ゴマフの家に、「世界の亀山モデル」がやってきた。
到着して数日はゴマフ家で長年働いてくれた26型のブラウン管がまだ
業者さんの引き取り待ちで居間にいたため、
梱包された状態のまま置き場なく廊下を占領していた。
そして本日めでたくブラウン管さんが引退となり、
新参の亀山モデルに頑張っていただくことになったわけだが・・・。
テレビの設定は、ゴマフの手にゆだねられた・・・。
ゴマフ家ではまだ「地デジ」を契約していない。
ただ、「2011年には今のテレビ(ブラウン管)ではテレビ放送を観られなくなる」という
何気ないゴマフの一言を聞いたテレビっ子のゴマフパパがムンクさんになり、
慌てて地デジに対応するテレビを買う話までカッ飛んだようなのである。
実際にはとりあえずチューナーを買えばいい話だったのだが、
まぁ、ゆくゆくはテレビを新調する話も出ていたし、
高額の買い物はできるだけゴマフパパが定年を迎える前に済ませておこう、
というゴマフママの言い分も理解できるので、
ゴマフもそれでいいことにした。
なので、「地デジ対応世界の亀山」で「アナログ放送」を観る、
ということになったのだ。
引越しを来年に予定しているゴマフ家では、現住所で地デジ工事をしてもらうより、
今年をアナログで乗り切って、引越し先で初めて地デジを契約しよう、と
話はまとまっている。
で、だ。
テレビと、それと互換操作ができるDVDレコーダーを同時に購入したゴマフ家。
当然設定は一緒に行うことになる。
ゴマフは典型的な文系だ。
機械はからっきし、である。
わからないボタンは、押さない。近寄らない。
そんなゴマフが、テレビの設定・・・。
しかし、両親に任せるのはもっと不安なので(母:乱暴、大雑把 父:不器用、頑固)、
ゴマフは役割を決めて取り掛かることにした。
総大将:ゴマフパパ
軍師:ゴマフママ
足軽:ゴマフ
総大将は本陣にどっかりと腰を据え、戦況を見守りつついざというときだけ
戦場に登場し、危機が去ったら一番に帰る。
軍師は作戦をたて、戦況に応じて総大将と兵士の間を行き来しながら
指示を出し、人を動かす。
足軽は、基本的に軍師に従いつつ、死するまでもくもくと戦をこなす。
足軽ゴマフ、見事、討死。
だってっっ!!!
世界の亀山は、アナログ人民にちっとも優しくないんですもの!!
もう、「世界の亀山導入したからには、お宅さんは当然地デジ人民でっしゃろ」
と言わんばかりの説明書なんです!
説明の基本が地デジであり、ものっそい無礼なくらい慇懃に細かく書いてあるのに、
アナログ放送でどーやったらテレビが観られるか、なんて
ほ~んのチョコチョコっとしか書いてない!!
アナログ設定はわからない!!
しかも、もっと意味不明なのは
「初期設定のしかた」が、分厚い説明書の、かなり後半のページに書かれている、ということである。
それ、初めの始めに書かね?
一応、カラフルな紙一枚に、
「簡単操作・設定のしかた」
みたいなもんが付いてきたけど、
ホントに簡単すぎてわからない。
はっきりいって、簡単なのは操作ではなく「説明」である。
そして。
苦悶するゴマフの横で、あろうことかゴマフパパは、ゴマフが血眼、怒髪天でまだ使っている説明書をテレビの分とDVDレコーダーの分を混ぜこぜにしてとっととまとめて隅に押しやり、両方合わせると大量のコードの類を端から開封し、どっちに使うナンなんだかわからなくなり、ゴマフママに至っては、テレビの背面についているコードをまとめる部分のフタを、突然開けてみたと思ったら、閉まらなくなったから、とベシベシ引っぱたく始末。(液晶モノを叩いてはいけません)
そもそもどんな機械類も説明書も読まずになんでもおっ始めるアナログ両親に、
ゴマフは初めから心配はしておりましたが。
時代は進み、機械は単純でなくなったのだから。
もう説明書なしで突き進むのは無理がある。
かといって、
説明書読まないんなら積極的にわからんことを色々やってみて調べてくれればいいのに、
「わかんない。ゴマフ、どーすればいいの?」
と何でも質問してくる。
ゴマフはサポートセンターの姉ちゃんではありません。
ってか、人一倍疎いです。
結局、「最悪、コレがわかんないと先に進めない」ってところはサポートセンターにゴマフが電話し、
お姉ちゃんに優しく諭されつつ回答してもらい、辛うじて初期設定はクリアできました。
おかげさまで、なんとかテレビは観られるようになりました。
それにしても、この説明書はひどすぎる!
いや、これに限ったことではないかも知れないし、
機械に強い人には「めっちゃわかりやすいじゃん」と思われるような説明書なのかも知れませんけど。
ゴマフには不親切極まりない説明書に見えます。
そもそも、
誰が地デジにしてくれと頼んだ?
あくまで政府が勝手に決めたことだ。
それに関してゴマフは政府から相談された覚えもなければ、
決定していい、と承諾した覚えも無い。
今笑った人。
ゴマフは真面目ですよ。
だってゴマフも国民だもん!
なのに、勝手に政府が決めたことに、こんなに苦労させられて、
でも否応なく・・・従わなければテレビも観られないなんて・・・
民主主義って、ナンでしたっけ?
だのにこの説明書。ゴマフの中では、政府が勝手に決めたことだから、
ちゃんと理解、納得してない国民も(ここに)いるわけで、
そういう国民のためにも説明書くらいは丁寧に、地デジにした人とアナログのままで
もーちょいネバる人とを平等に扱うべきだ、てのが常識。
ところが。フタを開けりゃ地デジは常識で、アナログはつまはじき。
もはや目の前の亀山でさえもが、
「世界の亀山でアナログなんか観てんじゃねーよ」
と文句をたれているように見えてくる。
うるせー。
アナログ人口、もうそんなに少ないの!?
そーとも思えないけどなぁ。
確かにアナログ猶予は、あと4年しかない。
日々を必死で生きていれば、
・・・いや案外怠惰に生きていても、結構あっという間だろうと思う。
ならばゴマフ家のように世情に疎い一族は、できるだけ早目に対応していくべきなのかも
知れない。
でも。だったら尚更、説明書くらい
「地デジ契約者様用」と
「アナログ放送受信者様用」
に分けて作ったらどーだ!そのくらいのサービスしてくれてもいーだろう!
高価いんだから!
テレビは、観られる。
しかし、あくまで「観られる」だけである。
画質や音質にはまだまだモノ申したい点が多く残っており、
せっかく搭載されているおもしろい機能や画期的な機能なぞ海のものとも山のものともわからない状態。今後数週間、長くて数ヶ月は、あの不親切な分厚い説明書(テレビ用とレコーダー用)
と小競り合いを続けなくてはならなそうである。
確かに画面がデカくてそのくせ薄くて、最新かも知れないが。
なんというか最新のテレビというものは、
存在感ばかりが主張していて、精神に優しくない気がする。
「オレ、世界の亀山。狭ぇリビングだなぁ、もーちょっとかっこいい家に来る予定だったんだぜ!?
こんな古っちぃ部屋に押し込められてよぉ。しかもアナログかよ!?
だったらブラウン管ジジィ買っとけよ。マジ、ありえねぇんだけど」
と言われている気がする。
いやいや、もしかしたら、
「亀山工場から出荷されて数週間・・・。工場ではとっても可愛がられて、世間だって私のこと、
高画質でキレイだね・・・って誉めてくれるのに・・・。この家、狭いし汚いし、箱からなかなか
出してくれないし、ナンだよ、これじゃわかんねーよっ!!・・・とか設定してる人はブチ切れ
るし、そーよ!私イキナリ引っぱたかれたわ!!工場長にも殴られたことないのにぃ!!」
とエリート発言してるのかも・・・。
ふんっ。ブラウン管なら引っぱたきゃ、大抵の不具合は直るんだよ。
打たれ弱いのはさすがに現代的で涙が出らぁ!!
アレしちゃいけません、コレに触っちゃいけません、ソレは危険です、だぁ!?
そんなんだから子供がひ弱になっちまうんだろーがっ!!!
・・・・あ?
・・・なんか内容があらぬ方向に・・・。
でもま。
ブラウン管の強さ、優しさ・・・じゃないな、「易しさ」が、改めてわかりましたわよ。
図体デカいし、重いし、ホント無骨で頑固なオヤジみたいだけど、
古いものは丈夫で簡単なのに味わい深くていいですね。
今は人も機械も複雑で繊細で・・・。ゴマフの単細胞では付き合いきれません。
そして現在。
ゴマフ家の決して広くない居間には、
ナリだけ偉そうな世界の亀山が
超初期設定のみで映像を映し音声を出しながら(しかもアナログ)、
足元もおぼつかない状態で鎮座しています。
まさに「現代人」を見るようで、ココロが痛いのです。