fantasia*diapsida

とりとめのないメモの山

広告

※このエリアは、60日間投稿が無い場合に表示されます。記事を投稿すると、表示されなくなります。

The Golden Compass:

2008-03-12 00:00:00 | film・bilder++

『ライラの冒険 黄金の羅針盤 "The Golden Compass" (2007,米,監:クリス・ワイツ)』を観に行きました。

ファンタジー映画にしちゃ久々に原作未読のままの作品です(笑)。
もちろんそりゃあ、原作の知名度は高いし存在は前から知っていたんだけども、なかなか。
映画原題の通り、原作は『黄金の羅針盤』で、"ライラの冒険"ってのは日本でのシリーズ名。
元々も『His Dark Materials』なんて渋いシリーズ名が付いているけれど、日本にせよイギリスにせよアメリカにせよ、
書籍表紙にはあまりこのシリーズ名が強調して書かれていない。
ちなみに、作品の生まれた英国では1作目は『Northern Lights』。北米に渡って『The Golden Compass』に変えられたのだけれど、
元の方がカッコいいなー。


さて、観た感想をば。

一言で言えば、「原作面白そうだな、読んでみようかな」と(笑)。
映画はどうも原作のストーリーを追っかけるのに精一杯になって、
設定や世界観の妙を自分の物にして面白く表現するレヴェルまで到達していないよう感じた。
キャラクターも充分に性格・感情が描かれていないし、生かしきれていないぞ
2時間弱では短かったか?
あと、物語の序盤からいきなりストーリー展開が急速であり、世界観に入り込むのには少々難である。
融合しかかった平行世界が舞台で守護霊が伴い…ってのはよくある設定ではあるし、
地名やら何やらが基本的には一般名詞をそのまま流用した感じなので、さほど悩む所はない。
私は+ファンタジー&SF好きだからか、まだサクッと入り込めたと思うけれども…

この手のハイ・ファンタジーは独特の世界観がまず第1の魅力と思われるので、
たといストーリーを追うのにさして不要であろうとも、映像で世界を見せていくようなシーンがもっと
特に冒頭などにあっても良いと思うのだ。
例えば…どうしてもファンタジーと言えばコレと比較してしまうけれども、
 我が最大の愛読書『指輪物語 "The Lord of the Rings"』の映画版で
 洋画では1番好きな"The Lord of the Rings"(ロード・オブ・ザ・リングなんてセンスゼロの邦題なんぞ使うか!)
 での、1作目『旅の仲間』の冒頭のつくりは好かった。
 まず1つの指輪の歴史、大きな世界に住むお偉い人々の戦から入り、
 次いで小さな世界で袋小路屋敷のバギンズの旦那と灰色の放浪者殿が馬車で会話しながらわざとのんびりホビット庄を抜けていく。
 原作ではのっけから歴史説明に始まることはない(ホビットの説明に関しての記述は長大にあるのだが)。
 フロドはずっと家にいるし、そこにミスランディア様が馬車でひっそりやってくる。
その本題に入るまでの"のんびり"がイマイチなかったんだよ、ライラ。

折角我々の世界とのパラレルワールドなんだから、
なおさら歴史を感じさせたり、風俗・文化・生活観をもっと前面に出しても良いと思うのだ。
大概にして空想物における生活観は「食事シーンで見せる!」というのが鉄板だが、
食事シーンは2回あったのに実際に物食ってる人はあまり映らなかったし…
社会の重層構造を見せるのには、例えば階級・文化による食事風景の違いを見せるって言うとおり、
"The Lord of the Rings"でもやたら至る所で、
時には戦闘シーンの裏や重要な話をしている最中でも、食事シーンが出てきていたし、
(原作でも食事はメニューまでしっかり書き込まれるくらい重視されているが、ピーちゃん監督はちゃんとそこを大事にして下さった)、
まぁ別にないならないで全く構わないんだけれど、
それならそれでちゃんとそれなりの見せ方をして欲しいと思うのです。


でも内容はよかったですよ。
民衆を無知なままで置いておこうとし知と権力とを握る教権と、
真理と自由とを求めて反発していく民衆組織との対立構造は、
何処となく『LASTEXILE』(ラストエグザイル。私の1番好きなTVアニメ。全26話。ハリウッドでの実写化が進んでいるとか。)
にも似ているな~と思いつつ、
でも主に対立しているのは教権-学会なので、これは個人的に思い当たる節もあるぞ…とも思い(笑)。
いや、この国で1番一般的にしっくりくるのは、政府-学会の構図だな(危)。

そういや、よろいグマのイオレクはイアン・マッケランが声を当てているけども、
対立する教権の幹部には何気に史上最大の名優、クリストファ・リーが(数カットしか出てこなかったが)!
すげー大物使ってるじゃんと思いつつ、そういやこの対立構造もどこかで見たぞ(笑)。

ところでこの世界、ヒトには全て動物の姿をした魂、ダイモン(daemon)が付いているが、
daemonってギリシャ神話での守護神ですよね。
英語での発音はディーモン。そのままキリスト教圏に取り込まれてデーモン(damon)すなわち悪魔となった。
悪魔が神に楯突く話…これひょっとしてミルトン?
と思ったのだけれど、思ったとおり『失楽園 "Paradise Lost"』に材を採っているらしい。
ちょいとグノーシス主義入っているかとかで、北米では結構反発を生んでいるらしいけれども、
いつもながらヨーロッパの方が冷静で、「宗教組織の教義や抑圧に対す戒めは見られど、特定の宗教に対す批判は書かれていない」と
教会自身が発言していたり。さすがです。
映画観た感じでは、だって主役は結局悪魔ではなくあくまでも人間なわけだし、
そもそもあっちの世界とこっちの世界観とは構造自体がだいぶ異なるようだし、
アメリカはいつもながら過剰反応ではないやろか、と個人的には思えてしまう。

でもタタール族とかサモエードとか、実在する民族を特定的に悪役にしちゃうのはどうなんだ…?
と、むしろそっちが気になったよ私は。


ダイモン関係で、動物はよく出てきたけれども(例によってほぼ脊椎動物''笑)その殆どはCG。
パンタライモン君とかよろいグマのイオレク・バーニソンとか、メインのあたりはよく出来ていたけれども、
それ以外の方々はやっぱりね…ゲンナリ。
どうみても動物じゃなくてデジタルにしか見えない部分が結構…
あまり演技や見せ方が擬人的過ぎると、その動物としての魅力が一気に冷めちゃうし。
職業病(専攻学問病?)と言うやつだろうか?またこの前動物園に行ってきたところだし。

あと北極が全然寒そうじゃないの。
そういう所含めて、例えば知らない世界にドンドン出て行くことは、
子どもにとっては喩え様ないほど楽しいと同時に残酷なまでに厳しいものだと思うのだけれど、
1人の少女が圧倒的困難に立ち向かっていくと言った緊迫感がどうも足りないような…
いまいち"空間の広がり"を感じられる映像でもなく、全体的に非常に構図が平板だったのが残念。

平行世界の概念もこれから超ひも理論やら虚数空間やらの概念が用いられまくって、
ハーラン・エリスン的世界観を追加で醸し出してくれればもう最高なんだが、
そんなアホな個人的要望は棄却しておいて、

きっと元々の活字は深みと広がりを持った、スケールの大きな作品。
だけれど、映画化の段階でそれが大幅に単純化・スケールダウンしてしまった。
ファンタジー好きとしてもSF好きとしても動物好きとしても中途半端で、
全体的には残念な感想を持ちました。

でもま、次回作も観に行きますよ。
次以降の展開が面白そうだし。
だが評価が全体的に芳しくないので、続編製作がアヤウイという話も聞くが…頑張って作れ~!


ところで私のダイモンはオオカミだそうで…
動物占いでもオオカミ。縁があるわねぇ。


イラスト、○ニャンっぽくなってしまった…許してくださいm(_ _)m。
旗には"威俺駆"と、ソレっぽく書いたつもり。


『映画・DVD』 ジャンルのランキング
Comment   Trackbacks (16)   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« Sweeney Todd: | TOP | button: »
最近の画像もっと見る

post a comment


コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。

Related Topics

16 Trackbacks

Trackback  Ping-URL
ライラの冒険 黄金の羅針盤 (タクシードライバー耕作の映画鑑賞日誌)
原題 THE GOLDEN COMPASS 上映時間 112分 製作年度 2007年 製作国 アメリカ 初公開年月 2008/03/01 監督 クリス・ワイツ 原作 フィリップ・プルマン 『黄金の羅針盤』(新潮社刊) 脚本 クリス・ワイツ 音楽 アレクサンドル・デプラ 出演 ダコタ・ブルー・リ...
ライラの冒険 黄金の羅針盤 (☆彡映画鑑賞日記☆彡)
 『その針は教えてくれる。』  コチラの「ライラの冒険 黄金の羅針盤」は、1995年の発売以来世界的なベストセラー、そして数多くの受賞をしているフィリップ・プルマンの「ライラの冒険」シリーズの1作目となる「黄金の羅針盤」を「ロード・オブ・ザ・リング」のニュ...
★ライラの冒険 黄金の羅針盤(2007)★ (CinemaCollection)
THEGOLDENCOMPASSその針は教えてくれる。上映時間112分製作国アメリカ公開情報劇場公開(ギャガ・コミュニケーションズ=松竹)初公開年月2008/03/01ジャンルファンタジー/アドベンチャー/ドラマ【解説】オリジナルティ溢れる深淵な世界観と、ユニークかつ魅力的なキャラ....
ライラの冒険 黄金の羅針盤 58点(100点満点中) ((´-`).。oO(蚊取り線香は蚊を取らないよ))
帰れるんだ これで 帰れるんだ オォー 公式サイト 1995年に刊行された、イギリス人作家フィリップ・プルマンによるファンタジー児童文学『ライラの冒険』シリーズ三部作の第一部、『黄金の羅針盤』を実写映画化。 原作は少女を主人公とした児童文学ながら、独自に...
『ライラの冒険 黄金の羅針盤』 (京の昼寝~♪)
□作品オフィシャルサイト 「ライラの冒険 黄金の羅針盤」□監督・脚本 クリス・ワイツ □原作 フィリップ・プルマン(「ライラの冒険」シリーズ)□キャスト ダコタ・ブルー・リチャーズ、ニコール・キッドマン、ダニエル・クレイグ、エヴァ・グリーン、サム・エリオ...
ライラの冒険/黄金の羅針盤 (Akira's VOICE)
観客にも羅針盤で道を示して下さい。
「ライラの冒険 黄金の羅針盤」 少女の成長、自我の形成 (はらやんの映画徒然草)
ダイモンという設定がおもしろいですね。 「ライラの冒険」の世界では、人間の魂が動
エリザベス:ゴールデン・エイジ (とんとん亭)
「エリザベス:ゴールデン・エイジ」 2008年 英/仏 ★★★★★ 来週から毎週と言っていい程、観たい映画が続々と来るので、昨日の夜大慌てで観て きました。 いや~、ケイト・ブランシェットの凄みのあるクイーンっぷりに圧倒されますね。 女として....
「ライラの冒険黄金の羅針盤」 (かいコ。の気ままに生活)
試写会で 観てきました。「ライラの冒険黄金の羅針盤」公式サイトここは人間とダイモン(守護精霊)が暮らすパラレルワールド。ダイモンは人間の魂で、動物の形をしていて、その人の性格によって 形がきまるらしいです。ドウブツ占い風?↑公式サイトで 自分のダイモン...
ライラの冒険 黄金の羅針盤(試写会) (カリスマ映画論)
【映画的カリスマ指数】★★★☆☆  目を見張る『世界』、心うずかぬ『世界観』  
ライラの冒険 黄金の羅針盤 (夫婦でシネマ)
フィリップ・プルマンによるファンタジー小説の第1部「黄金の羅針盤」を映画化。ニコール・キッドマン、ダニエル・クレイグ、エヴァ・グリーンなど、脇を固める俳優人が豪華です。
ライラの冒険 黄金の羅針盤 (ももママの心のblog)
パラレル・ワールドでは動物の形をしたダイモンの中に人間の魂が入っている。そして、その世界に住むライラが、真実を知ることが出来る羅針盤を読める唯一の人間として冒険する物語。 2008年(公開) アメリカ ファンタジー、アドベンチャー 2008年3月9日 ワーナーマ...
『ライラの冒険 黄金の羅針盤』 (kuemama。の<ウェブリブログのへや>)
【THE GOLDEN COMPASS】 2007年/ギャガ=松竹/112分 【オフィシャルサイト】 監督:クリス・ワイツ 出演:ダコタ・ブルー・リチャーズ、ニコール・キッドマン、ダニエル・クレイグ、エヴァ・グリーン、サム・エリオット
『ライラの冒険 黄金の羅針盤』07・米 (虎党 団塊ジュニア の 日常 グルメ 映画 ブログ)
あらすじ我々の暮らす世界とは似て非なる平行世界で孤児のライラは、親友ロジャーらと共に騒がしい日々を送っていた。しかし街では次々と子どもが連れ去られる事件が発生し親友ロジャーも姿を消してしまう・・・。感想1日のサービスデーに見てきました。すんげー!人並ん...
『ライラの冒険 黄金の羅針盤』 (cinema!cinema!~ミーハー映画・DVDレビュー)
前売り券を入手していた『ライラの冒険 黄金の羅針盤』を観てきました。 もともとなんとなくではあるけれど、もっとファンタジー色の強い作品なのかと勝手に思っていたところがあって、観てみるとファンタジーよりもアドベンチャー的な要素が強かったのは個人的にはちょ...
ライラの冒険 黄金の羅針盤 (小部屋日記)
The Golden Compass(2007/アメリカ=イギリス) 監督:クリス・ワイツ 出演:ニコール・キッドマン/サム・エリオット/エヴァ・グリーン/ダコタ・ブルー・リチャーズ/ダニエル・クレイグ 人間は、その先を、まだ知らない。 彼女は、救うかもしれないが、滅ぼすかも...