教団「二次元愛」

リアルワールドに見切りをつけ、二次元に生きる男の生き様 (ニコニコでは「てとろでP」)

韓国でGDP躍進と生活困窮が両立するナゾ

2012-07-09 00:25:59 | 経済/経済/社会
個人的に前からナゾに思っていたことがある。

韓国のGDPはうなぎのぼり。
しかし伝わってくる家計のニュースは生活に困窮するという話ばかり。

どうやったらこうなる?

非常にナゾだった。

それを調べてみたところ、比較的よくわかる資料がみつかった。
↓これである。
以下の話は下記資料からところどころ引用して進める。



ソフトランディングをめざす韓国の家計債務問題
―家計に及んだ不動産市況悪化の影響―
http://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/report/rim/pdf/5726.pdf



韓国のGDPはうなぎのぼり。

これは正しい。
JETROやIMFの資料にもそうある。
物価の上昇分を差し引いてもGDPは成長している。

しかし伝わってくる家計のニュースは生活に困窮するという話ばかり。

これも正しい。
リーマンショックで通貨が異常下落し、しかも今もってして通貨安政策をとっているおかげで、韓国ウォン建ての物価はキチガイじみたほど上がったはずだ。

上記資料にもそうある。
食料品の物価上昇率は年10%、全体でも年5%。
この上昇率がリーマンショック後ずっと続いたとすると、食料品の物価は5割近く上昇したことになる。
たしかにキチガイじみたほど上がったと言っていい。

だが、GDPがその分上昇していればそれでいいはずだ。
労働者の賃金が急上昇すれば物価が急上昇するのは当然である。
韓国の勝組財閥企業の正社員の給料は日本人とそれほど変わらなくなっているというではないか。

しかし!

上記資料によると家計の所得は減少傾向のようだ。

GDPが上昇していることとツジツマが合わない分はどこへ行ったのか?

企業のふところに入ったか。
外貨準備高を積み上げるのに使ったか。
といったところか。

たしかに勝組財閥企業の正社員の給料は増えたのかもしれない。
だが、いずれにせよ総体としては家計には還元されてきていないようだ。
韓国ウォッチャーの間では、韓国での就職活動は勝組財閥企業の正社員になれるかもしくは貧困層となるかの2択しか人生がないと、よくそう言われる。
たしかにその分析は正しいように見える。

しかしそれでもまだ疑問がのこる。

どっかのニュースで家賃が値上げされて生活が苦しいというような話があった。
家賃が値上げになるというのは経済状態が悪い状況ではなかなかおこるものではないと思われるからだ。

上記資料によるとソウルのアパート価格(韓国ではマンションのことをアパートと言う)は上がっていないようだ。
にもかかわらず買い控えがおきているようで、その副作用として賃貸需要が高まっているんじゃないかというようにも読める。

インフレ率が5%で、給料は横ばいで、政策金利は3%で、にもかかわらず不動産価格は横ばい。
若干のデフレ傾向が持続している日本よりも圧倒的に状況が悪い。
これではよほど安くない限り買わないのが正解である。
買い控えがおきているという記事も頷ける。



これはそもそも論に近いものがあるが、そんなに悪性のインフレがはびこっていて庶民は暮らしていけるのだろうか?
食料品の物価は日本と大差ないと聞くが、大丈夫か?

上記資料を見よう。
家計向け信用供与残高のグラフがある。
住宅売買は低迷しているので住宅ローンも増えていないのは当然だが、非住宅ローンがリーマンショック後からすごい勢いで増えている。

住宅ローン以外で家計が銭を借りる事というとマイカーローンや教育ローンもあるが、そんなのの増加分など大したことなかろう。
ようするに庶民は借金して生活していると考えるのが妥当である。

韓国ウォッチャーたちの間でも、庶民は借金して生活しているんだよという話がよく飛び交っている。
これは所得が伸びてGDPが増えて不動産の利用価値が上がれば住宅ローンも増えるんだから当然だろうと今までは考えていたのだが、実は住宅ローンは伸びていなかった(=韓国ウォッチャーの話が正しかった)という。



しかもさらに恐ろしい話がある。
韓国では「担保ローンの多くは満期に一括返済する短期変動金利型である」と書いてある。

これはどう恐ろしいのか?

2008年ごろをピークにはじけた韓国版不動産バブルのときに暴騰価格で出した評価額でそのまま借りていると、これから発生する借り換えで評価割れになるということである。
ようするに銀行が借り換えに応じてくれないということだ。

この方式が住宅ローンの37.3%を占めているという。
これでまだ給料が上がっていたり物価が落ち着いていて貯蓄が可能ならば問題ない。
だが、リーマンショック後の韓国はそうはなっていない。

上記資料によると、世帯収入に対する債務返済の比率が、不動産バブルがはじけた直後からブキミな勢いで増加しつづけている。
これを日本の平成不況のようにみんなで申し合わせてがんばって借金を返済していると考えるのは無理がある。
なぜなら、当時の日本(そして今も)は(元本を減らしていったおかげで)債務返済の比率は下がっていったからだ。
だからこれは所得が増えているより速い速度で元本が増えていると解釈するのが妥当だろう。

上記資料によると不良債権比率は20%くらいある。
これは通常の自己資本比率の銀行ならくたばるレベルではなかろうか。
そして不動産バブル中の乱脈融資で損失を出していた隠し負債が最近になって発覚したということで、いま韓国では貯蓄銀行がバシバシ営業停止になっている最中なのだ。



この傾向が持続したら韓国はどうなるのか?

中流階級以下は全滅する。
いやすでに多重債務スパイラルに落ちてしまっている者が多数いるようにしか見えない統計結果になっている。

ではどうすればいいのか?

財閥がかせいだ銭を家計に再分配するような政策にする以外に解法が無いと思われる。

だから今の韓国では政府は財閥優遇だと非難轟々だし、アキヒロも選挙対策でポピュリズムに走ったのか、だんだん財閥優遇から財閥いじめへとシフトし始めている。
そしてその方法論は見ていると韓国人らしくいじきたないとしか言いようがない。

いちばんカンタンなのは通貨高を放置することだったのだが、今となっては現状が新しい均衡点になってしまっているように見えるフシもある。
たしかにウォンは政府の売り介入によって実力以上に安い値に釘付けになっているのは間違いない。
だが、しかしここのところウォン「買い」介入までしてウォン急落を防いでいる場合があり、もはや庶民にとって都合のいい相場には戻るべくもないと考えたほうがいいような気がする。



韓国を見ていると実におもしろい。
日本とは正反対の意味でダメダメだからである。

この件の教訓は、政府の介入でむりやり通貨安にして輸出企業を優遇すると、資本主義の前提である富の再分配が本来ならば行われるはずだったのだが、なぜかそうならなかった国も日本の隣にはある、そういうことだろう。
中国ですらそうなっていないのにというと、いかに不平等が進行しているのかがお分かりいただけよう。

なぜこうならなかったかというと、韓国は不況のたびに淘汰が進んで勝組の財閥ばかりがどんどん強化されたおかげで、日本とは比べ物にならないほどあらゆる市場で寡占化が進んでおり、国民は平たくボッタクリに合っているからではないかと思われるが、そこまでは本日の分析対象ではない。
それはまたいずれ調べたい。






翌日追記:



【韓国死亡】 韓国で大恐慌発生、個人向け貸し付け100兆 今年一斉に返済期限
http://aresoku.blog42.fc2.com/blog-entry-2663.html



これ、自称を含まない一般的な先進国であれば、単に担保割れのローンだというだけで今すぐどうこうなるものでもない。

しかし韓国でだけはそうではない。
ガチで短期間に大騒ぎになる可能性がある。
なぜかは、ここまで読んだ人ならばおわかりいただけよう。