ぽよ熊さんのテレビ観戦記

活字好きはどうぞ!「昭和後期」(新命名)にTVと蜜月期を送った元女の子(笑)で、かつてのバブル世代が死語満載で送ります

相棒V 第3話 犯人はスズキ

2006年10月27日 | 相棒V
いやー、今回は重い話でしたねえー。
かわいい娘を殺された父親の町内会長さん・・・時効後になって、真犯人が隣人だったと知った時の悔しさ、無念、怒り・・・その瞬間、衝動的に犯人を殺してしまう町内会長さんの胸の内が、痛いほど伝わってきました。
法的に復讐は許されないと思いますが、思わず涙が出て、泣けてきました。
「相棒」見て、泣いたのは初めてです。

娘さんのキャラクターものの遺品を見て、あたしも「テクマクマヤコンー」などと言いながら遊んでいた(もちろん違うキャラクターですが)、自分の子供時代を思い出しましたよ。
でも、この子の人生はここで止まってしまったんだな、と思うと、余計かわいそうで。

圧巻は、最後に集会所で、町内会の六人(でしたっけ)がV字型に立ち、なぜ共同で殺害の隠蔽工作をしたか、一人ひとり告白していくところ。
小劇場の舞台に居合わせているような、緊迫した臨場感が漂っていました。
V字型に位置を決めたことで生まれる、画面上の奥行き。
平面的なテレビの画面とは思えないほど、ぐっと凝縮された空間が生まれていました。

テレビでこんなことが出来るんですねえ!!

すごく感動しました。
そして役者さんたち一人ひとりのセリフ回しの見事さで、さらに、もうどうしようもないほど、緊迫した空間が出現。
いやー、本当にすばらしい舞台劇を見ているようでした。
スポットライトの下で、一人ひとりの役者さんの、肌の照り加減が見えてくるぐらいの手触りがありました。
見ていて、ドキドキしましたよ。

超ベテランの役者さんたちが、六人も一堂に会して力をこもった演技を次々に展開する迫力。
今回は、あの熱演でならす水谷さんですら、少し存在がかすんだほどでした。
やっぱり売れっ子の俳優を出せばいいとか、ドラマはそんなことじゃないんですね。
演技ですね、演技。やっぱり人の心を動かすのは。

この第三話の「犯人はスズキ」は、あたしの中では、相棒シリーズでは五本の指に入る出色の出来と言えましょう。

あたしは時々、好きで歌舞伎を見に行くのですが、設定が江戸時代で、まさに類型的な役柄の人ばかり出てくる芝居なのに、心を突かれるように感動することがあります。
それは、うまい歌舞伎役者さんは、ストーリーと役の中に埋まっている、時間も空間も超えて共有できる、普遍的な人間の感情を取り出すことができるからだと思います。
今回はまさに、同じような感動を味わうことができました。

そして、いつもの最後の右京さんの、事件を締めくくる一言・・・。
架空の犯人、スズキさんが本当に実在していたような気になっていた、と語る町内の人たちに、「それが本当だったら、どんなにいいでしょう」。
しみじみと、二回繰り返しました。
「刑事」としてだけではなく、父親の町内会長さん、町内の人たち、そして見ている視聴者全員の気持ちまで代弁したようなセリフでした。

でも、もしあたしがこの町内会にいたとしたら・・・。
けっこう、あまのじゃくな所もあるので、やっぱり嘘をつくのはよくない、罪は罪ですから、と皆の中で言い張ったように思います。
それか途中で、やっぱり黙っていられない、と右京さんに真実を告げに行くとか。
(そうすると、あたしも口封じされちゃうんですかね、やばー)。

ところで、全員が犯人、というこのアガサ・クリスティの「オリエント急行殺人事件」式のパターンは、以前もありましたね。
シーズンⅣの「黒衣の花嫁」でしたっけ。

あと、今回の脚本家は、エンドロールを見たら女性の方でしたね。
岩下悠子さんですか。
オフィシャル・ガイドブックを見たら(もちろん手に入れてます、ふふっ)、これまでもシーズンⅣの「アゲハ蝶」などを担当されているようですね。
前回、相棒には女性の脚本家がいない(そう思ってました)と書いたのですが、お詫びして撤回します。失礼しましたー。

さて、今回もファンにとってはたまらない、いろんなトリビア満載でしたね。
たまきさんの店に、他の客が来ているの、あたしは初めて見ました。
いやー、いつも店にいるのは、右京さん・薫ちゃん・美和子さんだけで、こんなガラガラな店で、一体経営は大丈夫だろうか。
もしかしたら右京さんの知らないことろで、隠れたスポンサーがいるんじゃないか、と心配していました。
でもさ、たまきさん目当ての男のお客さんとかいたら、右京さん気にならないでしょうかね。
けっこう、やきもち焼きっぽそうだし。

それにしても、たまきさんの店が、庶民的な下町にあるとは意外でした。
もっとビジネス街の外れのような、都心の一角を想像していました。
西新橋とか麻布十番とか芝とかの辺?
いやー桜田門の人たちがどこで飲むか知らないけれど、刑事ってけっこう給料いいらしいし。
それに、帰宅の道筋にないと大変なはずだしね。
ってことは、右京さんの家も、わりと近くにあるってことでしょうか。
うーん、気になるー。

あと今回、トリオ・ザ・捜一の中で、三浦刑事がいやに善人的な表情になっていたような。皆いい人になってはつまらないので、やっぱりもっと「うざい感」を出してほしいです。

と、もうひとつ注文ですが(って、番組の人読んでないよねー汗)、特命部屋をのぞくいつもの組織犯罪対策五課の刑事さん二人の視線がカメラと合うのは、番組の中ではせいぜい一回程度にしてほしいと思いました。
ちょっと今回は頻繁すぎて(三回ぐらいありましたか)、見ていて注意がそがれてしまいました。
たっぷりではなくぽっちりと、薬味的に登場した方が、視聴者はこの二人のことがかえって気になって(あれ、今日はどうしたの、いないのかな、とか)、二人の存在感が増すと思います。

そして、今回のあたしの発見は(と思うのですが!)――最初の場面の豆腐屋さんの客で、一番左にいた女性は、放送当日、フジテレビの朝の番組「こたえてちょーだい!」の再現ドラマに出てた人ではないでしょうか?
違うかな。
この再現ドラマ、面白かったんですよ。
奥さんが旦那の浮気の証拠を握るため、旦那さんの携帯のロックをこっそり解除しようとするんですけど、砂時計を見ていて、そのヒントを得るんです。
さて、どういう方法だったでしょうね?

あーほんと、相棒ファンは、細かいよなあー。
「すみません、小さいことが気になるんです」「それが私の悪い癖」(右京弁)。

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2 コメント

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良作でした。 (傷だらけの天使)
2006-10-27 12:15:06
はじめまして。

あのドラマがすごく良かったので、

ブログに書いてる人がいないかな?と思い

gooで検索してたどりつきました。



今までは他のエンターテイメントでしか味わえないような

本当にテレビドラマとしては異色といえる種類の感動でした。

TBをさせていただきました。
傷だらけの天使さんへ (beginners)
2006-10-27 20:34:09
わわっ、ありがとうございます。

ブログ読ませていただきました。

(他のページもちらりと。脳を刺激する魅力的なコメントが、たくさんありますねー)。



物語がお好きなんですね。

私はどちらかと言えば映像と演技に目がいく方ですが。

今回は、もうそのまま物語の世界の中にざんぶと飛び込んでしまいました。

(そういう出来の作品だったと思います)。

ぶくぶくと沈めて快感でした。