
三つともカエル色で統一
今日は超オススメの本です。
年に一冊出るか出ないかってぐらい、がっちゃんが☆☆☆☆☆をつける本です。
■書籍名:素数たちの孤独
■作家名:パオロ・ジョルダーノ
■翻訳者:飯田亮介
■出版社:早川書房
■価 格:1800円+税
原題はLa solitudine dei numeri primi
作者は物理学者として大学で教鞭を取り、そのデビュー作で、ストレーガ賞を受賞したと言う、話題作の邦訳がついに出ました。
日本人も、「医者で作家」とか二束の草鞋の人が何人かいますけれど、『きみがくれたぼくの星空』(原題:Che cosa ti aspetti da me?)を書いた、ロレンツォ・リッカルディも心理学者だし、『動かないで』(原題:Non ti muovere)でストレーガ賞を受賞したマーガレット・マッツアンティーニも本業は舞台女優だと言うし、さすがレオナルド・ダ・ヴィンチを生み出した国。才能豊かな人が多いですね。
以下は書評として書いたので、ちょっと固めの文章になりますが、お許しを!!
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さて、本書は不思議な構成になっている。各章にイトルがつけられ、更に中表紙がついているため、読み始めてしばらくは、短編小説集かと錯覚してしまう。それが一種のオムニバス形式であることが判り、各章それぞれの登場人物の成長に従って、人生のある時点で少しずつ関わりを見せ始めた頃から、物語のうねりがどんどん大きくなっていく。
本書に登場するのは、自傷癖のある数学が得意な少年、足が不自由で拒食症の少女、異性に興味が持てないことを悩む少年、苦い初体験からいじめで気持ちを発散させる金持ちの少女。そして命じられるままに、それに加担する取りまきの少女達。正直、誰一人として好きになれる人物はいない。
しかしながら、その不快の原因は、読者自身の過去に同じような体験や思いをなぞるからではないかと想像する。誰しもが人に言えない秘密や、消してしまいたいような記憶があるだろう。それが年月と共にようやくかさぶたとなって、剥がれ落ち、自分でもその傷跡を意識しなくなっている頃に、再び傷口を見せられたようなそういう気持ちになるのである。
書の帯には、『鮮烈な恋愛小説』、そして新刊案内には、『至高のラブストーリー』などと書かれているが、ロマンチックな恋愛小説を期待すべきではない。また本作品に、癒しを求めることも出来ない。
愛する者同士であっても、孤独が産む憎悪の感情が膨れ上がり、その矛先が、自分自身へ向けられ血を流しもがき苦しむ様を、読者は傍観者として立ち会うしかないのである。けれど、その先にかすかな希望の光を感じるからこそ、読了するまでその淡く差し込む光を目指して、共に歩むのである。
あらすじはあえて書かない。とにかく、一人でも多くの人に手にとって欲しい。と願う良書である。
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本当に、読み応えのある小説でした。かといって、ページがなかなか読み進まないと言うことではなく、コーヒーを片手に、暇つぶしに読むミステリーと違って、読み手にも飢餓感を求めるようなそんな一冊でした。
なんていうか、本を読んだあと、へとへとになりました。それでも、がっちゃん的『ブックス・オブ・ザ・イヤー』な本なのです。是非読んでいただきたいと思う理由は、この作品の根底にあるものが、普遍のテーマだからです。
親子関係の問題。いじめの問題、学年の中に必ず一人か2人はいる、浮いた存在生徒。身体の未発達など、今の子供達の問題ではなく、昔からあったことだと思います。それをどのようにやり過ごして来たかは、人によって違うでしょう。
しかしながら、無邪気に「学生時代はよかった。」と懐かしむことが出来る人は、スポーツや勉強など心から打ち込めるものがあって、充実した青春時代を過ごせたごく一部の幸せな人です。
多くの人は、苦い悔恨のようなものを重ねて大人になっていくものなのです。人が育つ環境は様々です。虐待を受けた人。過剰な愛情によって精神的に追い込まれた人。親子関係がうまく行かなかった人。学生時代のいじめによって、登校拒否になってしまった人。長じるに従っても、過去に縛られ、幼少時代、学生時代に体験した出来事によって、不安や焦り、孤独を感じ続ける人は多いと思います。
ただ、結局のところ、どういう過去があったとしても、それを克服するのは自分以外にいないということ。また過去の体験に責任転嫁していては、その穴から抜け出すことは出来ないということなのだと思います。
自分から一歩を踏み出すことのを噛み締めつつ、そしてそれは「本を読んで教えられること」ではないことが、本書の締めくくりに清涼感をもたらしているのだと思います。
夏の暑さも一段落し、朝夕には、秋の気配も感じられるようになってきました。
読書の秋をお楽しみ下さい。















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この話題、タイムリーです!
実は、私もこの本をいま読んでいます!
翻訳者が知り合いなので、先日出来上がった本を借りてきたんですよ。
映画化も決まっているらしいので、カナリのベストセラーだったんでしょうね!
展開が速いのでサクサク読めますね。
まったく予想の出来ないストーリーで、このまま結末がどうなるのか・・・とっても気になってます。
清涼感目指して読み進めますー。
この本、読んでみたいと思いました。
もともと英語の人だった私は、イタリア人作家をほとんど知らず、何を読んだらいいのか全然わからないので、がっちゃんさんの本の紹介記事を参考にさせていただいています。
去年、イタリアで先生に教えてもらった本は、ほとんどがちょっと古い(古典まではいかないけど)ものや既に知っている本が多く(きっとイタリア文学初心者向けに紹介してくれたんだと思います)こうやって近年の本を教えてもらえるのはすごく嬉しいです。
これからも時々本や映像の紹介してくださいね〜。
>翻訳者が知り合いなので、先日出来上がった
>本を借りてきたんですよ。
すっごぉーーーーい。
実は翻訳についても触れようかなと思ってたんですよ。
原文を読んでないので、原文のニュアンスみたいなのがどこまで生かされているのかとか、そういうことはわからないのですが、なんていうかまた素晴らしい翻訳家が一人生まれたな。と喜んでいたところです。
この飯田さんとおっしゃる翻訳家の略歴を拝見すると、もともとは中国語がご専門なんですね。一つの語学でも大変なのに、親戚関係とはいえない語学をその後から学んで翻訳家となるってすごいことだと思います。
年齢もまだ若くていらっしゃるようですし、今後どんな本を日本に紹介してもらえるのか今から楽しみです。
いつも思うんですが、日本で紹介されるイタリア文学の多くは、ベストセラーになったことより、翻訳家が自分でほれ込んだ作家の作品を立て続けに翻訳する傾向があるので、紹介される作品も系統も同じものばかり。と言うことになってしまいがちです。
今回新たな作家、新たは翻訳家が同時に生み出されたことを喜ばしく思います。
>映画化も決まっているらしいので、カナリの
>ベストセラーだったんでしょうね!
イタリアで120万部ってすごいですよね。
映画化も楽しみです。
>去年、イタリアで先生に教えてもらった本
>は、ほとんどがちょっと古い(古典まではいか
>ないけど)ものや既に知っている本が多く(き
>っとイタリア文学初心者向けに紹介してくれ
>たんだと思います)こうやって近年の本を教え
>てもらえるのはすごく嬉しいです。
解りますよぉーーー
きっと、アルベルト・モラヴィア、スザンナ・タマーロ、ナターリア・ギンズブルグこのあたりじゃないでしょうか・・・
あとは、そうだなぁ〜アレッサンドロ・バリッコぐらいでしょうかね。
悪くないんだけれど、もっと面白いものありますよ。って感じです。
海外で紹介される日本人作家の作品もそうだけれど、本当に面白い作家の作品ってなかなか紹介されませんよね。
一時期ハルキ文庫と言うのがあって、アンドレア・カミレッリの本が2冊だけ出版されたんですが、このハルキ文庫自体が、本屋から姿を消したのが残念です。続き楽しみだったのにぃーーー
トラックバックさせていただきました。
というか、初めてのことなので
できているか不明です。
私はタブッキ、エーコからイタリア文学に入りました。
ナタリア・ギンズブルグの本は須賀敦子さんが訳しているので、是非読みたいのですが
埃ををかぶってます・・・。
>まだ読了しておりませんが
>トラックバックさせていただきました。
えっと、トラックバックが送られてきていません。
認証制になっているので、送られてからこちらが承認してからのアップになるのですが、まだ届いてないんです。
トラックバックの方法は、この下のところに、
この記事のトラックバック Ping-URL
とあって、トラックバックアドレスが書いてあります。
それをコピーして、ご自身の記事の作成画面でトラックバックを送る記事のところのトラックバック欄に入れると送れるはずです。
私もブログを始めて2年近くになってようやく使い方がわかった機能です(笑)
>私はタブッキ、エーコからイタリア文学に入
>りました。
王道ですね。
私はマンゾーニで躓いています(笑)
最初にイタリア語で読んだのは、ヴェントゥーリですね。いかにもって感じの本ですけれど。
たしかWordpressからgooへはTBできなかったと思うので、コメントだけ残させていただきますね。
これ、ラブストーリーとはちょっと違うような気がしました。
もっと広く、人間関係から生じる摩擦やらキラメキやらを描いているような。
こんな素晴らしい小説を読んでしまうと、理系・文系の区分けって、たいした意味はないのかも、と思ってしまいます。
イタリア文学には疎いので、がっちゃんさんのサイト、とても参考になります。
これからもよろしくお願いいたします。
コメント&トラックバックありがとうございます。ちゃんとトラックバック届いてました。
認証制にしているのでアップが遅くなってすいません。
>これ、ラブストーリーとはちょっと違うよう
>な気がしました。もっと広く、人間関係から
>生じる摩擦やらキラメキやらを描いているよ
>うな。
おっしゃる通りです。究極のラブストーリーとかって書くと、「世界の中心で愛を叫ぶ」みたいなイメージを持たれそうで、ちょっと気になります。
最近こういう売らんがため。としか思えないような喧伝をする本屋映画が増えていますが、本当の意味での本好きにとっては、少し悲しいことですね。
これからもどうぞよろしくお願い致します。
僕のブログへのコメントありがとうございました。
残念ながら、blogger.comにはトラックバック機能がありません。僕の記事へのリンク(URLの欄に入力しました)をどこかに貼っていただければ、僕の記事の下にがっちゃんさんのトラックバックらしきものが自動的に表示されるようです。よろしければご利用下さい。
コメントありがとうございます。
そうですか、トラックバックおくれないんですね。残念です。
この本の訳者について、ご興味のある方は、上記コメントの、「亮介飯田」の名前をクリックして下さい。飯田さんのブログに飛びます。