オーディオ彷徨録~JBL4331AからALTEC620A~

今までのオーディオの改良や音楽の遍歴に、今後の改善も紹介。いい音に繋がる方法を色々模索したことや、好きな音楽を紹介する。

ア・ワールド・オブ・ピアノ フィニアス・ニューボーン・Jr

2017-08-10 15:06:13 | ジャズ
 今回は、待望の”ア・ワールド・オブ・ピアノ”です。そう、ソニー・ロリンズで言えば、丁度”サキソフォン・コロッサス”に当たると思いますが、代表作であり、最高作といってもいいと思います。勿論、”ハーレム・ブルース”の方が最高だという人もいるとは思いますが。これを聴くと、他の誰のピアノトリオのアルバムを聴いてもそれが色褪せます。

 ■1)ア・ワールド・オブ・ピアノの位置づけ (以下は、大和 明氏の解説等を参照して一部改変しています。)
 8/2にフィニアスの2回目にアップした’56年のデビューアルバム”ヒア・イズ・フィニアス”で’56年に奇しくも亡くなった”テイタムの再来”などと騒がれたが、5年後の本アルバムの彼は、プレイに風格と余裕が生まれてきており、一段とスケールが大きくなっている。このアルバムを聴いたスリー・サウンズのピアニストであるジーン・ハリスは『これは今までのジャズに起こった最も偉大なことだ。まさに現在プレイしている最高のピアニストである。あらゆる敬意を払って、凄い人だといえる。全く美しい。素晴らしいジャズミュージシャンだ』と絶賛した通り、正にこれは見事なまでのピアノトリオによるアルバムなのだ。

 ■2)ア・ワールド・オブ・ピアノの作成経緯
 フィニアスは、’56年にデビューしてから4年間をニューヨークにて活動し、’60年頃から南カリフォルニアに移住した。ここで、コンテンポラリー・レコードのオーナー、レスター・ケーニッヒに出会い、その将来性を認めたレスターは、早速自分のレーベルのレコーディングに参加させた。その後、正式に契約を結んだ。そして、レスターはアートペッパーの復帰を’57年に画策して、マイルスのザ・リズムセッッションが西海岸に来演したときにペッパーと共演させた時と同じように’61年にフィニアスをマイルスのザ・リズムセッッションである、フィリー・ジョーとチェンバースを招聘してフィニアスと共演させた。それが、このアルバムのA面の4曲です。また、1ヵ月後にキャノンボール・アダレー・クインテットがハリウッドにきていた時に、そのリズムセクションのベース・ドラムスと共演させたのが、B面の4曲です。
 尚、フィニアスは、’60年代は精神分裂病で殆どプレイできない状態であったが、地元に戻り半ば引退状態であった彼を復帰させるべく、’69年に再びアルバム作りの場を用意したのもレスターです。この頃のプロデューサーのジャズメンに対する愛は尊敬できます。そこでレコーディングされたのが、”Please Send Me Someone to Love”です。これは素晴らしいアルバムだと、後に元々同日のセッションにおいてお蔵入りになっていた録音を集めて半ば強引に日本向けに発売された経緯のあるのが、『Harlm Bluse』であるわけですけど、セッションの最初の頃と終盤にかけて録音されたものが多い。しかし、『Harlm Bluse』の方が、SJゴールドディスクに輝いているなら、”Please Send Me Someone to Love”の方がいいという人もいるので、その当りは個人の好みの問題ですかね。尚、このセッションでフィニアスと初顔合わせのレイブラウンは、この後、何回もフィニアスのレコーディングに参加し、彼の復帰を支え続けた。以下、アルバムリストを再掲載。


 ■3)ア・ワールド・オブ・ピアノ
 ジャケットは以下。

 A1-A4
PHINEAS NEWBORN JR(p) PAUL CHAMBERS(b) PHILLY JOE JONES(ds)
recorded 1961/10/16
 B1-B4
PHINEAS NEWBORN JR(p) SAM JONES(b) LOUIS HAYES(ds)
recorded 1961/11/21
 このアルバムでお気に入りなのは、B4のカブーです。この中高速のテンポのウキウキするスイング感と両手のユニゾンが堪りません。ウィ・スリーのアワー・デライトも同じような浮遊感があります。勿論、バラード好きの私の好きな”ラッシュ・ライフ”での心に響く情感や、”ダホード”の勢いに圧倒されたりの、”ギャップ”を楽しめるのもこのアルバムの楽しみ方の一つですが。

 録音は、Howard HolzerとRoy Dunannという2名ですが、’61年録音では信じられない位の凄く良い音で録音されていると思います。ジャズをちゃんと録音しようという気概を感じます。とにかく、眼前にトリオが現れる凄い録音です。(アナログ特有のテープヒス・歪・ドロップアウトはあるとしても)

 最初に、大和 明氏の解説を、後半に私の感想を簡単に記載。

 A- 1.チェリル "Cheryl" (Charlie Parker) – 3:44
 ”チェンバースのアイデアによるベースとのユニゾンで始まるテーマの扱いが実に新鮮だ。ブロック・コード・スタイルを織り交ぜたフィニアスが快調そのもののブルースを弾きこなしている。”

 バードとは違ってクールな味付けの力強いプレイ。スインギーにアップテンポでアドリブを崩していくが、その変化の付け方が凄い。どんな形にも料理できるシェフ。リズムのバリエーションも多いし、それを生かせるテクがある。
 
 A- 2.マンテカ "Manteca" (Dizzy Gillespie, Gil Fuller, Chano Pozo) – 4:18
 ”フィニアスは、このガレスビー楽団のヒット・ナンバーをそのビッグ・バンド・サウンドに挑戦するかのように、思いっきりダイナミックに熱気を帯びたプレイを聴かせる。”

 身体が踊りだすようなラテン系のリズムに乗ってウキウキしたテーマで始まる。リズムセクションと一体となって疾走していくが、音に深みがある。力強くブラックフィーリングたっぷりのグルーブ感と両手のオクターブ・ユニゾン。流石マイルスのザ・リズムセクション、フィニアスのプレイに素晴らしいドライブ感を与える。

 
 A- 3.ラッシュ・ライフ "Lush Life" (Billy Strayhorn) – 6:40
 ”ルバート・テンポで入るバースの部分は内省的なムードをたたえながらも、テイタム的な華麗さを示す。この部分のハーモニックな構成と共通点があるとのことで、彼はここでラヴェルのソナチネの一部を使っている。”

 このバラードにはノックアウトされた。ソナチネの引用のイントロは、迷っている時のスガチン(菅野邦彦)並みに長い。リズムが加わった瞬間に解れる。色を宝石のようにドンドン重ねていって、音に深みがあるバラード。心に響く。華麗でゴージャス。

 A- 4.ダホード "Daahoud" (Clifford Brown) – 4:40
 ””ヒア・イズ・フィニアス”でも録音したことのある曲の新ヴァージョン。きびきびとしたフィニアスとフィリー・ジョーとの絶妙なコンビネーションが聴きもの。”

 勢いに圧倒された。速いフレーズの魅力・4バースの魅力・アドリブの魅力。ドラムの後の決めもカッコいい。ここまでは通常の人間では弾けないであろうという超絶テク。両手のユニゾンと疾走感。シビレル。

 B- 1.オレオ "Oleo" (Sonny Rollins) – 3:02
 ”急速なテンポに乗って、トリオの3人が見事な駆け引きを演じる。この曲を演奏する時の通常の形に従って、ピアノとベースのデュオに加え、サビでドラムスが加わるが、寸分の狂いもないタイミングの良さはまるでレギュラー・グループのように聴こえる。”

 アップテンポのテーマ。そこからは、高速オレオのオンパレード。どこまで早く指を走らせられるかに挑戦しているようなチャレンジングな指使い。これぞフィニアスの真骨頂。テクだけではないアドリブのアイデアも泉の如く。お約束の4バースも入ってフィリーJ並みの小気味良い切れ切れのドラミング。最後テーマに戻ってもひたすら走りっぱなしでエンドへ。

 B- 2.ジューシー・ルーシー "Juicy Lucy" (Horace Silver) – 4:50
 ”ファンキー・ナンバーだが、フィニアスのプレイはリラックスしたムードによる表現を試みている。”

 ミディアムテンポのテーマが力強いタッチで流れ、ファンキーでリラックスした乗り乗りのアドリブも変化に富み、余裕綽綽。クルービー!どこまで湧いてくるの?と聞きたくなる。チェンバースと思わせる落ち着いたジョーンズのベースソロも途中に挟んで、テーマに戻って、オーソドックスにドラムの1発でエンド。

 B- 3.フォー・カール "For Carl" (Leroy Vinnegar) – 7:27
 ”ヴィネガーが、故カール・パーキンスを偲んで書いた曲。シンプルで親しみやすいワルツタイムの曲であり、フィニアスは実に美しく、可憐さとちょっとした哀愁を漂わせながら、華麗なテクニックを披露している。”

 スガチン(菅野邦彦)のフィンガーポッピングの2曲目にも同曲があるが、スガチンは日本人の郷愁を刺激するセンチメンタルな装飾過多のアドリブに行ってしまうが、フィニアスは、そこを我慢して抜いているところが堪らん。でも、後半超絶テクの片鱗も所々に散りばめてくる。それにしてもアドリブアイデアは無限に溢れてくる。

 B- 4.カブー "Cabu" (Roland Alexander) – 4:53
 ”ボストンのテナー奏者のR・アレキサンダーの曲。フィニアスは、彼独自の2オクターブの間隔をとった両手のユニゾン・ラインを駆使し、流れるようにスイングしている。”

 この曲が一番お気に入り。ウィ・スリーの最後の曲でお気に入りの”アワー・デライト”と似たムードの曲。ミディアム・ファーストのテーマでスタート。アドリブ・メロディも変化に富んで多彩。4バースもフィリーJよりは切れは劣るが、別の味がある。心がウキウキするフレーズが次々に湧いてくる。ベースソロも途中に入るが、チェンバースとは違って、前乗りというか突っ込み気味ではあるが、ピアノの寄り添いとも会話して乗りはすこぶる良い。ドラムのフォローでエンド。

 ■4)You Tube
 A面が、SIDE1として、B面は、SIDE2として、全曲上がっています。
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