その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

ロンドン交響楽団 デイビス指揮 『オテロ』 (演奏会形式)

2009-12-08 06:47:22 | オペラ、バレエ (in 欧州)
 素晴らしいコンサートでした。まだ、胸の高まりがおさまりません。

 オーケストラ、独唱、合唱、全てが最高のレベルで組み合わさったケミストリーでした。良いコンサートはいくつもありますが、打ちのめされるようなコンサートはそうはありません。今夜のコンサートは間違いなく後者でした。

 全てが良かったのですが、あえてオーケストラと合唱の素晴らしさを特筆したいです。LSOのPresidentであるコリン・デイビス指揮だからそう思うのでしょうか?指揮とオケの息の合い方が素晴らしいです。ベルディのスケールの大きな音楽を余すことなく演奏してくれました。管楽器の美しいハーモニー、木管・金管の切れ味、うっとりさせたり、高揚させたり、悲しませたり、LSOのパワフルな演奏が自由自在に表現してくれたと思います。とても82歳とは思えない溌剌さです。

 また、合唱陣も素晴らしかった。特に、第一幕冒頭のオテロの来航場面。迫力ある合唱で一気に、聴く者をオテロの世界に引っ張り込んでくれました。

 もちろん独唱陣も良かったです。オテロは急きょ代役登場となったサイモン・ニール。夏のプロムスのフィデリオで聴いた人です。急な代役で、かなり楽譜を見ながらの歌唱で細かい感情表現はもっと良くなるのではと思うところもありましたが、迫力あるテノールを存分に聴かせてくれました。また、Desdemona役のソプラノのAnne Schwanewilms。第1幕の終盤のオテロとのデュエット、第4幕の悲しみに暮れる独唱、感情豊かで、美しいソプラノでした。白の衣装も綺麗でした。存在感を存分に発揮していたのは、Jago役のGerald Finley。どっかで見た覚えがあると思ったら、夏のザルツブルグ音楽祭の「フィガロの結婚」でスザンナを誘惑する伯爵役でていた人ではないですか。今日は、ある意味、オテロよりもこの物語のキーパーソンであるJagoの悪人ぶりを見事に表現していました。

 今回はコンサート形式ですが、私はこのコンサート形式というのも好きです。演出に縛られない分、自分で自由に想像できるからです。先週、原作のシェイクスピアを読んだばかりなので、自分の中の場面を想像しながら、演奏を楽しめました。

 いやー、本当に良かったです。




London Symphony Orchestra / Sir Colin Davis
Verdi Otello
6 December 2009 / 19:00
Barbican Hall

Verdi Otello

London Symphony Orchestra
Sir Colin Davis conductor
Simon O'Neill Otello
Gerald Finley Jago
Allan Clayton Cassio
Lukas Jakobski A Herald
Anne Schwanewilms Desdemona
Eufemia Tufano Emilia
London Symphony Chorus
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