その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今はクラシック音楽、美術、映画、本などなどについての個人的覚書

エナジー炸裂!: カクシンハン第10回公演 「マクベス」 (東京芸術劇場 シアターウエスト)

2017-01-29 09:00:00 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)


「マクベス」の演劇を初めて見てきました。カクシンンハンという劇団から、演出者、出演者まで私にはお初づくしでしたが、非常に楽しめた2時間20分余りとなりました。

 東京劇術劇場のシアターウエストも初めて入場。収容は200名ぐらいかな?ほぼ満席です。舞台も近く、俳優さんたちの息遣いまで感じられます。私は運よく前後左右ど真ん中の席で、ロイヤル席なみ。隣席のマスク美人の女性が気になった以外は、100%舞台に集中できるベストポジションでした。

 この「マクベス」、現代的な演出です。舞台奥に白布のスクリーンで映像を時たま投影する以外は、舞台装置はほぼなし。パイプ椅子を多目的に利用し、スーパーで売っている駄菓子やカップ麺などの小物を使う以外は、あとは俳優陣の演技と肉体パワーで勝負。2時間半近くを休憩なしで一気呵成に進行させるのは、観る方もエネルギーがいりますが、マクベスの世界に没入できます。

 なんといってもマクベス夫妻の熱演が光りました。特に、私には真以美さんによるマクベス夫人が良かった。時に気弱になる夫を叱咤激励するものの、最後は自らも気がふれてしまうマクベス夫人ですが、単なる野心の強い悪女というよりも、夫への愛の強さが引き立っていました。真さんは、セリフの切れが良いのが好印象で、以前観たシェイクスピアの「シンベリン」を演じた大竹しのぶさんを思い起こさせてくれました。

 劇は原作(松岡和子訳)に忠実に沿って展開しますが、所々にオリジナルな笑いの小ネタを忍ばせています。英語でも言葉が多いシェイクスピア劇は、日本語にすると更に言葉の氾濫状態になりがちですが、俳優さんたちの適切な台詞回しや、小ネタによってストレス感じることなく物語に入っていけました。

 私個人としては、第4幕の前半で、魔女に予言を確かめに行ったマクベスが、未来の幻像を見せられる場面の作りが、おかしくかつ上手く作ってあるなあと感心しました。反面、マクベス夫人が亡くなる前に、原作にはない、「愛」を歌うシーンが挿入されていますが、ちょっと浮いていた気が。これは本作が夫妻の愛に焦点をあてていて、一つのクライマックス的な場面かと想像するのですが、夫人の死を知らされ嘆くマクベスで、二人の愛は十分感じることができるのではと思いました。

 古典的な「マクベス」劇を見たことがないので比較はできませんが、カクシンハンの「マクベス」は十分に成功だと思います。この劇団、連続でシェイクスピアものにチャレンジしているようなので、ぜひ、これからの公演も足を運びたいと思います。



2017年1月28日 13:00開演
東京芸術劇場 シアターウエスト

■カクシンハン
木村龍之介が主宰する演劇集団。現在のメンバーは演出家・木村龍之介、俳優・河内大和、真以美、のぐち和美、岩崎MARK雄大、穂高、阿久津紘平、大津留彬弘、井上哲。若い鮮烈な感性で、現代のエンターテイメントとしてシェイクスピアの戯曲を連続上演し、『「破天荒で」「新しく」「面白い」シェイクスピア作品』を創作する集団として注目を集めている。2016年度シアター風姿花伝プロミシングカンパニー。5月ロングラン公演では総動員数2700名を突破。The Japan Timesの特集記事、『中央公論』、シェイクスピア学会誌で取り上げられるなど、各種メディアからも注目を集める。

■原作 W・シェイクスピア、翻訳 松岡和子

■演出 木村龍之介
1983年生まれ。兵庫県宝塚育ち。演出家。東京大学で文学を学びながら俳優、演出部として創作の一端を担う。2012年にカクシンハンを立ち上げ、自身の創作活動へ。古典を大胆に解釈し、多様な演劇の手法を取り入れた演出で現代と古典のクラッシュ(衝突)を生み、同時代のエンターテイメントとして戯曲に新たな息吹を吹き込む。

■CAST
河内大和(カクシンハン)
真以美(カクシンハン)
岩崎MARK雄大(カクシンハン)
穂高 (カクシンハン)
白倉裕二
鈴木智久(Studio Life)
葛たか喜代
東谷英人(DULL-COLORED POP)
塚越健一(DULL-COLORED POP)
小黒雄太(劇団5454)
小田伸泰(俳優座)
鈴木彰紀(さいたまネクスト・シアター)
鈴木真之介(PAPALUWA)
加藤慎吾(ポップンマッシュルームチキン野郎)
阿久津紘平(カクシンハン)
大対源(演劇チーム 渋谷ハチ公前)
石田将士(演劇チーム 渋谷ハチ公前)
慈五郎(THE JACABAL'S)
川崎誠一郎(サイアン)
阿部博明(東京新社)
上田一成
 大津留彬弘(カクシンハン)
山口祥平(碗プロダクション)
柘植ノゾム(東京ジャンクZ)

■STAFF
美術・衣装 : 乘峯雅寛(文学座)
照明 : 中山奈美(文学座)
映像 : 松澤延拓
記録撮影 : 大竹正悟
音響 : 丸田裕也(文学座)
衣装製作 : 小倉真樹
舞台監督 : 白石祐一郎(エクス・アドメディア)
殺陣指導 : 白倉裕二
文献考察 : Naoki
演出助手 : 阿久津紘平、大津留彬弘
制作助手 : 井上哲
制作協力 : カンフェティ
制作 : Real Heaven、カクシンハン
主催 : 株式会社トゥービー
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