
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