Ball Game Mania 節丸裕一のブログ

2006年1月1日スタート!! 放送や取材の現場で、見て、聞いて、感じたことを、思うままに綴っていきます。

 WBC 決勝の相手はキューバ 

2006年03月20日 |  -WBC-
2月から取材を本格化し、3月3日から全精力を傾けてきたWBC。
日本が決勝に進出し、初代「真の世界一」になる可能性がふくらんできました。

僕が実況している J SPORTS はCS放送なので検証が難しいのですが、
準決勝を放送した地上波テレビの視聴率が驚異的な高さだったとのこと。
世の中のそれだけ多くの人がWBCに関心を持ってくれている、というのは、
野球に関わるものとして、野球ファンの一人として、
本当にうれしいことです。

明日はキューバとの決勝。
僕は昨日、キューバがドミニカと対戦した準決勝を実況していました。

WBC SEMIFINAL ドミニカ 13 キューバ
J SPORTS 3 解説:斉藤明夫さん

エラーで失った1点を、相手のエラーにつけこんで一挙に逆転したキューバ。
技術的なミスの目立つ、ある意味、凡戦のようでしたが、
国際大会らしい緊張感いっぱいのゲームでもありました。

準決勝だけを見れば、攻守ともにキューバがドミニカを上回っていましたし、
両チームがあと10試合対戦しても、
キューバが半分かそれ以上勝つかもしれません。

もちろんキューバは今が国内リーグの真っ最中ですから、
例年ならスプリングトレーニング中のメジャーリーガーと比べて、
コンディション的に有利だったというのはあります。
また、常に代表チームの国際大会を優先して国内リーグの日程を組むため、
代表チームのチームとしての完成度が高いというのもあるでしょう

でも、あの身体能力の高さは間違いなく世界のトップレベルで、
足の速さは、チーム全員の平均なら断トツではないでしょうか。

キューバは、
アメリカの入国拒否問題、
アメリカの審判によるキューバに不利な判定、
プエルトリコの観客(の一部)による露骨な嫌がらせ…
様々な問題に対し、信じられないほど大人の対応をとってきました。

「キューバには自由がないから」
という見方もありますが、スポーツにおいては、とくに国際大会においては、
不満をぶつけたり、批判を繰り返すことは必ずしもプラスではないと思います。
とくに、政治的、外交的に対立する国同士の対戦では、
そういった問題をフィールドに持ち込まず、
相手への敬意を示し続けることが大切です。
(日本はアメリカの友好国だから、言うべきことを言うのが大切でしょうけど)

キューバはそういう意味で、尊敬に値する対応をとり続けてきました。

ベレス監督は、
「世界最高の審判がいつもベストを尽くしてくれている。
それでもああいうこと(誤審)が起こるのが野球だ」
「アメリカの素晴らしい野球が(準決勝、決勝で)見れないのは残念。
我々はメジャーの選手を見習っている。
今回はどのチームが負けてもおかしくなかったが、
アメリカが負けてしまったことは本当につらい」
「プエルトリコで看板を掲げていた人もいたが、それをやめさせたのも
プエルトリコの人だった」
3月開催はキューバに有利だったという声にも、
「開催時期はすべての参加チームが平等になるように検討するべきだ」
さらに、将来的なWBCの開催国に名乗りを上げたり、
「この素晴らしい大会を(4年おきでなく)2年おきに開催するべきだ」
など、本当に前向きな言葉が次々に出てきます。
「真の世界一」を決める決勝を戦う相手として、文句なしですよね。

そのキューバが、今日は練習を公開しませんでした。
明日の決勝に向けて、集中力を高めたいのでしょうか。

ROUND 1 で負けたプエルトリコを ROUND 2 で、
ROUND 2 で負けたドミニカを SEMI FINAL で破っての決勝。
前回アテネで負けた日本、しかもそのときと同じ先発・松坂が相手となれば、
キューバが明日どれだけ気持ちを入れてくるか想像がつきます。

韓国を破ったことで重いものから解き放たれたような日本代表は、
今日の練習も、これまでで一番、チームの雰囲気が明るく見えました。
(僕はピオリアとアナハイムには行っていませんが…)

王監督も
「準決勝よりも気持ちはラクですよ。勝っても負けても最後だから、
とにかく全力で絶対に勝つというつもりでやるだけ」
と笑顔いっぱい。

明日は試合の後で、王JAPAN全員が喜びを爆発させるところを見たいですね。


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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
取材&実況お疲れ様です。 (mlbcrazy @San Diego)
2006-03-20 17:57:44
節丸さん



現地での取材&実況、お疲れ様です。

いよいよ、明日ですね。



節丸さんのキューバのベレス監督についての記事を読んで感動しました。



こういう記事がもっと日本のメディアを通して、語られることを祈っています。



国際試合で学ぶことは、選手だけでなくて、ファンにとっても多いですね。



それでは、明日の実況、がんばってください!

(帰国したら、録画で楽しみます)

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「決戦前夜」だからこそ…… (Ryo Ueda)
2006-03-20 23:52:42
いよいよあと12時間を切りましたね。日本のメディアでも「決戦前夜」という言葉が飛び交っています。

ただ、こういう機会であるからこそ、対戦相手であるキューバがどういう国であり、どんな歴史を背負ってきて、日本とどのように関わり続けてきたのかを、いろいろな人に知っていただきたいと考え、今日は別途TBいたしました内容のエントリーにしました。Akiさんも近藤さんも元気ですか? 私は先週の土曜からスカパー!MLB→原稿→キューバ対DR→日本対韓国→原稿→原稿→コメント→原稿と、完全に寝不足です。でもうれしい、なぜなら仕事が「野球」だから!(力のない笑い)。では、「帰朝報告会」楽しみにしています。店も予約しておきます、節丸さんの名前で(笑)。
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おじゃまします (Nakamura Emiko)
2006-03-21 04:21:00
はじめまして!

ブログを初めて半年以上になりますが、Trackbackデビューさせていただきました。

TVで拝見し優しそうな方だったので、ヘンな原稿!?でも気を悪くされないかな~と思って(笑)。

手際が悪くバタバタしていると、こんな恐ろしい時間になってしまいました。

明日(今日ですね)のOA頑張ってくださいね。

楽しみにしております!
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