オートバイで行くインド・アフガニスタンの旅

写真やイラストつきのオートバイ旅行記

no.73 初めて見る最前線は・・・

2017-03-07 17:02:50 | オートバイ旅行記
 そしていざ出発しようとすると、彼の他に「もう一人一緒に行く」と言うではないか!
突然そう言われたので、これには驚いた。 それまで一言もそんなことを言ってないので、
どうしたものかと聞くと、同じ会社の同僚とのことで、どうしても一緒に行かなければならないのだそうだ。
この会社の同僚とは後に、彼の実弟だということが分かった。 でも会社の同僚というのも本当であった。

 なにしろこういうことにかけてはインド人はスゴイ。
「立て板に水」滔々としゃべりまくる。 そうはいっても笠(りゅう)さんを乗せただけでも、後輪上の
フレームパイプが折れてしまったので、まして二人を、それも笠さんと違って身体の大きい二人である。
そう思うととても乗せるわけにはいかない。 そこで「とんでもない!」と言い返すが、「暖簾に腕押し」
とうとう彼に押し切られてしまった。 そういうわけで、彼と彼の同僚を後ろに乗せ出発した。
 
 後に考えるに、彼がこんなに頑張ったのは、そういった場所だから公共のバス等はなく、車をハイヤー
しなければならない。 もちろんその手当は出るのだろうから、もしここで僕を釣れば、その分の金は
自分の懐に入れられる。 きっとそんな魂胆だろう。 と推測したのだった。
 

 でもこのことが後にとんでもない事態を引き起こし文字道理「高くついた」のであった。
彼でなく、この僕に。 それはまた後日に・・・。


 HONDA CB750 は車体も大きく馬力(63hp)もあるので、後ろに二人乗せても
走行にはなんらの支障もなかった。 ただ、多少乗車スペースが狭くなり運転する僕が燃料タンクの上に
ずれなくてはならず、多少運転しずらかったが・・・。

 市街を出て山に入るとそこからは舗装が途切れ、完全な山道になった。
それもこの雨期という季節もあって、道はぬかるみ(泥濘)、そのうえ石や岩で、凸凹、油断すると
ハンドルを取られ、転倒しかねない。 これまでも過去に2回転倒している。

そんな山道であったが、なんとか乗り切って前線基地にたどり着いた。
そこは長い谷に沿った崖っぷちにあった。 あまり大きな基地ではない。 
どちらかと言えば、小さな出先の砦といった規模であった。
がしかし、城砦が築かれていたわけでもない。
そこには軍用テントとプレハブ様の簡易建物が数棟建っていただけである。
ただその谷に沿って石積みの防御壁が累々と走っていた。

 谷を挟んで向こう側に目を転じると翻ポンと翻るパキスタンの国旗や兵士の動きがわずかに見える。
そして時には実弾発射訓練の小銃音が聞こえてくるとのことである。

 とはいうものの、このインド軍の基地にそれほどの緊張感は感じられない。
意外にも、むしろリラックスした様子すら見られるほどである。

 当のインド人技師たちも着いたからといってすぐに仕事を始めるわけでもなく、兵士たちとなにやら
おしゃべりに興じている。 僕はと言えば、それはもう大歓待である。
それはそうだろう、なにもここばかりでなく、インドに来てからというものの、どこもかしこも(何処も
彼処も)というと大袈裟になるが、「要は珍しいもの見たさ」なのだ。
その上ここは辺境の前線である。 そんな中に突然の来訪者、それも見たこともないような豪華なオートバイ
に乗った異国人の登場。 そういうわけで、彼ら兵士にとっては恰好の息抜きだったに違いない。

 その証拠には我々が到着してしばらくすると、「わーっと」兵士たちに取り囲まれてしまった。
そして「どこから来たのか?」と聞かれるのである。
これはどこでもかならず訊かれる質問である。 そしてまず最初に「中国人か?」と聞かれるのが常である。
その当時は最初に「日本人か?」と聞かれることはまずない。

そして「そうじゃない。 日本人だ。 日本人だよ。」というと、途端に貌が綻び、すごく友好的な
態度になり、こちらが、分かろうが分からなかろうが、いろいろなこと例えば、「日本はすごい!
戦争で・・・」などとかまわず、機関銃のごとく、まくしたてるのだった。

そのように興味本位というか、珍しいもの見たさというか、一時の歓迎の儀式が終わると食堂に
連れて行かれ、彼ら兵士と一緒にティータイムを楽しんだのであった。

 そうこうしているうちに、一緒にきた技師さんたちも仕事を終え帰ることになった。

帰るにあたって、軍より訪問記念にと、パンク修理セットをもらった。
これはなかなかの優れもので、まだ日本では見たことのないものだった。
従来のものは穴の開いたところ、擦り、ざらざらにしておきそこにゴム糊を塗って手で切りそろえた
チューブを貼るというものだが、これはその手間を省き、穴の開いた上に予め切り整えられたゴム
パッチを乗せその上に置いた火薬に火を付ければOKというものだった。
いわば従来品よりより簡単にできたので、この後大いに役に立った。

 こうして短い印パ最前線での貴重な訪問を終え帰途に向かったのであった。

 カシミールでは軍隊に混じっての移動やその延長上とも言える前線基地の訪問など思わぬ出来事に
遭遇し、その地の置かれた特異の政治状況を図らずに知ることとなった。

 それは今まで「のほほんと」観光気分でこのオートバイ旅行をしてきた自分にインドが直面している
厳しい現実を教えてくれたのだった。

 その一方でエドガーと知り合い楽しい旅もでき、その二つの思い出を胸に秘め、また新たな旅へと
ファイトを燃やすのだった。

 
  次回に続く!


  今回訪れたところは、軍事エリアであるから、写真などもっての外で、カメラが見つかれば、没収どころか、
  スパイの嫌疑すら覚悟せねばならぬ。 というわけで同行した二人にも僕がカメラを持っていることは
  内緒でひた隠したのだった。
  というわけで、今回の写真は訪問場所とは関係のないインド一般市井の風景である。


  
  土産物売りの親子、足をご覧あれ!  最近はゴムぞうりが多いが、この頃はまだ素足が多い。

  
  街路に突き出た食堂。 こういうところで食べる分には安く、長丁場の旅にはこれに限る。
  そうでないと、あっという間に、お札に羽根が生えて、旅を継続できなくなること必定だ。



  
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