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美術展・展覧会鑑賞初心者の特に役に立たない感想とか。

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鈴木其一展(再訪感想)

2016-10-15 01:26:30 | 鑑賞
鈴木其一 –江戸琳派の旗手-
サントリー美術館
2016年9月10日(土)~10月30日(日)

会期も中盤に差し掛かり、大きな展示替えが行われましたので、
再訪いたしました。サントリー美術館。

日曜美術館で取り上げられた影響か、午前中に訪問したからなのか、
大変混雑しておりました。

中に入ると思ったよりはごった返してはいませんでしたが、
均一に鑑賞している感じで隙間を狙いつつまずは「抱一上人像」
基一の師匠の肖像です。あれ、顔四角い?こんな顔だったっけ?
(他の肖像画ではもっと顎が細かったような・・・)
説明を読むと、抱一が尊敬していた其角がこんな感じだったそうで、
そのイメージを重ねて描いたのでは。とのことでした。
展示替えした絵、前回も鑑賞した絵を楽しみつつ進んでいくと・・・

ドーン!
「夏秋渓流図屏風」がお出迎えです。
金・緑・群青の極彩色が目に飛び込んできます。
群青のみの渓流に金の線で水流を表し、笹の葉も楕円に緑縁を金色、
パンダが笹を食べてそうです。
檜の葉は緑を分厚く塗り立体的に葉を表現し、幹は陰影がついて写実的、
そこに小さいヒマワリのような苔が檜にこびり付いていて
緑の花が咲いているようです。
この苔、何だか不思議ですね。苔ってこんな感じだっけ?と首を捻ってしまいます。
波の絵なんかにもよくこの苔がくっついているのですが、
その時は、フジツボ?・・・って思ってしまいます。

右側が夏を表し、左側は秋。檜は紅葉をはじめ、桜は今にも葉が落ちそうです。
桜の葉は紅葉ぐあいが妙にリアリティがあって、この統一された世界に不思議な違和感を
与えていました。

この絵は6枚の屏風1双で構成されているのですが、立てかけるために折り曲げると凸部分が、
渓流を下る水流が勢いよく前面に向かって流れるよう立体的に計算されているそうです。
後ろに下がってこの12枚の屏風全体を眺めると色の洪水に息をのむとともに、
洗練されたデザインに時間を立つのも忘れて見入ってしまいます。

ここで、ちょっと疑問が・・・背景が金はありだと思うのですが、
渓流の岩肌が左右真ん中と金色なんですよね。
色のバランスを考えてのことでしょうか。

とても豪華な1枚でした。

次は「風神雷神図屏風」・・・でなく、「風神雷神図襖」です。
琳派の伝統、お約束。ですね。
ただ、宗達・光琳・抱一と違うのは屏風ではなく襖。
なので、後ろも金色ではありません。2曲1双の画面構成から
8枚の襖になり、横に長く風神と雷神の雲の動きが一層強調されています。
色の塗りは宗達・光琳に比べると淡い色で塗ってあり、師匠の抱一を参考にしたのかな、
と思いました。

雲の描き方も風神は空を疾走している如く後ろへ流れていて、スピード感を出しています。
雷神の雲はその場で雷を蓄積しているように足元に漂っています。
時折ピカッと光って落雷の時を待っているようでした。

さて、この襖、今では風神側・雷神側と向かい合って展示してありますが、
当初は表と裏に描かれていたそうです。
・・・ってことは、風神と雷神は重なっている・・・と。
まるで二人がタンゴのステップを踏みながら雷と風をまき散らしズンズン前進する。
そんな光景を想像してしまいました。
地上の我々には、なかなかはた迷惑な天候ですね。

「蔬菜群虫図」は、若冲風?と思いましたが、こういった野菜や植物に
虫や小動物を描く絵は中国から伝わり、流派関係なく描かれてきた
画題だそうです。
それでも私は、基一のこの絵は若冲を参考にしていると思います。
なぜか!
スズメのお腹に1本1本毛が描かれているからです!(はい。それだけです)
これは今年の若冲展(東京都美術館)でのありとあらゆる鳥さんたちで確認済みです。
逆に今回の基一展で描かれている鳥たちにはお腹の毛が描かれて
いないんですよね。(そんなことばっかり見ています。)
スズメの他に、キュウリやナス、イチゴの中に隠れるように虫が潜んでいて
飽きることのない1幅です。

階段を降りつつ第2展示室へ、羽子板や凧などに描かれた作品に、
えっこんな物も描くのね!と驚きつつ鑑賞。弟子たちの作品を堪能し、
年表を眺めつつ第3展示室へ。
この年表にて、鈴木其一と歌川広重がほぼ同じ時期に生まれ(1歳~2歳違い)
同じ年月にコレラで亡くなったことを知りました。

「大原雑魚寝図」は風俗画でもちょっと異色です。
節分の夜村の淵から大蛇が出るのでこれを避けるために、
老若男女が神社に集まり雑魚寝して一夜を明かしたという
風習が描かれています。この日は男女が雑魚寝し、何かあっても
お咎めなしとか。
一夜のアバンチュール…(・・・古い・・・)ですね。

この「大原雑魚寝図」は井原西鶴の「好色一代男」からの
一場面を描いたようです。

若者が若い女性に声を掛けて、手を握っているその反対側では、
もう片方の若者の手を握って誘う男性ありーの、
その手前は男性と若者がなにか話しています。その右側では
若い男女が話に興じています。
後ろの方でも老いも若きも一夜のアバンチュール(しつこい)をもとめ
盛り上がっています。

依頼主と其一が
こんな絵描きましょう~か~。縁の下にも2組くらい入れてよ~。
・・・なんて盛り上がりながら描いててほしい作品です。

「朝顔図屏風」・・・何度見ても圧倒されます。
近くで見ると朝顔の大きさに度肝を抜かされます。
直径約10cmの朝顔が6曲1双の横長の画面にこれでもかと
朝顔が咲き乱れ、生き物のようなツルが縦横無尽に画面をうねっています。
「風神雷神図屏風」を表しているとの説もあるそうですが、
私には(前回の感想でも書いてましたが)生物型宇宙船が金の宇宙に浮かび、
花びらからはビーム。近づいてきた敵にはツルの先で敵を打ち付け・・・
そんな妄想全開で今回も「朝顔図屏風」を眺めておりました。

そんな私を「朴に長尾鳥図」の落ち着いた墨と緑青のたらし込みによって描かれた
一幅が心を穏やかにしてくれます。
近くで見ると、あまり感想がなかったのですが、少し離れてみると、
とてもしっとりしていて、心に染み入るように感じました。

鈴木其一という人は、酒井抱一に師事し、光琳の図画を参考にするだけにとどまらず、
伊藤若冲や丸山応挙、浮世絵等を積極的に学びそれを消化し自分のものにしていった
努力の人と今回改めて知りました。
その姿勢は、イタリアルネサンスのラファエロの様だと思いました。
やはりラファエロもペルジーノ・レオナルド・ダ・ヴィンチ、
ミケランジェロ等に学び貪欲にそれ吸収して自分独自のものを
作り上げていった。
そんなところに近しいものを感じるのでした。

今回のお土産は「風神雷神図襖」クリアファイルです。

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