職員会議ラプソディ3 「花見のゆくえ」 作 大山哲生
山田「ただいまから職員会議はじめます」
小西「緊急動議」
山田「なんですか」
小西「今日はグランドの桜が満開やから、桜の下で花見しながら会議をしたらいいと思います」
校長「えー、それは」
小西「校長先生、学校教育法・施行令・施行規則にも桜の下で職員会議やったらあかんとはかいてないです」
東「こっちの本市の学校管理運営規則にも書いてません」
校長「そやな、それやったら外でやろか」
間野「それがーいいそれがーいいと言いました 〇」
山田「さて、桜の下にブルーシートしいたし、今から改めて職員会議をします。では教務からお願いします」
外川「えーと、教務からですが、三年生の教室を一階にするか三階にするか決めてください」
山田「意見があれば手をあげてください」
岸本「はいっ」
山田「岸本先生」
岸本「ぼくは、一階のほうがいいと思います。第一目がいきとどくし」
岩田「なんでやねん。去年一階にしたらアンポンタンが窓から逃げたのを忘れたんか」
倉田「そや、あいつらは三階に隔離した方が、悪さをしないでいい」
菊川「そやけど、三階にあげたら消火器まいたことがあります。大変困りました。だから、一階がいいと思います」
畑「理科としましては、三階のほうが紙飛行機がよく飛ぶので科学する心をやしなえるかと思います」
野村「ちょっと待った、去年は三年のアンポンタンの紙飛行機が飛びすぎて裏の田んぼに入ってどなりこまれたことがあったんですよ。それも十点のテストばかりを飛ばしたもんだから本校のテストは十点満点ですかと聞かれて大恥かきました」
山田「そこの二年生の学年団、花見はしても酒は飲んではいけません」
佐倉「いや、これはお茶けです」
山田「まぎらわしい飲み方はしないように。一階派と三階派の意見があってまとまりません」
小西「それやったら、間をとって四階というのはどうですか」
湯川「間とってないで」
里村「英語科としては、間というのはビトウィーンといいまして、ビトウィーンと言うても歯ブラシではなくて、この場合の間とは二階が正しいかと」
楠本「数学科としましては、一階と三階と足したら四階になりますので、四階でもいいかと」
浦田「理科としては、間なら階段の踊り場と考えます」
木元「議長」
山田「はい木元先生」
西田「だいたい、うちの学校には四階はありません」
小西「屋上にプレハブ建てたらええやないか」
プップップップー
外川「あ、五時や。勤務時間終わった」
プシュー、プシュー、プシュー
全員「かんぱーい」
山田「誰やねん、ビールを飲んでるのは。・・・・そろそろ、夜の十時になりますので、多数決とります。一階がいいと思う人・・・三人、二階がいいと思う人・・・三人、三階がいいと思う人・・・・三人」
校長「ここで休憩を入れましょう」
・・・・・・・・・・
山田「えー、日付がかわりましたが、職員会議を再開します」
新井「ちょっと待ってんか。甲田先生が今から黒田節を踊る言うでるから」
山田「何でやねん、怒るでしかし。多数決をとります。一階がいいと思う人・・・・一人、二階がいいと思う人・・・三人、三階がいいと思う人・・・・二十七人」
小西「なんで、急に三階派が増えたんや」
校長「ああ、花見だけにサクラ」