黒い老犬は電気ウナギイヌの夢をみるか

誰にでも人懐こく無防備な笑顔で近づくので、人からよく「犬みたいだね」と言われるのだが、最近それも意外とアリかなと思う僕。

決戦は日曜日

2017-05-29 15:02:45 | 僕と妻との非日常
運動会の代休の月曜日。

例年なら間違いなく釣りに行くのだが、もちろん今年は違う。

妻に会いに行くのだ。

「一緒に行きたい」と姉が言うので、一緒に2時間のドライブ。



病室の妻は車椅子に座っていた。

会うたびに病状は進行している。

ここのところメールもラインも既読にならないので、妻のスマートフォンを見た。

どうやら再起動をしたようで、指紋認証では立ち上がらずにパスコード入力画面が出ている。

「パスコード、覚えている?」

と尋ねてみたが、やはり覚えていなかった。


これで妻はスマートフォンが使えなくなった。妻との連絡手段は僕からの着信もしくはFaceTimeのみ。

まめに連絡せねば、だな。




帰り際に妻は、姉と抱き合って泣いていた。

「ごめんねぇ」と言い合いながら泣いていた。

その「ごめんねぇ」でもう3000円だぞ。
2人とも泣くんじゃねえ。

姉とのハグが終わったので、僕も妻を抱きしめに行ったら、まさかの、よけられた。

なーんーでーっ?



でも、そんな僕の顔を見て妻は笑う。

いい仕事するな。黒犬よ。

きっと、いつかは僕のことも分からなくなるのだろう。それでも僕は、全力で妻を笑顔にし続ける。




ただ問題なのは、子どもたちだよな。

弱っていく母さんを受け止める力が、今の彼らにあるだろうか。




あってもなくても関係ねえよな。

妻が子どもたちのことを覚えているうちに、子どもたちを連れて行かねば。

それは、絶対にそうせねば。
一生後悔することになる。

今週の日曜日が勝負だな。

大丈夫、絶対に負けないから。


オレが「負けない」と言った時には、
負けたことがないのだ。

任せておけばいい。
安心しておけ。愛する我が妻。

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