河童の歌声

歌声喫茶&キャンプ&ハイキング&写真&艦船

航空戦艦

2016-09-18 09:38:12 | 軍艦
航空戦艦という艦種は、航空母艦と戦艦をドッキングさせた艦種です。

この艦種を持っていた国は、日本だけでした。
「伊勢」と「日向」(ひゅうが)です。
共に35000トン。
戦艦としては標準といっていい大きさでした。

「金剛」型、巡洋戦艦4隻を竣工させた日本海軍が、
それに次いで設計したのが、「扶桑」型戦艦4隻でした。
大正4年に、一番艦「扶桑」が竣工。
続いて大正6年に姉妹艦「山城」が竣工しました。



しかし、「金剛」型戦艦が、主砲4基・8門に対し、
一気に6基・12門へと増やした事は、攻撃力が1、5倍になって大成功と思った筈でしたが、
結果的にこれが大失敗になりました。
主砲発射時の爆風が凄くて、艦上構造物などが破壊されてしまうのです。
そして、主砲を6基とした事でエンジン部分の面積が圧迫されて、
大きな馬力を得られなり(低速)に甘んじなければならなくなったのです。
扶桑型戦艦は生まれながらの欠陥戦艦・失敗作だったのです。

海軍はあわてて、3番艦・4番艦の設計をやり直します。
それが「伊勢」型戦艦。4番艦は「日向」です。



扶桑の主砲の配置を変え、それによって浮いた面積をエンジン室の増大にしました。
しかしそれでも、たった1ノット弱(せいぜい1、5km)程度のスピードアップにしかなりませんでした。
扶桑・伊勢型戦艦は、日本海軍が生んだ大失敗作である事にかわりはありません。

昭和17年6月、
日本海軍はミッドウェーで歴史的大敗北をします。
ミッドウェー海戦です。

海軍は主力の航空母艦4隻を持っていました。
「赤城」「加賀」「飛龍」「蒼龍」です。
そして、何という事か、その4隻全部を失ってしまうのです。
海軍はあまりの事態に色を失います。
この海戦が転機となって、日本は敗色の一途を辿っていきます。

日本海軍は、空母を何としても造らなければならなくなりました。
といって、航空母艦という複雑な軍艦はすぐには出来ません。
海軍は、航空母艦に変更できそうな軍艦や商船などを空母に改造します。

しかし、商船改造や正規でない空母は戦力的には不安だらけです。
海軍は何としても強力な空母を喉から手が出る程欲しかったのです。

そんな時に、ミッドウェー海戦の1ヶ月前にある事件が起こっていました。
「戦艦日向」の5番砲塔が事故で爆発し、撤去されていたのです。
海軍はここに目を付け、日向を航空戦艦へと改造する事にしました。

最初は戦艦の船体を全部、空母へ改造したかったのですが、
それには時間がかかり過ぎ、
また、他の軍艦の建造が犠牲になってしまうという問題が起こります。

そこで海軍は、日向の前半分は戦艦のままで、後部だけを空母にする事にしたのです。
その結果がこのスタイルです。



「日向」と共に、同型艦である「伊勢」も同じ改造を受け、
日本海軍に2隻の「航空戦艦」なる世界でも全く初めての艦種が誕生しました。
外国にも、そういった構想はあったのですが、完成したのはこの2隻だけで、
それは空前絶後だったのです。

空母と言っても、飛行甲板は正規空母に比べれば短く、
航空機が滑走する長さには足りません。
航空機の発艦には「カタパルト」という発射台を使いました。



帰還する航空機は陸地まで飛んで行くか、
航空戦艦の周囲に降り、それをクレーンで釣り上げて回収するのです。

伊勢と日向には、それぞれ22機の航空機を搭載する事が可能で、
2隻合わせて44機という中型空母並みの航空戦力になる筈でした。
しかし、肝心の時になって航空機が他の作戦に使われてしまい、
結局、伊勢・日向ともに「航空戦艦」としての使われ方は一度も無かったのです。

終戦時には2隻とも、呉軍港で石油不足で動けなくなっていたのを、
アメリカ軍の空襲を受け、湾内に沈座して、そのまま終戦を迎えたのです。



よくアニメなどで、航空戦艦は、
軍艦相手でも、飛行機相手でも、
両方に立ち向かえる事の出来る万能戦艦みたいな扱われ方をしているみたいですが、
実際は、結局が、どっちつかずの中途半端な存在になっていたのでしょうね。

日本海軍は、この航空戦艦といい、
飛行機を積んでいた潜水空母とか、他の国が持っていなかった、
珍しい軍艦を生み出した、貴重な海軍だったのかも知れません。

ジャンル:
ウェブログ
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« リオのキリスト像 | トップ | 飯豊連峰縦走 »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿


コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。

あわせて読む

関連するみんなの記事

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
  • 送信元の記事内容が半角英数のみのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • このブログへのリンクがない記事からのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • ※ブログ管理者のみ、編集画面で設定の変更が可能です。