発達障害もれっきとした「障害」である。
では、どんな障害か。
実はそこが一番理解されにくい。
「目が不自由」とか「足が不自由」とかいう状況は、見た目で理解できる。だから世間の人からも認知されやすい。
支援の方法も一般化されているし、「差別なくみんな一緒に生きる」と教科書にも載っている。
だから、車椅子に乗った人や白杖を持って歩く人を指差し蔑む人は今ではあまりいないだろうし、点字ブロックや段差のない建物など行政的•施設的な面での配慮も進んでいる。(もちろんそれでもまだ十分な状況でない事は忘れてはならないわけだが。)
では、振り出しに戻る。
「発達障害って何?」
一言で表すなら「脳の機能不全」だ。
身体をコントロールしたり言葉を理解したりするような機能は備わっているので日常生活的には何とか問題ないのだが、細かい部分で「普通これできるだろ?」ってことが著しくできない。
何ができないのかは人によって異なる。
その「苦手さ」のジャンルによって、発達障害もLDだとかADHDだとかあるいはADDだとか分類される。
脳の機能不全(自閉の場合は海馬や扁桃体の機能不全)に原因があるので、本人がどれだけ努力しても健常発達の人たちのように振る舞うことは難しい。
先に書いた視覚障害や肢体不自由と大きく異なるのは、この脳の機能不全が「見た目ではわからない」ことだ。
その人が障害を抱えていることを、まわりの人間は知らない。
あるいは、家族も知らない。
そして、本人(当事者)も知らない。
普通だったらできるはずの事ができない当事者は集団の中で受け入れられず「いやなやつ」「ダメなやつ」というレッテルを貼られることになる。
焦った家族は「なんでそんななんだ!」と当事者を、あるいは自分を責め続けることになる。
まわりから責められ続けた当事者は「自分はダメな人間」と諦めて、徐々に社会との接触を断つようになる。
これが、発達障害に起因する二次障害。
「発達障害って何?」
今そう聞かれたら、僕は二次障害の可能性を含めて、
「脳機能が不全のため本人の意図しないところで様々な人に迷惑をかけ続け、心配をかけ続け、それすら自覚できないためにまわりから疎外され続けてしまう傾向がある障害。その結果、自己肯定感が著しく低下して社会生活に対する意欲そのものを無くしてしまう可能性のある障害」
と答える。