himikoの護国日記

長年の各種自虐史洗脳工作から目覚めた一人の愛国者の日記。
日本をおかしな反日勢力から守り、真の独立国にしたいです。

【転載】余命3年時事日記 2306 ら特集徳島弁護士会(上)

2018年01月19日 | 在日韓国・朝鮮人
会長声明・意見表明
ttp://www.kanazawa-bengo.com/info/statement/

2017.12.19 死刑執行に抗議する会長声明
2017.9.13 消費者被害と民法の成年年齢の引下げに関する会長声明
2017.8.24 地方消費者行政の拡充・強化を求める意見書
2017.7.14 死刑執行に抗議する会長声明
2017.6.16 司法修習生への経済的支援を内容とする改正裁判所法成立にあたっての声明
2017.4.21 最低賃金額の大幅な引き上げ等を求める会長声明
2017.4.21 テロ等組織犯罪準備罪(いわゆる「共謀罪」)法案の廃案を求める会長声明
2017.1.26「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律」(いわゆる「カジノ解禁推進法」)の成立に抗議し,廃止を求める会長声明
2016.10.17 テロ等組織犯罪準備罪の新設に反対する会長声明
2016.3.25 死刑執行に抗議する会長声明
2016.3.2  夫婦同氏の強制及び再婚禁止期間についての最高裁判所判決を受け民法における差別的規定の改正を求める会長声明
2016.2. 1 死刑執行に抗議する会長声明
2016.1.20 司法修習生に対する給付型の経済的支援を求める会長声明
2015.9.30 「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」(いわゆる「カジノ解禁推進法案」)に反対する会長声明
2015.9.25 安全保障関連2法の制定に抗議する会長声明2015.9. 1
接見室内での写真撮影に関する東京高裁判決に対する会長声明
2015.9. 1 少年法の適用年齢引き下げに反対する会長声明
2015.5.27 安全保障法制に関する2法案に断固反対する会長声明
2015.5.19 労働時間を大幅に緩和する労働基準法等の一部を改正する法律案に反対する会長声明
2015.4. 1 集団的自衛権行使等の閣議決定撤回と法整備中止を求める決議
2015.3. 6 商品先物取引法における不招請勧誘禁止緩和に抗議する会長声明
2015.2.4 TPP(環太平洋パートナーシップ協定)の交渉にあたりISDS条項の締結に反対し交渉状況の情報公開を求める会長声明
2014.12.10特定秘密の保護に関する法律の廃止を求める会長声明
2014.7.28 大飯原発差止訴訟判決に対する会長声明
2014.7.28 集団的自衛権行使を容認する閣議決定の撤回を求める会長声明
2014.7.16 性急な閣議決定による集団的自衛権行使容認に反対する会長声明
2014.5. 2 集団的自衛権行使の容認に反対する会長声明
2014.5. 2 商品先物取引法における不招請勧誘禁止緩和に反対する会長声明
2014.3.31 労働者派遣法改正案に反対する会長声明
2014.3. 5 行政書士法改正に反対する会長声明
2013.12. 2 商品先物取引に関する不招請勧誘禁止規制の撤廃に反対する会長声明
2013.11.25「特定秘密保護法案」の衆議院での可決に反対する会長声明
2013.8.29 憲法96条改正に反対する会長声明
2013.8.29 生活保護法改正法案の再提出に反対する会長声明
2013.3.26 保証制度の抜本的改正を求める意見書
2013.2.14 司法修習生に対する修習費用給費制の復活を含む経済的支援を求める総会決議
2012.12.28 生活保護基準の引下げに強く反対する会長声明
2012.11. 1 集団的消費者被害回復に係る訴訟制度の早期創設を求める会長声明
2012.8.31 秘密保全法制定に反対する会長声明
2012.8.31 改正貸金業法の完全施行後2年を迎えての会長声明
2012.5. 7 志賀原発の拙速な再稼働に反対する会長声明
2012.2.24 市町村暴力団排除条例の早期制定を求める会長声明
2011.11.30「福井女子中学生殺人事件」再審開始決定に関する会長声明
2011.7.22 地方消費者行政の充実・強化に対する国の支援のあり方についての会長声明
2011.7. 8 東日本大震災による被災者の救済と復興支援に関する決議
2010.11. 9 秋田弁護士会所属会員の殺害事件に対する会長声明
2010.6.24 全面的な国選付添人制度の実現を求める会長声明
2010.6.14 横浜弁護士会所属会員の殺害事件に対する会長声明
2009.10.22改正貸金業法の早期完全施行を求める会長声明
2009.4.16 金沢弁護士会所属会員に対する業務妨害に関する声明
2009.2.27 法曹人口問題に関する会長声明
2007.7.19光市母子殺害事件弁護人への脅迫行為に対する会長声明
2007.6.13犯罪被害者の刑事手続参加に反対する会長声明
2006.9.29共謀罪法案の会長声明
2006.9.29特例金利に反対する会長声明
2006.9.29教育基本法改正に反対する会長声明
2005.9.29共謀罪の新設に反対する決議
2005.7. 1少年法等の一部改正法案に関する会長声明


死刑執行に抗議する会長声明
ttp://www.kanazawa-bengo.com/info/2017/12/post-114.html
1平成29年(2017年)12月19日、死刑確定者2名に対して死刑が執行された。なお、2名とも再審請求中の者であり、このうち1名は、犯行当時19歳の少年だった者である。犯行当時少年だった者に対する死刑執行は、実に20年ぶりの異例のものである。
 日本弁護士連合会が、第59回人権擁護大会(平成28年10月7日)において、「死刑制度の廃止を含む刑罰制度全体の改革を求める宣言」を採択したにもかかわらず、今回、死刑が執行されたことは極めて遺憾である。
2 死刑は重大な人権侵害である
死刑は、生命を剥奪するという刑罰であり、国家による重大かつ深刻な人権侵害である。いかなる理由を付しても、国家が国民の生命を剥奪することは許されない。これは、先の戦争等を通して、私たちが歴史上学んできたことである。
3 死刑には誤判・冤罪の危険性がある
 また、刑事司法制度は人の作ったものであり、その運用も人が行う以上、誤判・冤罪の可能性が常に存在する。そして、死刑は他の刑罰と異なり、全ての根元にある生命そのものを奪うものであるから、一旦執行されると取り返しがつかないことも論を俟たない。
 日本では、1980年代に免田事件、財田川事件、松山事件、島田事件という4件の死刑事件について再審無罪が確定したことを契機に、誤判・冤罪の危険性と重大性が強く認識されるようになった。さらに2014年3月袴田巖死刑確定者の再審開始が決定され、約48年ぶりに東京拘置所から釈放されたことで、私たちは改めて誤判・冤罪の危険性が具体的・現実的であることを認識させられたところである。
4死刑の犯罪抑止効果には疑問がある
 そもそも、死刑制度に他の刑罰に比べ犯罪抑止効果が認められるかどうかについては、長い間論争が続けられてきた。しかし、犯罪抑止効果があることを実証した研究はなく、むしろ多くの研究はそのような効果の存在に疑問を呈しているのが実情である。
 加えて、日本の凶悪犯罪は減少傾向にあり、殺人(予備・未遂を含む。)の認知件数は、1978年から2000件を下回り、2013年以降は1000件を下回っている。殺人発生率(既遂)も人口10万人あたり0.28件であり、218か国中211番目である。すなわち、日本は凶悪犯罪が最も少ない国の一つであり、本来死刑により凶悪犯罪を抑止する必要性は低いと言える。したがって、犯罪抑止効果を理由に死刑存続を主張するべきではない。
5国際的趨勢は死刑廃止に向かっている
死刑の廃止は国際的な趨勢であり、2015年12月末日現在、法律上又は事実上の死刑廃止国は140か国に及び、世界で3分の2以上を占めている。しかも、実際に死刑を執行した国はさらに少なく、2015年の死刑執行国は日本を含め25か国のみである。なお、OECD(経済協力開発機構)加盟国34か国のうち、死刑を国家として統一して執行しているのは日本だけである。
その上、国連の自由権規約委員会、拷問禁止委員会や人権理事会が、死刑執行を停止し死刑廃止を前向きに検討するべきであるとの勧告を何度も行っているにもかかわらず、日本は死刑の執行を繰り返しているのである。
6犯罪被害者・遺族の支援の課題
 犯罪により命が奪われた場合、被害者の失われた命はかけがえのないものであり、これを取り戻すことはできない。このような犯罪は許されるものではなく、遺族が厳罰を望むことは自然なことである。
 しかし、当初は死刑を望んでいたにもかかわらず、実際に死刑が執行されても悲しみは何一つ癒されなかったと述べる遺族も存在する。また、死刑の執行が真の問題解決につながると考えない遺族も存在する。
 上述のとおり、死刑制度から誤判・冤罪の危険性を払拭できないことからすると、遺族の心情を慮ったとしても、結局は、死刑により犯罪者の命を奪うべきではないとの結論に至る。無辜の処罰は、刑事手続に携わる者としては決して看過できない。
 犯罪被害者・遺族に対する支援は、当会を含め社会全体の重要な責務であり、経済的、心理的な支援を通じ、苦しみを緩和するためのシステムを構築することなどにより成し遂げられるべきものである。したがって、当会は、犯罪被害者・遺族に対する支援制度の改善・向上などにも全力を挙げて取り組む所存である。
7 よって、当会は、今回の死刑執行に対し強く抗議するとともに、政府に対し、死刑の執行を直ちに停止し、2020年までに死刑制度の廃止を目指すことを求める。以 上
2017(平成29)年12月19日
金沢弁護士会会長  橋本 明夫


消費者被害と民法の成年年齢の引下げに関する会長声明
ttp://www.kanazawa-bengo.com/info/2017/09/post-111.html
平成29年9月12日
金沢弁護士会
会 長  橋本 明夫
1 声明の趣旨
民法の成年年齢の引下げにより,18歳,19歳の若年者に対する消費者被害を拡大するおそれが高いことから,当会は,現時点において,民法の成年年齢を18歳に引き下げることに反対する。
2 声明の理由
 選挙年齢を20歳以上から18歳以上に引き下げる公職選挙法等の一部を改正する法律が平成28年6月19日から施行されたことを受け,現在,民法の成年年齢を20歳から18歳まで引き下げることが議論されている。
 民法の成年年齢を引き下げた場合における,最も大きな問題は,18歳,19歳の若年者が,未成年者取消権(民法5条2項)を喪失することである。民法では,これら若年者を含む未成年者は,単独で行った法律行為を未成年者であることを理由として取り消すことができる。このため,未成年者が,違法もしくは不当な契約を締結させられた場合,未成年者取消権によって,救済する必要性は極めて高い。
また,消費生活センター等に寄せられる相談において,未成年者取消権を失う20歳になると相談件数が急増することは,未成年者取消権が未成年者に違法もしくは不当な契約の締結を勧誘する悪質な事業者に対する抑止力として機能していることを示している。
さらに,選挙権年齢の18歳への引下げは,18歳,19歳の若年者に国政参加の権利を付与するものであるのに対し,民法の成年年齢の18歳への引下げは,若年者に私法上の行為能力を付与する反面,未成年者取消権という重要な権利を喪失させるものであって,その趣旨を異にすることから,統一する必要はない。
 以上のとおりであるから,若年者を含む未成年者を取巻く消費者被害の現状に鑑みれば,まずはこれら現状に対応する施策の具体化,充実化が検討されるべきであり,そのうえで国民的議論をするという手順を踏むべきである。すなわち,現在,改正が検討されている消費者契約法に関し,平成29年8月8日付け,消費者委員会答申書(府消委第196号)において,付言事項とされている「合理的な判断をすることができない事情を利用して契約を締結させるいわゆる『つけ込み型』勧誘の類型につき,特に,高齢者・若年成人・障害者等の知識・経験・判断力の不足を不当に利用し過大な不利益をもたらす契約の勧誘が行われた場合における消費者の取消権」について,先ずは喫緊の課題として早急に検討されるべきである。
よって,当会は,現時点において民法の成年年齢を18歳に引き下げることに反対する。以上


死刑執行に抗議する会長声明
ttp://www.kanazawa-bengo.com/info/2017/07/post-107.html
1 平成29年(2017年)7月13日、死刑確定者2名に対して死刑が執行された。なお、このうち1名は再審請求中の者であり、再審請求中の者に対する死刑執行は、実に17年半ぶりの異例のものである。
 日本弁護士連合会が、第59回人権擁護大会(平成28年10月7日)において、「死刑制度の廃止を含む刑罰制度全体の改革を求める宣言」を採択したにもかかわらず、今回、死刑が執行されたことは極めて遺憾である。
2 死刑は重大な人権侵害である
死刑は、生命を剥奪するという刑罰であり、国家による重大かつ深刻な人権侵害である。いかなる理由を付しても、国家が国民の生命を剥奪することは許されない。これは、先の戦争等を通して、私たちが歴史上学んできたことである。
3 死刑には誤判・冤罪の危険性がある
 また、刑事司法制度は人の作ったものであり、その運用も人が行う以上、誤判・冤罪の可能性が常に存在する。そして、死刑は他の刑罰と異なり、全ての根元にある生命そのものを奪うものであるから、一旦執行されると取り返しがつかないことも論を俟たない。
 日本では、1980年代に免田事件、財田川事件、松山事件、島田事件という4件の死刑事件について再審無罪が確定したことを契機に、誤判・冤罪の危険性と重大性が強く認識されるようになった。さらに2014年3月袴田巖死刑確定者の再審開始が決定され、約48年ぶりに東京拘置所から釈放されたことで、私たちは改めて誤判・冤罪の危険性が具体的・現実的であることを認識させられたところである。
4 死刑の犯罪抑止効果には疑問がある
 そもそも、死刑制度に他の刑罰に比べ犯罪抑止効果が認められるかどうかについては、長い間論争が続けられてきた。しかし、犯罪抑止効果があることを実証した研究はなく、むしろ多くの研究はそのような効果の存在に疑問を呈しているのが実情である。
 加えて、日本の凶悪犯罪は減少傾向にあり、殺人(予備・未遂を含む。)の認知件数は、1978年から2000件を下回り、2013年以降は1000件を下回っている。殺人発生率(既遂)も人口10万人あたり0.28件であり、218か国中211番目である。すなわち、日本は凶悪犯罪が最も少ない国の一つであり、本来死刑により凶悪犯罪を抑止する必要性は低いと言える。したがって、犯罪抑止効果を理由に死刑存続を主張するべきではない。
5 国際的趨勢は死刑廃止に向かっている
死刑の廃止は国際的な趨勢であり、2015年12月末日現在、法律上又は事実上の死刑廃止国は140か国に及び、世界で3分の2以上を占めている。しかも、実際に死刑を執行した国はさらに少なく、2015年の死刑執行国は日本を含め25か国のみである。なお、OECD(経済協力開発機構)加盟国34か国のうち、死刑を国家として統一して執行しているのは日本だけである。
その上、国連の自由権規約委員会、拷問禁止委員会や人権理事会が、死刑執行を停止し死刑廃止を前向きに検討するべきであるとの勧告を何度も行っているにもかかわらず、日本は死刑の執行を繰り返しているのである。
6 犯罪被害者・遺族の支援の課題
 犯罪により命が奪われた場合、被害者の失われた命はかけがえのないものであり、これを取り戻すことはできない。このような犯罪は許されるものではなく、遺族が厳罰を望むことは自然なことである。
しかし、当初は死刑を望んでいたにもかかわらず、実際に死刑が執行されても悲しみは何一つ癒されなかったと述べる遺族も存在する。また、死刑の執行が真の問題解決につながると考えない遺族も存在する。
 上述のとおり、死刑制度から誤判・冤罪の危険性を払拭できないことからすると、遺族の心情を慮ったとしても、結局は、死刑により犯罪者の命を奪うべきではないとの結論に至る。無辜の処罰は、刑事手続に携わる者としては決して看過できない。
 犯罪被害者・遺族に対する支援は、当会を含め社会全体の重要な責務であり、経済的、心理的な支援を通じ、苦しみを緩和するためのシステムを構築することなどにより成し遂げられるべきものである。したがって、当会は、犯罪被害者・遺族に対する支援制度の改善・向上などにも全力を挙げて取り組む所存である。
7 よって、当会は、今回の死刑執行に対し強く抗議するとともに、政府に対し、死刑の執行を直ちに停止し、2020年までに死刑制度の廃止を目指すことを求める。 以 上
2017(平成29)年7月13日
金沢弁護士会会長  橋本 明夫


司法修習生への経済的支援を内容とする改正裁判所法成立にあたっての会長声明
ttp://www.kanazawa-bengo.com/info/2017/06/post-105.html
【趣旨】
当会は,司法修習生への経済的支援を内容とする裁判所法改正法案が国会で可決・成立したことを歓迎するとともに,政府に対し,①今後も法曹志望者が経済的理由により断念することのないよう制度の検証及び必要に応じた更なる充実化を検討すること,②無給下で司法修習を行った者と,従前の給費又は今後の経済的支援下で司法修習を行った者との間の不公平を是正するための措置を早急に検討すること,③不公平是正のための措置の検討が終了するまでの間修習貸与金の償還を猶予することを求める。
【理由】
1 2017年4月19日,司法修習生に対して月額13万5000円の基本手当を支給すること等の経済的支援制度の創設を内容とする裁判所法改正法案が,衆議院・参議院で可決され,成立した。当会は,当該法案の成立を心より歓迎するとともに,当該法案の成立にあたって尽力された,石川県関係の国会議員,石川県内の賛同団体をはじめ多くの関係者の皆様に,深く感謝を申し上げる。
2 2011年に司法修習生の給費制が廃止されて以降,司法修習生は,大学や法科大学院の進学にあたっての奨学金債務を負担している者も多い中,更なる経済的負担のもとで司法修習を受けて,法曹としてのスタートラインに立たざるを得なくなった。全国の法科大学院入学者は,2010年は4122人であったところ,2016年は1857人にまで減少した。このように法曹志望者が急激に減少した一因として,法曹になるための重い経済的負担があると指摘されてきた。
 当会は,北陸地方唯一の法科大学院である金沢大学大学院法務研究科(法科大学院)も法曹志望者減少の例外ではなく入学者が減少し,地方で法曹を目指すことが一層困難になっているという事実を重く受け止め,日本弁護士連合会及び全国の単位弁護士会,ビギナーズ・ネット等とともに,司法修習生への経済的支援制度の創設を求めてきた。そして,石川県関係の多くの国会議員,石川県内の多くの団体から賛同のメッセージが寄せられたこともあって制度創設への流れは一層加速し,この度の経済的支援制度創設を内容とする改正裁判所法が,衆議院・参議院いずれも全会一致により可決・成立するに至った。
3 新たな経済的支援制度により,法曹志望者の経済的負担は一定程度軽減されることとなる。もっとも,当該経済的支援制度により,法曹志望者が経済的理由によってその道を断念する可能性が一切なくなったわけではない。政府には,制度の内容が,法曹志望者として有為の人材が確保されるのに十分なものであるかを今後も検証し,必要に応じて更なる制度の充実化を検討するよう求める。
4 また,改正裁判所法は,従前の給費制廃止後から新たな経済的支援制度の下での司法修習が開始するまでの6年間に司法修習生となった者(以下「無給修習世代」という。)に対し,何らの措置も講じていない。
 無給修習世代は,全国で約1万2000人,当会会員でも36名にのぼる。無給修習世代の法曹も,給費制下の法曹や,新たな経済的支援制度の下で司法修習を受けて法曹になる者と同様に,日本における司法の担い手としての今後の活躍が期待されるところ,法曹になるにあたって負った重い経済的負担の影響により,必ずしも経済的利益に結びつかない、弁護士の使命である基本的人権の擁護等(弁護士法第1条「弁護士の使命」)のための公益的な活動に制約が生じかねなくなっている。これだけ多くの法曹について経済的負担が取り残されている状況は,単に個々人の法曹が他の法曹と比較して不公平であることにとどまらず,国民のために弁護士が果たすべき使命等の実現に支障をきたすものであり,これは日本の司法にとって重大な問題である。
 加えて,平成30年7月から,給費制が廃止された第65期司法修習生であった者に対する貸与金の返済が始まるところ,返済が始まってしまうと不公平な事態を解消するための方策の制度設計において困難な事態が生じる。
そこで,当会は,政府に対し,無給修習世代が重い経済的負担の影響により司法の担い手として活動に制約が生じないよう,従前の給費制及び新たな経済的支援制度により給付を受ける司法修習生との間の不公平を是正するための措置を早急に検討することを求めるとともに,その検討結果が出るまでの間,無給修習世代が司法修習にあたって借入れた貸与金の償還を猶予する措置を講じるよう求める。
2017年(平成29年)6月15日
金沢弁護士会 会長 橋本 明夫


テロ等組織犯罪準備罪(いわゆる「共謀罪」)法案の廃案を求める会長声明
ttp://www.kanazawa-bengo.com/info/2017/04/post-100.html
当会は,昨年10月14日にテロ等組織犯罪準備罪の新設に反対する会長声明を発したところである。しかし,今般,政府は,「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団による実行準備行為を伴う重大犯罪遂行の計画罪」(いわゆる「共謀罪」。以下,「テロ等組織犯罪準備罪」という。)の新設を内容とする組織犯罪処罰法改正案(以下,「本法案」という。)を国会に提出した。
「テロ等組織犯罪準備罪」の新設を内容とする本法案は,過去3度も国会に提出され,廃案となった「共謀罪」の新設を内容とする法案について,成立要件及び名称を変更したものである。具体的には,犯罪の主体を単なる「団体」から「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団」とし,「組織的犯罪集団」とは「その結合関係の基礎としての目的が別表第三に掲げる罪を実行することにある」団体とされている。また,犯罪の「遂行を2人以上で計画した者」を処罰することとし,その処罰に当たっては,計画をした者の一部が「その計画に基づき資金又は物品の手配,関係場所の下見その他の計画をした犯罪を実行するための準備行為が行われたとき」という要件が付されている。
2 しかし,共謀罪における「団体」との要件を「組織的犯罪集団」と変更した点については,依然として,本来は犯罪の実行を目的としていない団体の一部の構成員が一定の犯罪の共謀を行ったことをもって「組織的犯罪集団」であるとみなされるおそれが強く残っており,共謀罪に関して指摘されてきた問題点は解消されていない。「組織的犯罪集団」の事例として「テロリズム集団その他の」との例示は付け足されたものの,法律案においては第1条の目的においても,第2条の定義においても,「テロ」の文言は入っていないうえ,「その他」という曖昧な文言まで付されており,何ら限定がないのと同じである。
また,一旦,ある団体が「組織的犯罪集団」と認定されると,当該団体の本来の活動のための資金取得行為等が「犯罪を実行のための準備行為」とみなされる危険性が高く,「準備行為」の概念が拡大される危険性も解消されていない。
しかも,「組織的犯罪集団」を「別表第三に掲げる罪」を実行する組織としている点については,依然として277もの多くの犯罪類型が適用の対象となっている。「テロ等組織犯罪準備罪」との名称は,いわゆるテロを取締対象とするもののようにも思えるが,その実態は,到底テロとはいえない多くの犯罪を対象とするものである。また,このように多くの犯罪の準備行為を処罰することは,実行行為を中心に未遂の成立範囲を限定し,予備・陰謀を原則不可罰とする我が国刑法における基本原則と著しく矛盾するのであり,この点についても,共謀罪の問題点は全く解消されていない。
3 さらに,犯罪の「遂行を2人以上で計画した者」を処罰するという本法案の本質は,「合意」を処罰対象とするという共謀罪の本質と全く変わりはなく,通信傍受や監視カメラ等を利用した捜査手法の拡大やそれに伴う捜査権の濫用のおそれ,市民の思想良心の自由,表現・通信・集会・結社の自由などを萎縮させるおそれといった問題点も残されたままである。これらの危険性は,通信傍受についての対象犯罪の拡大や2019年6月までに予定されている暗号技術を利用した特定装置の導入に伴う通信管理者の立会いの省略化によってさらに増幅される危険性がある。
また,具体的な行為を伴わない「合意」を処罰することは,計画に参加したとされる者の供述のみによって無実の者が巻き込まれる危険が高い。
4 我が国では,既に,内乱,外患及び私戦の各予備・陰謀罪,殺人,身代金目的略取等,強盗及び放火の各予備罪,凶器準備集合罪等が規定されており,組織的犯罪集団に関連した主要犯罪は,現行法によっても未遂に至る前から処罰が可能である。また,判例上,共謀共同正犯理論が確立しており,共謀をした者が予備行為に及べば共謀者全員に予備罪の共謀共同正犯が成立することになる。さらに,テロ行為についても,航空機の強取等の処罰に関する法律3条等の個別法で予備罪の処罰規定が存在するうえ,銃砲刀剣類や薬物・化学兵器の所持等を取り締まる実効的規制も存在する。このように,新たな立法をすべき立法事実が存在しないことは,共謀罪の問題点として従来から指摘されてきたとおりである。
5 そもそも,我が国は,国際連合の主要なテロ防止関連条約を13本締結しており,これらに対応する国内法をすでに整備している。他方で,政府が同法案を提出する理由として挙げる国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約は,国際連合のテロ防止関連条約には含まれていない。政府が,過去,共謀罪法案を提出した際にもテロ対策は理由として挙げられていなかったうえ,今回の法律案を閣議決定する前に与党に示された政府案にもテロ対策については言及がなかった。上記諸点にも照らし合わせると,本法案は,従来の共謀罪法案をテロ対策のための法案であると取り繕っているにすぎないというべきである。
6 以上のとおり,テロ等組織犯罪準備罪については,対象犯罪が非常に広範囲にわたること,「組織的犯罪集団」や「準備行為」の概念が拡大されるおそれがあること,そもそも立法事実が存在しないことなど,共謀罪の問題点として指摘されていた懸念がほとんど解消されていないうえ,先般の刑事訴訟法改正により捜査権限の濫用や冤罪の危険がさらに高まっている状況にある。
したがって,当会は,本法案を廃案とするよう強く求める。
2017年(平成29年)4月20日
金沢弁護士会 会長 橋本 明夫


「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律」(いわゆる「カジノ解禁推進法」)の成立に抗議し,廃止を求める会長声明
ttp://www.kanazawa-bengo.com/info/2017/01/post-94.html
1 声明の趣旨
「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律」(いわゆる「カジノ解禁推進法」)の成立に抗議し,廃案を求める。
2 声明の理由
2016年12月15日,「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律」(以下「カジノ解禁推進法」という。)が成立した。
 当会は,2015年9月24日にカジノ解禁推進法案に反対し,廃案を求める会長声明を発出した。2015年4月に超党派の議員連盟によって提出されたカジノ解禁推進法案は,一定の条件のもとで刑法第185条及び第186条で処罰の対象とされている「賭博」に該当する行為を合法化してカジノを解禁するものであり我が国の刑事司法政策に重大な変更をもたらすものである一方,暴力団対策上の問題,マネー・ローンダリング対策上の問題,ギャンブル依存症の拡大・多重債務問題再燃の危険性,青少年の健全育成への悪影響など,看過できない様々な問題点が存したからである。
ところが,2016年11月30日に突如審議入りした法案は,衆議院内閣委員会では約6時間という極めて短い審議時間で採決が強行された。さらに,参議院内閣委員会では,刑法が賭博を犯罪とするなかで民間賭博を認めることの法秩序全体の整合性の点からの問題点も改めて浮き彫りとなったが,同委員会でも十分な審議は行われず,修正案についても修正動議の後わずか数十分の審議で可決された。
カジノ解禁推進法は,我が国で現行刑法制定以前から歴史的に厳に禁止され刑罰の対象とされてきた賭博行為を,一部とはいえ非犯罪化するものであり,また,民間賭博を初めて正面から公認するというものである。この点からも慎重な審議を要するものであるが,今回のカジノ解禁推進法の審議過程は,あまりに短時間で,拙速にすぎるものであった。
また,参議院での採決前に,ギャンブル依存症等の弊害に対応した対策をとることを明らかにする修正が加えられたものの,その内容は抽象的な表現にとどまっており,いかなる対策が講じられるかについての具体的な提案はされていない。
 以上のとおり,カジノ解禁推進法は,当会が指摘していた問題点についての解消策が全く講じられておらず,その審議経過も拙速である。内容にも成立過程にも重大な問題があると言わざるを得ない。
よって,当会は,カジノ解禁推進法の成立に強く抗議し,その廃止を求める。
2017年(平成29年)1月26日
金沢弁護士会 会長 川本藏石


テロ等組織犯罪準備罪の新設に反対する会長声明
ttp://www.kanazawa-bengo.com/info/2016/10/post-91.html
1 今般,政府は「テロ等組織犯罪準備罪」の新設を内容とする組織犯罪処罰法改正案を国会に提出することを検討していると報じられている。
「テロ等組織犯罪準備罪」とは,過去3度も国会に提出され,廃案となった「共謀罪」の新設を内容とする法案について,成立要件を見直し,名称を変更したものである。具体的には,犯罪の主体を単なる「団体」から「組織的犯罪集団」とし,「組織的犯罪集団」の定義を「目的が4年以上の懲役・禁錮の罪を実行することにある団体」とするとのことである。また,犯罪の「遂行を2人以上で計画した者」を処罰することとし,その処罰に当たっては,計画をした者の一部が「犯罪の実行のための資金又は物品の取得その他の準備行為が行われたとき」という要件を付するとのことである。
2 しかし,共謀罪における「団体」との要件を「組織的犯罪集団」と変更した点については,本来は犯罪の実行を目的としていない団体の一部の構成員が一定の犯罪の共謀を行ったことをもって「組織的犯罪集団」であるとみなされるおそれが依然として強く残っており,共謀罪に関して指摘されてきた問題点は解消されていない。
また,一旦,ある団体が「組織的犯罪集団」と認定されると,当該団体の本来の活動のための資金取得行為等が「犯罪の実行のための準備行為」とみなされる危険性が高く,「準備行為」の概念が拡大される危険性も解消されていない。
しかも,「組織的犯罪集団」を「長期4年以上の懲役・禁錮の刑を定める犯罪」を実行する組織としている点は共謀罪から変更されておらず,依然として600を超える極めて多くの犯罪類型が適用の対象となる。「テロ等組織犯罪準備罪」との名称は,いわゆるテロを取締対象とするもののようにも思えるが,その実態は,到底テロとはいえない多くの犯罪を対象とするものである。また,このように多くの犯罪の準備行為を処罰することは,実行行為を中心に未遂の成立範囲を限定し,予備・陰謀を原則不可罰とする我が国刑法における基本原則と著しく矛盾するのであり,この点についても,共謀罪の問題点は全く解消されていない。
3 更に,犯罪の「遂行を2人以上で計画した者」を処罰するという法案の本質は,「合意」を処罰対象とするという共謀罪の本質と全く変わりはなく,通信傍受や監視カメラ等を利用した捜査手法の拡大やそれに伴う捜査権の濫用のおそれ,市民の表現・通信・集会・結社の自由などを萎縮させるおそれといった問題点も残されたままである。これらの危険性は,通信傍受について2016年12月までに実施が予定されている対象犯罪の拡大や2019年6月までに予定されている暗号技術を利用した特定装置の導入に伴う通信管理者の立会いの省略化によって更に増幅される危険性がある。
また,具体的な行為を伴わない「合意」を処罰することは,計画に参加したとされる者の供述のみによって無実の者が巻き込まれる危険が高い。冤罪発生の危険性は,2018年6月までに導入が予定されている協議・合意制度(司法取引)の導入によって,更に高まるおそれがある。
4 そもそも,我が国では,既に,内乱,外患及び私戦の各予備・陰謀罪,殺人,身代金目的略取等,強盗及び放火の各予備罪,凶器準備集合罪等が規定されており,組織的犯罪集団に関連した主要犯罪は,現行法によっても未遂に至る前から処罰が可能である。また,判例上,共謀共同正犯理論が確立しており,共謀をした者が予備行為に及べば共謀者全員に予備罪の共謀共同正犯が成立することになる。さらに,テロ行為についても,航空機の強取等の処罰に関する法律3条等の個別法で予備罪の処罰規定が存在する上,銃砲刀剣類や薬物・化学兵器の所持等を取り締まる実効的規制も存在する。このように,新たな立法をすべき立法事実が存在しないことは,共謀罪の問題点として従来から指摘されてきた通りである。
5 以上の通り,テロ等組織犯罪準備罪については,対象犯罪が非常に広範囲にわたること,「組織的犯罪集団」や「準備行為」の概念が拡大されるおそれがあること,そもそも立法事実が存在しないことなど,共謀罪の問題点として指摘されていた懸念がほとんど解消されていない上,先般の刑事訴訟法改正により捜査権限の濫用や冤罪の危険が更に高まっている状況にある。
したがって,当会は,テロ等組織犯罪準備罪の新設に強く反対する。
2016年(平成28年)10月14日
金沢弁護士会 会長 川本藏石


死刑執行に抗議する会長声明
ttp://www.kanazawa-bengo.com/info/2016/03/post-85.html
第1 趣旨
当会は,平成28年(2016年)3月25日になされた死刑執行(被執行者2名)に強く抗議する。
 当会は,政府に対し,死刑の執行を直ちに停止した上で,死刑制度やその運用状況に関する情報を国民に対して積極的に公開して,死刑制度の廃止に関する全社会的論議を促し,死刑制度の廃止に向けての抜本的な制度の改善を行うよう強く求める。
第2 理由
1 死刑存廃問題の位置づけ
そもそも,死刑は,国家が個人の生命を侵害する刑罰であり,罪を犯した人の更生と社会復帰の可能性を完全に奪い取るものであるから,個人の尊厳を基調とする憲法の理念に照らせば,死刑のない社会が望ましいことは論を待たない。 もっとも,死刑制度の存廃問題は,社会が重大な罪を犯した人に対してどのように向き合っていくのかという社会のあり方を決める重大な問題でもあるから,これには全社会的論議が尽くされなければならない。 われわれ弁護士は,基本的人権を擁護し,社会正義の実現を使命とする者として,死刑のない社会が望ましいとの認識のもと,死刑制度の存廃問題に真正面から取り組んでいく決意である。
2 死刑存廃問題をいま改めて論議すべき社会情勢の変化がみられること    我が国の最高裁判所は,昭和23年(1948年)3月12日判決において,「憲法は,現代多数の文化国家におけると同様に,刑罰として死刑の存置を想定し,これを是認したものと解すべきである。」として,死刑制度を合憲とした。 しかしながら,同最高裁判決から65年以上が経過し,国内外を問わず,死刑制度をめぐる社会情勢に顕著な変化がみられる。 まず,国際的には,死刑廃止に向けた大きな潮流の中で,我が国は数少ない死刑存置国の一つとなり,国連からも死刑廃止を求める勧告を受け続けており,そして,国内においても,平成21年(2009年)に裁判員制度が導入され,死刑判決に一般市民が裁判員として関与する場合もあるから,一般市民も死刑の問題に無関心ではいられない状況にあるといえる。 その意味で,死刑制度存置の是非について改めて全社会的に論議しなければならない時を迎えているといえる。 なお,死刑を法律上又は事実上廃止している国は,昭和23年(1948年)当時,わずか8か国であったが,平成26年(2014年)現在,世界全体の約70%に相当する140か国と急激に増加し,死刑が非人道的な刑罰であるとの認識が全世界的に広まりつつある。とりわけ,OECD(経済協力開発機構)に加盟する先進諸国(34か国)のうち,死刑制度を存置している国は,日本,韓国,アメリカ合衆国のみであり,韓国は,死刑執行を停止する事実上の廃止国であり,アメリカ合衆国も死刑を廃止する州が年々増加する傾向にある中で,死刑を国家として統一して執行するのは日本だけである。このような状況から,我が国は,国際人権(自由権)規約委員会より,平成20年(2008年),「世論調査の結果にかかわらず,死刑の廃止を前向きに検討し,必要に応じて,国民に対し死刑廃止が望ましいことを知らせるべき」と,平成26年(2014年)には,「死刑の廃止を十分に考慮すること」「死刑の廃止を目指して規約の第二選択議定書(死刑廃止条約)への加入を考慮すること」との勧告を受けている。
3 死刑制度やその運用状況に関する情報が広く開示される必要があること
 政府は,平成19年(2007年)12月以降,被執行者の氏名,生年月日,犯罪事実,執行場所について公表するようになったものの,それ以外の情報については依然として明らかにしておらず,死刑存廃問題に関する全社会的な論議をするに足りる情報を開示しているとは到底いいがたい状況にある。このような状況は,とりわけ死刑求刑がなされた刑事裁判に裁判員として参加した市民にとっては,死刑制度に関する十分な情報が与えられないまま究極的な量刑判断を迫られてしまうことを意味する。裁判員に課せられる過重な心理的負担の軽減措置も何ら講じておらず現状をこのまま放置することは許されない。  そこで,死刑制度に関する全社会的論議を促す前提として,また,裁判員裁判との関係においても,政府は,国民に対して,死刑制度やその運用状況に関する情報をできる限り幅広く開示すべきである。そして,このような情報開示がなされて死刑制度に関する全社会的論議が尽くされないうちは暫定的にでも死刑の執行を停止すべきである。
4 えん罪・誤判が事後に判明した場合に取り返しがつかないこと
そもそも刑事裁判においてえん罪・誤判の危険性を完全に払しょくすることは不可能であり,死刑事件についても同様である。とりわけ,死刑は,他の刑罰とは異なり,いったん執行されれば,事後的にえん罪・誤判が明らかとなった場合に取り返しがつかない事態に陥ってしまう刑罰であることを忘れてはならない。 現に,死刑判決が言い渡され,確定したにもかかわらず,再審により無罪となった事件が過去に4件もある(免田事件,財田川事件,島田事件,松山事件)。近時でいえば,死刑事件である袴田事件について,平成26年(2014年)3月27日,静岡地方裁判所は,再審を開始し,死刑及び拘置の執行を停止する判決が下されており,えん罪・誤判の危険は現実のものである。
5 よって,当会は,以上のとおり,会長声明を発出する。 以上


「夫婦同氏の強制及び再婚禁止期間についての最高裁判所判決を受け民法における差別的規定の改正を求める会長声明」
ttp://www.kanazawa-bengo.com/info/2016/03/post-84.html
第1 声明の趣旨 2015年12月16日に言い渡された最高裁判所大法廷判決を受け,当会は,国に対し,民法第750条及び同第733条を含む民法の差別的規定を速やかに改正することを強く求める。
第2 声明の理由
1 2015年12月16日,最高裁判所大法廷は,婚姻の際の「氏の変更を強制されない自由」は憲法上保障されていないこと,夫婦同氏の強制それ自体に男女間の形式的な不平等が存在するわけではないこと,個人の尊厳と両性の本質的平等という憲法第24条の要請に照らして夫婦同氏の強制が合理性を欠くとは認められないことを理由として,夫婦同氏の強制を定める民法第750条は憲法第13条,同第14条,同第24条のいずれにも違反するものではないと判断したが,この判断は是認できない。 夫婦同氏の強制を定める民法第750条は,憲法第13条及び同第24条が保障する個人の尊厳,同第24条及び同第13条が保障する婚姻の自由,同第14条及び同第24条が保障する平等権を侵害し,女性差別撤廃条約第16条第1項(b)が保障する「自由かつ完全な合意のみにより婚姻をする同一の権利」及び同項(g)が保障する「夫及び妻の同一の個人的権利(姓及び職業を選択する権利を含む。)」にも反するものである。  今回の最高裁大法廷判決においても,5名の裁判官(3名の女性裁判官全員を含む。)が民法第750条は憲法第24条に違反するとの意見を述べ,問題となっているのは夫婦同氏の合理性ではなく,それに例外が許されないことの合理性であると指摘した。岡部喜代子裁判官の意見(櫻井龍子裁判官,鬼丸かおる裁判官及び山浦善樹裁判官が同調)は,夫婦同氏の強制によって個人識別機能に対する支障や自己喪失感等の負担がほぼ妻に生じていることを指摘し,その要因として,女性の社会的経済的な立場の弱さや家庭生活における立場の弱さ,事実上の圧力など様々なものがあることに触れており,夫婦同氏の強制が個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚した制度とはいえないと説示している。また,木内道祥裁判官の意見は,夫婦同氏の強制は,憲法第24条にいう個人の尊厳と両性の本質的平等に反すると説示し,「家族の中での一員であることの実感,夫婦親子であることの実感は,同氏であることによって生まれているのだろうか」と疑問を投げかけている。 なお,多数意見は「氏を改めることによって生ずる不利益は,婚姻前の通称使用によって一定程度緩和され得る」とする。しかし,通称は制度として確立されているものではなく,あくまで慣例上の便宜的なもので,使用の拒否,許される範囲等が定まっているわけではない。現在のところ公的な文章には使用できない場合があるという欠陥があるうえ,通称名と戸籍名との同一性という新たな問題を惹起することになる。前述の岡部喜代子裁判官の意見では「そもそも通称使用ということ自体が,婚姻によって変動した氏では,個人の同一性の識別に問題があることを示す証左である」と述べられており,また,木内道祥裁判官の意見も,「法制化がなされないまま夫婦同氏の合理性の根拠と成し得ないことは当然である」と述べ,通称使用を合理的根拠の一つに挙げる多数意見を批判している。
2 一方,女性のみに6か月の再婚禁止期間を定める民法第733条については,最高裁判所大法廷は,100日を超えて再婚禁止期間を設ける部分は合理性を欠いた過剰な制約を課すものとして,憲法第14条第1項及び同第24条第2項に違反するとの判断を下した。 民法第733条を違憲であると判断した点については,一定の評価ができる。しかし,DNA鑑定等が発達した今日,父性推定の重複を避ける目的のためだけに,女性のみに再婚禁止期間を設けることは,その期間を100日間に短縮したとしても必要最小限にしてやむを得ないものとはいえない。
3 法制審議会は,1996年に「民法の一部を改正する法律案要綱」を総会で決定し,男女とも婚姻適齢を満18歳とすること,女性の再婚禁止期間の短縮及び選択的夫婦別姓制度の導入を答申した。また,国連の自由権規約委員会は婚姻年齢に男女の差を設ける民法第731条及び女性のみに再婚禁止期間を設ける民法第733条について,女性差別撤廃委員会はこれらの規定に加えて夫婦同氏を強制する民法第750条について,日本政府に対し重ねて改正するよう勧告を行ってきた。法制審議会の答申から19年,女性差別撤廃条約の批准から30年が経つにもかかわらず,国会は,上記各規定を放置してきたものである。今回の最高裁大法廷判決における山浦善樹裁判官の反対意見も,1996年の法制審議会の答申以降相当期間を経過した時点において,民法第750条が憲法の諸規定に違反することが国会にとっても明白になっていたと指摘している。
4 よって,当会は,国に対し,民法第750条及び同第733条を含む民法の差別的規定を速やかに改正することを強く求める。
2016(平成28)年2月25日
金沢弁護士会会長 西村 依子


死刑執行に抗議する会長声明
ttp://www.kanazawa-bengo.com/info/2016/02/post-83.html
第1 趣旨
当会は,昨年(2015年)12月18日になされた死刑執行(被執行者2名。うち1名は,裁判員裁判を経て死刑が確定した者。)に強く抗議する。
当会は,政府に対し,死刑の執行を直ちに停止した上で,死刑制度やその運用状況に関する情報を国民に対して積極的に公開して,死刑制度の廃止に関する全社会的論議を促し,死刑制度の廃止に向けての抜本的な制度の改善を行うよう強く求める。
第2 理由
1 死刑存廃問題の位置づけ
 そもそも,死刑は,国家が個人の生命を侵害する刑罰であり,罪を犯した人の更生と社会復帰の可能性を完全に奪い取るものであるから,個人の尊厳を基調とする憲法の理念に照らせば,死刑のない社会が望ましいことは論を待たない。 もっとも,死刑制度の存廃問題は,社会が重大な罪を犯した人に対してどのように向き合っていくのかという社会のあり方を決める重大な問題でもあるから,これには全社会的論議が尽くされなければならない。 われわれ弁護士は,基本的人権を擁護し,社会正義の実現を使命とする者として,死刑のない社会が望ましいとの認識のもと,死刑制度の存廃問題に真正面から取り組んでいく決意である。
2 死刑存廃問題をいま改めて論議すべき社会情勢の変化がみられること
 我が国の最高裁判所は,昭和23年(1948年)3月12日判決において,「憲法は,現代多数の文化国家におけると同様に,刑罰として死刑の存置を想定し,これを是認したものと解すべきである。」として,死刑制度を合憲とした。 しかしながら,同最高裁判決から65年以上が経過し,国内外を問わず,死刑制度をめぐる社会情勢に顕著な変化がみられる。 まず,国際的には,死刑廃止に向けた大きな潮流の中で,我が国は数少ない死刑存置国の一つとなり,国連からも死刑廃止を求める勧告を受け続けており,そして,国内においても,平成21年(2009年)に裁判員制度が導入され,死刑判決に一般市民が裁判員として関与する場合もあるから,一般市民も死刑の問題に無関心ではいられない状況にあるといえる。 その意味で,死刑制度存置の是非について改めて全社会的に論議しなければならない時を迎えているといえる。 なお,死刑を法律上又は事実上廃止している国は,昭和23年(1948年)当時,わずか8か国であったが,平成26年(2014年)現在,世界全体の約70%に相当する140か国と急激に増加し,死刑が非人道的な刑罰であるとの認識が全世界的に広まりつつある。とりわけ,OECD(経済協力開発機構)に加盟する先進諸国(34か国)のうち,死刑制度を存置している国は,日本,韓国,アメリカ合衆国のみであり,韓国は,死刑執行を停止する事実上の廃止国であり,アメリカ合衆国も死刑を廃止する州が年々増加する傾向にある中で,死刑を国家として統一して執行するのは日本だけである。このような状況から,我が国は,国際人権(自由権)規約委員会より,平成20年(2008年),「世論調査の結果にかかわらず,死刑の廃止を前向きに検討し,必要に応じて,国民に対し死刑廃止が望ましいことを知らせるべき」と,平成26年(2014年)には,「死刑の廃止を十分に考慮すること」「死刑の廃止を目指して規約の第二選択議定書(死刑廃止条約)への加入を考慮すること」との勧告を受けている。
3 死刑制度やその運用状況に関する情報が広く開示される必要があること
 政府は,平成19年(2007年)12月以降,被執行者の氏名,生年月日,犯罪事実,執行場所について公表するようになったものの,それ以外の情報については依然として明らかにしておらず,死刑存廃問題に関する全社会的な論議をするに足りる情報を開示しているとは到底いいがたい状況にある。このような状況は,とりわけ死刑求刑がなされた刑事裁判に裁判員として参加した市民にとっては,死刑制度に関する十分な情報が与えられないまま究極的な量刑判断を迫られてしまうことを意味する。裁判員に課せられる過重な心理的負担の軽減措置も何ら講じておらず現状をこのまま放置することは許されない。そこで,死刑制度に関する全社会的論議を促す前提として,また,裁判員裁判との関係においても,政府は,国民に対して,死刑制度やその運用状況に関する情報をできる限り幅広く開示すべきである。そして,このような情報開示がなされて死刑制度に関する全社会的論議が尽くされないうちは暫定的にでも死刑の執行を停止すべきである。
4 えん罪・誤判が事後に判明した場合に取り返しがつかないこと
そもそも刑事裁判においてえん罪・誤判の危険性を完全に払しょくすることは不可能であり,死刑事件についても同様である。とりわけ,死刑は,他の刑罰とは異なり,いったん執行されれば,事後的にえん罪・誤判が明らかとなった場合に取り返しがつかない事態に陥ってしまう刑罰であることを忘れてはならない。現に,死刑判決が言い渡され,確定したにもかかわらず,再審により無罪となった事件が過去に4件もある(免田事件,財田川事件,島田事件,松山事件)。近時でいえば,死刑事件である袴田事件について,平成26年(2014年)3月27日,静岡地方裁判所は,再審を開始し,死刑及び拘置の執行を停止する判決が下されており,えん罪・誤判の危険は現実のものである。
5 よって,当会は,以上のとおり,会長声明を発出する。 以 上
2016年2月1日
金沢弁護士会 会長 西村 依子


司法修習生に対する給付型の経済的支援を求める会長声明
ttp://www.kanazawa-bengo.com/info/2016/01/post-82.html
[趣旨]
当会は,国会に対し,司法修習生に対する給付型の経済的支援(修習手当の創設)を内容とする裁判所法の改正を求める。
[理由]
1 司法修習生への給付型の経済的支援(修習手当の創設)については,この間,日本弁護士連合会・当会をはじめ全国の各弁護士会に対して,石川県関係の国会議員を含む多くの国会議員から賛同のメッセージが寄せられているが,先日,同賛同メッセージの総数が,衆参両院の合計議員数717名の過半数である359名を超えた。 まずはメッセージをお寄せいただいた国会議員の皆様に対し感謝の意と敬意を表するものである。 メッセージを寄せられた国会議員は,与野党を問わず広がりを見せており,司法修習生への経済的支援の必要性についての理解が得られつつあるものと考えられる。
2 司法修習生とは,司法試験に合格した者が法曹(裁判官・検察官・弁護士)のいずれの道に進むにあたっても受けなければならない国家による研修(司法修習)の過程にある者である。司法修習生は,法令上,修習に専念する義務(司法修習との兼業は原則として禁止される),修習中に知り得た秘密を守る義務といった公務員に準ずる義務が課されるとともに,国家公務員に準じて給与が支払われていた。 このように,司法修習生が公務員に準ずる身分とされてきたのは,そもそも司法制度が,社会に法の支配を行き渡らせ,市民の権利を実現するための社会的インフラであることから,国はかかる公共的価値を実現する司法制度を担う法曹になる司法修習生を,国家が責任をもって養成するべきである,という理念に基づくものであった。
3 ところが,2011年11月から,司法修習生に対する給費制が廃止され,司法修習期間中に費用が必要な司法修習生に対しては,司法修習資金を貸与する制度(貸与制)に変更された(なお,修習専念義務や守秘義務等の義務は給費の廃止後も存続している)。この司法修習資金の負債に加え,大学や法科大学院における奨学金の債務を負っている司法修習生も多く,その合計額が極めて多額に上る者も少なくない。法曹を目指す者は,年々減少の一途をたどっているが,こうした重い経済的負担が法曹志望者の激減の一因となっていることが指摘されているところである。 当会はこれまで,北陸地方唯一の法科大学院であり「地域に根ざした法曹教育」を理念に掲げる金沢大学大学院法務研究科への支援等を通じて,経済的事情から都市部の法科大学院に進学することができない者も含め,地域における司法の担い手として活躍できる多くの人材の養成に取り組んできた。もっとも同法科大学院も志望者減少の例外ではなく,法曹を目指す者の重い経済的負担が,地方で法曹を目指し,教育を受けることを一層困難にしているのである。 こうした事態を重く受け止め,法曹に広く有為の人材を募り,法曹志望者が経済的理由によって法曹への道を断念する事態が生ずることのないよう,また,司法修習生が安心して司法修習に専念できる環境を整えるため,司法修習生に対する給付型の経済的支援(修習手当の創設)が早急に実施されるべきである。
4 去る2015年6月30日,政府の法曹養成制度改革推進会議が決定した「法曹養成制度改革の更なる推進について」において,「法務省は,最高裁判所等との連携・協力の下,司法修習の実態,司法修習終了後相当期間を経た法曹の収入等の経済状況,司法制度全体に対する合理的な財政負担の在り方等を踏まえ,司法修習生に対する経済的支援の在り方を検討するものとする。」との一節が盛り込まれた。 これは,司法修習生に対する経済的支援の実現に向けた大きな一歩と評価することができる。法務省,最高裁判所等の関係各機関は,有為の人材が安心して法曹を目指せるような希望の持てる制度とするという観点から,司法修習生に対する経済的支援の実現について,直ちに前向きかつ具体的な検討を開始すべきである。
5 当会は,司法修習生への給付型の経済的支援(修習手当の創設)に対し,国会議員の過半数が賛同のメッセージを寄せていること,及び,政府においても上記のような決定がなされたことを踏まえて,国会に対して,給付型の経済的支援(修習手当の創設)を内容とする裁判所法の改正を求めるものである。
2016年(平成28年)1月20日
金沢弁護士会 会長 西 村 依 子


「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」(いわゆる「カジノ解禁推進法案」)に反対する会長声明
ttp://www.kanazawa-bengo.com/info/2015/09/post-75.html
1 はじめに 2013年12月に国会に提出された,「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」は,カジノを含む特定複合観光施設区域の整備推進を目的とし,そのための関係諸法令を整備する基本法的な性格を持ち,一定の条件のもとで刑法第185条及び第186条で処罰の対象とされている「賭博」に該当する行為を合法化し,カジノを解禁するものである。 本法案については,提出当初から様々な問題点が指摘され,議論が紛糾して審議が進まないまま衆議院の解散によって廃案となったが,2015年4月28日に再提出された。しかし,以下の問題点から本法案を容認することは到底できない。
2 カジノ解禁推進法案の問題点
(1)カジノは刑法で処罰対象となっている「賭博」であること 本法案は,刑法第185条及び第186条で社会風俗を害する行為として処罰の対象とされている「賭博」行為そのものであるカジノを合法化して解禁するものである。違法行為の例外を認めることは極めて慎重になされるべきであるところ,後述するとおり,本法案の立法目的である経済活性化については十分な裏付けがあるとは言い難い。
(2)暴力団対策上の問題  暴力団が資金獲得のためカジノへの関与に強い意欲を持つことは容易に想定される。暴力団自身が事業主体となり得なくとも,従業員の送り込み,事業主体の下請,カジノ客に対する闇金融等といった,種々の脱法的方法でカジノ事業及びその周辺領域での活動に参入する危険性がある。
(3)マネー・ローンダリング対策上の問題  我が国も加盟している,マネー・ローンダリング対策・テロ資金供与対策の政府間会合であるFATF(Financial Action Task Force:金融活動作業部会)の勧告において,カジノ事業者はマネー・ローンダリングに利用されるおそれの高い非金融業者として指定されている。我が国にカジノを設けた場合,仮にカジノ事業者に様々な義務を課したとしても,マネー・ローンダリングを完全に防ぐことは極めて困難であると考えられる。
(4)ギャンブル依存症の拡大・多重債務問題再燃の危険性  ギャンブル依存症は,慢性,進行性,難治性の重篤な疾患である。ギャンブル依存症から家族関係が悪化したり,多重債務に陥って犯罪や自殺に至ったりする者も少なくない。もしカジノを解禁すれば,ギャンブル依存症患者が更に増加するおそれがある。  また,近年の様々な多重債務者対策によって多重債務者が激減してきたが,ギャンブルは多重債務の原因の一つであり,カジノの解禁によって沈静化しつつあった多重債務問題を再燃させるおそれがある。
(5)青少年の健全育成への悪影響  合法的賭博が拡大することによる青少年の健全育成への悪影響も座視できない。とりわけ,IR方式(カジノが,会議場,レクリエーション施設,宿泊施設その他と一体となって設置される方式)は,家族で出かける先に賭博場が存在する方式であるから,青少年らが幼少のころからカジノに接することにより賭博に対する抵抗感を持たないまま成長することになりかねない。そのような環境では,青少年の健全な育成に悪影響をもたらすことは明らかである。
(6)経済的観点からの合理性の検証が不十分であること  本法案の立法目的に経済の活性化が掲げられているが,経済効果の有無は十分な検証の上に評価されるべきである。韓国,米国等では治安悪化などを理由にカジノ設置自治体の人口が減少し,あるいは多額の損失を被ったという調査結果も存在するにもかかわらず,経済的なマイナス要因の可能性について,客観的な検証はほとんどなされていない。
3 結論
以上のとおり,カジノ解禁が上記の様々な弊害をもたらすものであるにもかかわらず,本法案の立法目的である経済効果に対する検証が不十分なものである。 よって,当会は本法案に反対する立場を表明するとともに,その速やかな廃案を求めるものである。
2015年(平成27年)9月24日
金沢弁護士会 会長 西村依子


安全保障関連2法の制定に抗議する会長声明
ttp://www.kanazawa-bengo.com/info/2015/09/post-74.html
(趣旨)
当会は,平成27年9月19日に成立した安全保障法制に関する「国際平和支援法」と「平和安全法制整備法」の2法の制定に抗議し,その適用・運用に反対する。
(理由)
1 平成27年9月19日未明,参議院本会議において安全保障法制に関する「国際平和支援法」と「平和安全法制整備法」の2法案が可決され,同法案は形式的には法律として成立した。
2 しかし,このうち「平和安全法制整備法」は,政府がこれまで憲法9条の下では認めることができないとしてきた集団的自衛権の行使を一部容認する内容を含むものであり,立憲主義及び恒久平和主義に反することは明らかである。衆参両議院における公聴会において,元最高裁判所裁判官を含む多くの公述人が違憲と述べ,また,元最高裁判所長官や歴代の内閣法制局長官を始めとする多くの法律家や学者も違憲である旨指摘していることは周知の事実である。 そもそも,国会議員は憲法尊重擁護義務を負っている。したがって,憲法に適合する法律を制定するのが国会議員の職責であり,仮に法案が憲法に適合しない疑いが有力に指摘された場合は,その疑いを払拭するか憲法に適合する内容に修正するのでなければ,廃案にするのが国会議員の職責でもある。違憲の法律を制定することなど,多数決をもってしても許されるはずがない。然るに,今国会においては,衆参両議院を通じて,憲法適合性の審議が不十分なまま,結果として憲法に違反する内容の法律を成立させてしまった。違憲の法律は無効である。したがって,当会は,資格を有する法律家集団として,立憲主義の観点から,このような違憲の法律の制定に抗議し,その適用・運用に反対する。
3 また,集団的自衛権の行使を一部であれ認めなければならないような立法事実(法律の制定・改正の合理性を支える社会的事実等)がないことも,今国会における審議を通じて明白となった。政府は,昨年7月1日の閣議決定において,これまでの憲法解釈を変更して集団的自衛権行使を一部容認する法整備をする必要性について,「パワーバランスの変化や技術革新の急速な進展,大量破壊兵器などの脅威等により我が国を取り巻く安全保障環境が根本的に変容し,変化し続けている状況を踏まえれば,今後他国に対して発生する武力攻撃であったとしても,その目的,規模,態様等によっては,我が国の存立を脅かすことも現実に起こり得る。」との認識を表明していた。しかし,国会における政府答弁によっても,政府がいわゆる存立危機事態として具体的にどのような事態を想定しているのかさえその説明が二転三転し,結局このたびの法整備の必要性については一向に明らかにされなかった。ましてや,今回の安全保障法制は,いわゆる存立危機事態において,実際に自衛隊が集団的自衛権の名の下で武力を行使することが想定されているのであるから,いずれ自衛隊員の中にも命を落とす者,他者の命を奪う者が現れるという重大な事態が予想される。政府は,存立危機事態の認定には,「我が国の存立が脅かされ,国民の生命,自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合」という厳格な歯止めがかかっており,しかも国会による承認という民主的コントロールも受けると説明するが,今般の国会における審議で明らかとなったことは,「明白な危険」の有無は時の政府が総合的に判断するということだけであった。しかも,国会による承認も過半数で足りるとするならば,「明白性」という文言が付されていたとしても,必ずしも十分な歯止めにはなり得ないことは論理上明らかである。したがって,具体的な立法事実が認められない中で,このような曖昧な基準で存立危機事態の認定が可能となる法律の制定を到底容認することはできない。
4 同様に,国際平和支援法や改正国際平和協力法(PKO協力法)においても,いわゆる後方支援や駆け付け警護等の海外における自衛隊の活動範囲が拡大され,かつ,海外での自衛隊員による武器使用等が想定されているが,これらの点について武力行使の一体化等に関する憲法適合性や立法事実の検証,さらにはそのような自衛隊ないし自衛隊員の活動の必要性・相当性,自衛隊員の安全確保等についての議論は甚だ不十分といわざるを得ない。
5  以上のとおりであるから,当会は,今般の安全保障法制に関する「国際平和支援法」と「平和安全法制整備法」の2法の制定に抗議し,その適用・運用に反対し,さらには日弁連と共に,その廃止に向けた取組を行う決意である。
2015(平成27)年9月24日
金沢弁護士会  会 長  西 村 依 子


接見室内での写真撮影に関する東京高裁判決に対する会長声明
ttp://www.kanazawa-bengo.com/info/2015/09/post-73.html
東京高等裁判所は,本年7月9日,東京拘置所の接見室内で,接見中に被告人の健康状態の異常に気づいた弁護人が,弁護活動の一環として証拠保全目的で被告人を写真撮影したところ,拘置所職員から写真撮影を制止され,接見を中止させられたことについて,弁護人の接見交通権や弁護活動の自由を侵害するとして提起された国家賠償請求事件で,国に損害賠償を認めた原判決を取り消し,請求をすべて棄却するとの判決を言い渡した。
 憲法34条前段は,被疑者・被告人(以下,「被告人等」という。)に対し,弁護人から充分な援助を受ける機会をもつことを保障し,このような権利保障のもと,弁護人は,被告人等の刑事手続上の諸権利を実現すべく,誠実に弁護活動を行い,最善の努力をする義務を負うものであって,それにより,正しい刑事裁判が実現されるのである。
 証拠保全のために接見室内で写真撮影(録画を含む。以下,同じ。)をすることは,被告人等が弁護人による充分な援助を受ける機会をもつために最大限に保障されるべき弁護活動に含まれるものであるから,刑事施設等の職員は,逃亡や罪証隠滅の防止といった拘禁目的に具体的な支障が生じない限り,接見や写真撮影等の弁護活動を妨害してはならないものである。
 しかるに,本判決は,単に刑事施設が定めた規律侵害行為があれば,写真撮影を制止し,接見を中断させることができるとし,これらの措置は弁護活動を不当に制約しないと判示したものである。これは,刑事施設等による弁護活動の侵害を安易に許すものであり,到底是認しうる判断ではない。
 刑事施設,留置施設,鑑別所が,撮影機能を持つ機器及び録音機能を持つ機器の持ち込み並びに面会室内における写真撮影を禁止したり,弁護人が接見室内でした録音又は写真撮影画像(録画を含む。)の内容を検査したりすることは,弁護人の秘密交通権及び正当な弁護活動を侵害するものであるが,本判決により,弁護人の誠実な弁護活動が萎縮することが危惧される。
 当会は,本判決に対し強く抗議するとともに,刑事施設,留置施設,鑑別所に対し,接見室内における写真撮影等を禁止するなどして弁護人の弁護活動を侵害することのないよう強く求める。
2015(平成27)年8月27日
金沢弁護士会  会 長  西 村 依 子


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