Carry on!! ~旅のお供に音楽を~

アラカン過ぎてクラシックやオペラの旅が何よりの楽しみです。旅先で街の人たちと音楽談義をしたり、暮らすように旅したいです。

私のオペラノート62

2016年10月15日 | オペラ

       《フルラネットを初めて聴く!!マリインスキーの『ドン・カルロ』を観る》

 さて、ついにリアルタイムでオペラノートを書く、というかつての希望が叶うことになったのですが、予定外の公演を観ることになったのでやや混乱しながらプログラムなどをスキャンしたり整理をしています。というのも、少し前にマリインスキー歌劇場の引っ越し公演『エフゲニー・オネーギン』に行くことにしたばかりだったので、加えてもう一本の『ドン・カルロ』まで観るというのは贅沢すぎるのでは…という気持ちがあったからです。それでも、オペラの師匠たちから『フルラネットの存在を知らされ、思いがけずリーズナブルなチケットを手に入れることが出来ましたので、大好きなテノールヨンフンリーのドン・カルロが聴くことができる!!と喜んで出かけることにしたのです。前記のオペラの達人はすでに10日の公演をご覧になったので、その方から「フルラネットは素晴らしい歌手ですよ」と教えていただいたので、すぐにYou Tubeなどで調べると、なんとかつてはホセ・カレーラスのドン・カルロ、フルラネットがロドリーゴという役で動画が出てきたのでその歌声はかなり確かなものであることは素人の私にも理解できました。そのフルラネットが今はフィリッポⅡ世として名を馳せていることはオペラファンなら周知の事実で、知らぬは私だけなのでありました。(MET版で録画していたのにフィリポⅡ世役で出ていたと記憶しているのですが、エリザベッタ役がポプラフスカヤだったかで、DVDのディスクを処分してしまっていました。でも、これで楽しみが二倍になったのですから足取りは軽く、大江戸線の上野御徒町から文化会館までせっせと歩を進めた私でありました。何しろ『ヴェルディビタミン』は最高のエネルギーチャージですから!!

 

            ☆2016年10月12日(水)開演 18:00 上野文化会館大ホール

            ☆ヴェルディ 『ドン・カルロ』

            ☆出演 フィリッポⅡ世:フェルッチ・フルラネット

                ドン・カルロ :ヨンフン・リー

                ロドリーゴ:アレクセイ・マルコフ

                宗教裁判長:ミハイル・ペトレンコ

                エリザベッタ:イリーナ・チュリロワ

                エボリ公女:ユリア・マトーチュキナ

            ☆指揮 ワレリー・ゲルギエフ

            ☆演出 ジョルジオ・バルベリオ・コルセッティ

            ☆演奏 マリインスキー歌劇場管弦楽団&合唱団

            ☆オペラ難易度 C (音楽評論家・黒田恭一さんの著書『オペラへの

             招待』による,どのオペラをみたいかという時の目安です)

 

        

         出待ちをしてフルラネット(上部)とゲルギエフからサインをもらいました

 さて、私の最大のお楽しみは唯一わかるこのオペラのアリア、ロドリーゴとの二重唱『われらの胸に友情を』ですが、残念ながらロドリーゴ役マルコフの歌が今一歩ずれているというか、表情も魅力に乏しくヨンフンリーのイタリア語はクリアに響いてくるのですが、淡々としていて何か迫力、気迫に乏しく感じられがっかりしました。何しろ、MET版ではこのロドリーゴ役はキーンリサイドで聴いていますから初めて聴いた時からとても心に残りました。それだけに・・・それなのに・・・あとはどこをたのしみに聴けばいいのよぉ!という思いでした。何しろ私にとってヴェルディはこう歌ってほしい、と思うドミンゴ(カルロ)とレオ・ヌッチ(ロドリーゴ)という天下一品の二重唱が頭に刻み込まれていますから、素人の思い込みに食い入るには相当インパクトがないとね。https://www.youtube.com/watch?v=-KdqWGLLqus (音声のみですがヌッチの若かりし頃のロドリーゴの映像を探して観たいです)

 舞台は全体的にシンプルですが決して嫌いな設定ではありません、でも前記のようにイタリアなテイストがどうしても感じられなくてヨンフン・リー以外は今いちのまま第2幕に入り印象的な合唱のシーンになりました。が、これがまた弱いしやはりテンポがずれているようで心地よくありません。(合唱はやはり、新国立が世界一ですわ)ゲルギエフの勢いについて行けていない?時々音が大袈裟になって歌が聴きにくいところもありました。私の耳のせいなんでしょうか。オペラの達人のブログを参考にしながらこの感想もそれほど間違っていなかったことに、あとでほっとしたりしました。それから、この日のエボリ公女(ユリア・マトーチュキナ)は早とちりしてそのうえ復讐のためにエリザベッタを陥れようとしたり、フィリポⅡ世と間違いをしでかしたりするのですが、そんな勘違い女の哀れさはよく表現していたと思います。直接は開けませんが『ぶらあぼ』が10月10日の公演のエボリ公女の歌声をアップしてくれています。今のうちかもわかりませんので、ぜひコピペしてご覧ください。https://www.youtube.com/watch?v=zXAq5H-6BEY

でも、イタリア語での迫力ある演技となれば、二年前にこの役を二期会公演で歌っていたという、この3月から大ファンになった清水華澄で聴きたかったです。表現力がヴェルディものにぴったりとはまっていますから。このオペラももっとドラマティックなオペラなはずなのに、なんか全体的にさっぱりとしているなぁというのが第2幕時までの感想でした。

 圧巻は何といってもフルラネットでした。パンフレットを観て思い出したのですが衣装を着けるとあのレオ・ヌッチのように誰も寄せ付けないほどの貫禄と演技力、そして歌が舞台から流れ出るようにあふれ出てきて客席を満たします。第3幕目の『彼女は私を愛していない』そして『ひとり寂しく眠ろう』と切々と朗々と歌い上げる声の力は私の胸にも深く印象付けられました。そして、第4幕目の『むごい運命よ』とフルラネットの独壇場は続きました。ヌッチとはまた違うバス歌手の魅力がたっぷりでまさに、フルラネットショーのごとくでした。この歌手の存在を知っただけでもこの公演に来た甲斐があったというものです。教えてくれる人がいる私は本当に幸せで、ありがたいことだったと思っています。もう、この歌手の歌声を次は何時聴くことができるのかわかりませんから、それを考えるとヴェルディのオペラでビタミンチャージを!!と薦めてくださったオペラの師匠たちには感謝のことばしかありません。多少、ロシアンオペラに違和感があったとしても、終わり良ければ総て良しということになるのですね。『ぶらあぼ』がなんとこのフルラネットの歌声までアップしてくれていました!!本当に嬉しいことです。まだ、『ドン・カルロ』をご覧になったことのない方も、これは必見だと達人たちがおっしゃっています。それを了解してくれたフルラネットにも感謝ですね!!https://youtu.be/kYxbZNxfVz4

 


      

         右がフルラネット演ずるところのフィリポⅡ世です(素顔は普通の優し気なおじさまでした)

 

 最終幕については私はやや物足りない演出だと思いました。何しろ舞台がきつい傾斜を使っていろいろな場面を描写するわけなので想像力のない人にとっては?な場面もあったかと思いました。歌で納得させられるヨンフン・リーやフルラネットが出ているところでもドン・カルロの最期のシーンは物足りなかったのではないかと私は思いました。確かMETの演出では先帝と思しき人物に引きずり込まれるように連れ去られる~みたいな感じでしたので、その点はいかにヨンフン・リーがめいっぱい過剰な表情で現わしても伝えきれなかったところかと、私は思いました。

 舞台がはねて夜更けの楽屋口で待っていた私たちファンに、疲れも見せずさわやかな笑顔でサインに応じてくれた素顔のヨンフン・リー。逢えて本当にうれしかったー!でも、プレゼント渡すの忘れてしまったー!!敢えて、この日のプログラムではなく3年前にウィーンで観たプログラムにサインしてもらったのですが、それを見て「おっ、素敵だねぇ」なんてことを言ってくれてました。それでタイムアウトで写真は撮ることが出来なかったことが残念ですが、これでまた「カウフマンの代役」とか韓国出身のとかいちいち言われることなく世界を股にかけるテノールとしてますます活躍が期待できると、そう思って次の日になってから自宅に辿り着いたのでありました。さぁ、次回はいよいよ本場物の『エフゲニー・オネーギン』です!!(ちょっと、心配・・・)

                       

                      
           この表紙にはヨンフン・リーではなくフィリポ役のクワンチョル・ユンが写っています


☆私が幕間にカンニングしながら観劇したオペラの達人、草間文彦さんのブログはこちらから。もっと的確なオペラの感想が綴られています。http://provenzailmar.blog18.fc2.com/

☆学習院生涯学習センターや朝日カルチャーセンターでオペラのいろいろ、わくわくするようなレクチャーをされている

 音楽評論家・加藤浩子さんのブログはこちらから。http://plaza.rakuten.co.jp/casahiroko/


 


 

      

               


        

      





             

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