京大植物園TODAY

京都市左京区の京都大学北部キャンパス内にひっそり佇む現代の杜、京都大学理学研究科附属植物園の日々の風景を紹介します。

第52回観察会

2007年07月27日 10時31分21秒 | Weblog
第52回観察会のテーマは「昆虫たちのえさと住みか」。直前の驟雨で約20名と参加者は少なかった。小さな昆虫を探すのには丁度いい人数かも知れない。写真は捕虫網でクヌギの葉を探る吉本君。足許にクワガタムシの頭だけが落ちている。アオバズクが食べた痕跡とのことだ。(M.K)

ハクショウ

2007年07月25日 11時05分54秒 | Weblog
植物園の北にフィールド研北白川試験地がある。山小屋風の旧演習林事務所は有形文化財に指定されている。その芝生の庭にハクショウが屹立している。「分布中国北西部 樹皮は鱗状に脱落し、幹は黄褐 緑色となる。老木では白色」と表示してある。まだ、幹が白色とまではいっていない。壮年期のハクショウなのだろう。気もみなぎっている。(M.K)

地から天へ。

2007年07月21日 13時34分55秒 | Weblog
日本画家、松生歩さんが2007年に京大植物園のムクロジとフジを題材に描かれた作品三部作を松生さんのご厚意によりご紹介します。


天へ


結び


地へ



松生歩さん制作(2007)
2007年7月、「松生歩・来野あぢさ・猪熊佳子三人展」(京都府立文化芸術会館)で発表。作品サイズ各130.3×162.1(cm)。

ムクロジ@第25回 松生歩・猪熊佳子・来野あぢさ展@京都府立文化芸術会館。

2007年07月20日 01時19分30秒 | Weblog
2007年7月17日(火)から7月22日(日)まで、京都府立医科大学病院と河原町通りを挟んで向かい側にある京都府立文化芸術会館で、日本画家三人による展覧会、「第25回 松生歩・猪熊佳子・来野あぢさ展」が開かれている。

そのうち、松生歩さんの出品作のなかに、京大植物園で描かれたものが入っている、というお知らせを頂き、見に行った。

植物園の池畔のムクロジ(Sapindus mukurossi; SAPINDACEAE ムクロジ科)を縦三段に切り取って描かれた、「地へ」・「天へ」・「結び」と題された大作三点が並んでいた。画も、池のまわりと同様、妖気を発していた。

2007年7月19日:『キリギリスのように楽しく…』(百万遍交差点)

2007年07月19日 23時26分06秒 | Weblog

百万遍交差点に立っている京都大学時間雇用職員組合 Union Extasy(ユニオン・エクスタシー)の立て看板。なんでも組合員2人の小世帯だそうだ。「キリギリスのように楽しく働きたい!でも餓死はイヤ!」というメッセージは、大学非常勤職員に限らず、多くの人の心に響くモノではないだろうか。

 以下、同組合趣意書より一部抜粋(傍線はカッパ):

今の京大において、私たち時間雇用職員は、便利な「使い捨て」の道具でしかありません。1年ごとの契約更新におびえ、毎年、春が近づくとキリキリ胃は痛むし、いつクビになるかという不安を誰もが抱えています。私たちは、昇給によって評価されることもなく、スキルアップもできずに、ただ使う側の都合によって、次々といいようにポイ捨てされているのです。このような状況では、労働によって悦び(Extasy)など得ることは到底できません

 …(中略)…

法人化に伴って、2005年度以降に採用されたすべての時間雇用職員は、通算5年で京大をクビになるという決まりができました。使う側にとっても何のメリットもない、このようなルールによって、私たちの身分はいっそう不安定なものとなります。5年たったら「自己責任」で、外部に新たな職を探さなければなりません。つまり、都合よくこき使って、用が済んだら使い捨て、あとは勝手にのたれ死ね、ということです。』

国立大学法人では、植物の「頸」伐りも、ヒトの頸切りも、管理する側の論理は大して変わらないようだ。 みんな使い捨て。当然、使っている方も、使い捨てられるようになるのだろう。


植物園とはなにか?(What is a botanic garden?)

2007年07月19日 02時14分40秒 | Weblog

リンベ植物園ガイドブック"LIMBE BOTANIC GARDEN"(Laurie Clark et al., 2001) pp.9-14:"The Limbe Botanic Garden Today"より一部抜粋。日本語訳は、カッパによる。:

What is a botanic garden?  植物園とはなにか?

Botanic Gardens have a history that goes back over a thousand years; they have been developed in one form or another by most civilisations, including Romans, Greeks, Egyptians, Asians, Aztecs and Incas. Originally developed for the growth and study of medicinal plants and the schools of medicine, they rapidly became centres of botanical studies. During the European colonial period, botanical gardens became centres of plant exchange, collecting and were responsible for much of the transfer of plant species around the world.

(訳)植物園には1000年以上の歴史があり、ローマ、ギリシャ、エジプト、アジア、アステカ、インカを含む過去に興った殆どの文明において、さまざまな形に発展してきた。もともとは薬用植物の栽培と研究のために発達した植物園は、すぐに植物学研究の中心的な場となった。ヨーロッパによる植民地主義の時代には、植物園は植物交換や植物採集、そして世界中の植物種の移送に中心的な役割を果たした。

Over the last 100 years, the role of botanic gardens has changed considerably. The need for the introduction and development of exotic species has diminished and environmental issues are now of major importance. The continuous loss of biodiversity due to the destruction of forests and other ecosystems and habitat through agricultural expansion, logging and industrial development has become a major concern to botanical gardens. The conservation of plants and ecosystems native to the different nations of the world has become of greatest importance.

(訳)過去100年間に、植物園の役割はずいぶん変わった。外来種を導入したり、育てるという必要性は大きく減少し、かわって今では環境問題への対応が主要なテーマになった。農耕地の爆発的拡張や森林伐採、産業開発による森林や他の生態系の破壊、そして生き物の生息地の損失が生物多様性の継続的減少をもたらし、それが植物園における主要な問題となってきている。世界のさまざまな国・地域に固有な植物と生態系の保全が最重要課題となっている。

There are more than 1400 botanical gardens in the world today. Most are members of the Botanic Garden Conservation Initiative (BGCI), which is based at the Royal Botanic Garden, Kew in Great Britain. The classic definition of a botanic garden is an institution "holding documented collections of living plants for the purpose of scientific researcg, conservation, display and education"(Heywood 1990). The Limbe Botanic Garden meets that definition and much more.…(後略)

(訳)現在1400以上の植物園が世界に存在し、その多くは英国のキュー植物園にベースを置くBGCI(植物園自然保護国際機構)に加盟している。「植物園」の古典的な定義は、Heywood(1990)によれば、『学術研究、保全、展示、そして教育を目的として、生きている植物が集められ、そのコレクションがきちんと記載・記録管理されている施設』である。リンベ植物園は、この定義に適合し、さらにはるかにそれを越えた機能をもっている。…