その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今はクラシック音楽、美術、映画、本などなどについての個人的覚書

高木 晴夫 『組織能力のハイブリッド戦略』 (ダイヤモンド社 2012)

2012-09-13 22:22:17 | 


 地元の図書館の新刊コーナーに置いてあった本です。パラパラめくったところ、序章の記述が私の問題意識にも合致するものであったので、借りて読んでみました。

 問題意識とは以下のようなものです。
・「この先、日本の大企業は、グローバルな競争のなかで勝ち残っていくことができるのだろうか?」(p10)
・「新たな競争環境に適応するための組織能力を、日本の特に大企業は、進化させることができていないのではないだろうか。」(p11)
・「日本企業の組織能力の進化の方向性を探っていきたい。(略)グローバル競争の中で、日本企業が組織の強みを最大限に活かしていくためには、何を残し、何を修正しなくてはならないのかを明らかにしていきたい」(p13)
・「組織のアーキテクチャーという観点から、日本企業が今後求められる組織能力を獲得していくための課題と対策について考察していきたい」(p19)

・[本書で言う組織能力とは、①環境変化の方向と度合いを事前に見通す能力、②経営活動の方向性を示す意思決定の速さ、③決定されたことの実行の速さ、の3点を指しています]

 筆者は、組織アーキテクチャ―を日本企業の「人ベース」のアーキテクチャと米国企業の「仕事ベース」のアーキテクチャに類型化し、日本企業が「人ベース」の組織で出発しながらも、近年はその両者の間を振り子のように振れながら、ハイブリッド化の道を歩んでいることを、アンケートによる定量調査と5社の個別インタビューによる定性調査を分析しながら検証します。

 そして、筆者は日本企業の取るべき道筋として、まず、「人ベース」組織の強みである「優秀者が形成するネットワーク(人脈)」を再生すること。そして、「仕事ベース」組織の強みである「戦略トップダウン」と「組織OS(全社で共通化された標準化された業務遂行の仕組み)」の仕組みを取り入れたハイブリッド化の道を歩むべきと言います。そして、人のスペックと仕事の標準化とオープン化が「人ベース」の組織の弱み部分を補うのです。

 問題設定には大いに賛同するものでしたが、分析、提言については、もう一歩踏み込みが足りないという印象でした。定性分析として紹介された5社のケースも、ケース自体は興味深かったものの、無理に「人ベース」と「仕事ベース」の枠組みに振り分けていている印象が拭えません。そして、そこから得られる提言も「何をどうすればいいのか」という点で、もう一歩具体性に欠けています。

 ただ、私自身の学びとして、この枠組みを自分の会社にあてはめて考えてみると、人事の色々な仕組みが、仕組みにより人ベース、仕事ベースを使い分けてはいるものの、仕組み全体(本書で言う「システム」)として相互補完したり、相乗効果を得るような設計にはなっていないと言うことに気付いたことがあります。そういう意味では、一つの視座を与えてくれたと言えます。

 5点満点の星2つ半というところでしょうか。



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