MOSSANの気紛れ日記

ゲームブック、レトロゲーム、マクロスが大好きです。
記事のテキストの改行は、PC準拠で行っています。

プロローグ

2017年05月06日 11時12分56秒 | 恐怖の幻影(完結)
突然、あたしは目を覚ます。

リアン「さ、寒い…」

真夏の夜だというのに、なぜか思わず身震いした。
だけど、自宅の見慣れた壁や罠を見て安心する。

リ「ホッ…」

ここはアフェン森の奥深くにある、あたしの家だ。

リ(まるで夢から逃げるように起きちゃったけど…)

それがどんな夢だったか、あたしは必死に思い出そうとしてみる。

リ「────ッ!」

途端、夢の中での記憶が頭の中を満たす。











そう、平凡な夢だった。いつもと変わらない日常…

あたしたちエルフは、外で狩りをしたり、せっせと畑を耕したり、
薬用や食用の木の根を採集したり、楽しく料理をしたり、
そして家の修理をしたり…

夢の中に自分の姿が見えないので、あたしはその光景を傍観していた。

 …… …… ……

リ(…! 誰の声だろう?)

村の仲間たちが一斉に手を止めて空を見上げる。
そこにはエルフの顔が浮かんでいた。

リ(あ、あれは…!?)

声の主を見て、あたしの背筋はゾクッとした。
空に浮かんでるのは、紛れもなくあたしの顔だったからだ。
だけど、何を言ってるの…?











 しばらくの間、旅に出るよ…

あたしの顔が仲間のエルフたちに告げる。

 あたしがいない間、みんなに森の神の加護あらんことを。
 魔王子イシュトラは、忌まわしき混沌を好む邪悪な怪物の大群を、
 アフェン森の麓に呼び寄せているの。


イシュトラですって? あの魔王子が遂に動き出したのね!

 彼は世界征服を企んでる。
 その手始めとして、あたしたち森エルフを滅ぼすつもりよ。
 イシュトラの軍隊は、とても冷酷な支配の元にあるわ。
 彼の手下でさえ、隙あらば反乱しようとするほどに無秩序なの。
 だけど、イシュトラは魔法の力で反乱分子を抑えている。
 要するに、イシュトラさえ倒せばいい。
 魔王子がいなくなれば、彼の軍隊も完全に無力となるはずよ。
 統率者を失った軍隊なんて、自然崩壊するに決まってるわ。


あの魔王子を…? 倒す…? 誰が…?

 イシュトラの軍隊が脅威になる前に、あたしは彼を倒す。
 彼の包囲網を突破する機会を逃さないうちにね。


あ、あたしが? ちょっと、勝手なこと言わないでよ!

 みんなとは、ここでお別れだね。
 あたしが帰ってくるまで、みんな元気でいてほしい。
 もっとも、あたしは命があるかどうかわかんないけど…


お、お別れ? あたしったら、何を言ってるの?
いや、あれは本当にあたし自身なのだろうか?

 どっちにしても、みんなとは〈ティール・ナン・オグ〉で会えるよ。
 時が来れば、誰もが“母なる海の息子の島”に行くんだから。
 そう、いつまでも青春である島へ…












リ「ハッ!?」

ここでイメージが途切れ、あたしは意識を取り戻す。

リ(さっき目を覚ましたつもりが、今の今まで夢を見ていたなんて…)

あたしは夢で見たイメージを自分の記憶に刻み込んだ。
ありがちな言葉で言えば…

リ(これは神のお告げ…ね)

あたしの口を通して神が喋ったんだ。

リ(危機が迫ってる… あたしは選ばれた…)

神々が言ってる。『使命を果たせ』と…
事態は緊迫しているみたいね。急がなくちゃならない。











リ(イシュトラ…)

その名前を思い浮かべただけで、背中に悪寒が走る。
魔王子イシュトラは、この世の如何なる武器でも倒せない。
高等なエルフの魔法剣でさえ、さっぱり歯が立たないという化け物…

リ(あたしの力で何ができるっていうの…?)

だけど、神々はあたしを選んだ。あたしは神々に命じられた。
信心深いエルフとしては、その期待を裏切ることなんてできない。

リ(希望… あたしこそが希望…)

あたしならやれると思ったからこそ、神々は命じたんだ。











リ(夢の続きを見よう…)

あたしは、もう一度眠りに就くことにする。
そうすることで、この気高くも恐怖と猟奇に満ちた任務について、
何らかの手掛かりが得られるはずよ…

そう、夢の中で…
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