教団「二次元愛」

リアルワールドに見切りをつけ、二次元に生きる男の生き様 (ニコニコでは「てとろでP」)

バランスの悪さを楽しもう!

2009-05-07 00:00:23 | オタネタ全般
昨今のゲーム、とくにロールプレイングは実にバランスが良い。
サクサク先に進めるし、理不尽に強い敵キャラも出ないし、実に遊びやすい。

しかし!

大変バランスが良いゲームより、絶妙にバランスが悪いゲームのほうが、実はおもしろいのではないだろうか。



絶妙にバランスが悪いというと、やはりファミコン版ドラクエIIをおいて他にないだろう。
ファミコン版ドラクエIIはかなり渋いところが多かった。

たとえば、ムーンペタの町から長い長い陸路を何度も何度も全滅しながら何度も何度も挑戦してドラゴンの角たどりつき、ドラゴンの角でも2~3回は全滅しながら風のマントを手に入れて向こう側の大陸へ行き、ようやく町が見えたかと思いきや敵が強烈に強くて町の目の前で全滅して悔しい思いをし、それでも再挑戦して瀕死の重傷でルプガナの町へ到達したときの感激は、たかがTVゲームなのに言葉には言い表せないほどのものだった。全ドラクエシリーズ中においても1, 2を争う感激であるのは間違かろう。

ほかにも、異常に長いロンダルキアの洞窟で何度も何度も全滅しながら、ループする迷路や隠し落とし穴を奇跡的な幸運で攻略しながら、洞窟を出たあとに敵が強烈に強くなって戦闘のたびに全滅の危機に瀕しながら、1歩づつ敵にエンカウントしないように祈りながら、つぎのスクロールでは町や祠が出てくるように祈りながら、ついに祠が見えて安堵しつつも敵との遭遇におびえながら、そしてかろうじて祠にたどりついたときの感激も饒舌につくしがたい。これも全ドラクエシリーズ中においても1, 2を争う感激であり、ようするにわたしとしては1, 2を争う感激のどちらともファミコン版ドラクエIIで楽しめたと今でも思っている。

スーファミ版だったと思うが、そのドラクエIIもやったことがある。
ファミコン版とは桁違いに遊びやすくなっていてびっくりした。
しかし、逆に最初から最後までおしなべてなんとなく遊べてしまい、イマイチ印象には残らなかった。

サマルトリアの王子も、鉄の槍しか装備できないうえに誰よりも死にやすく、しかもこいつしかザオラルが使えないという踏んだり蹴ったりの状態だったはずなのに、スーファミ版になってからは強力な武器は装備できるわ、死ににくくなっているわ、ムーンブルクの王女がザオリク使えるわで、あろうことかサマルトリアの王子の個性が全然見えなくなってしまった。



他の例でいうと、桃太郎伝説ターボとか。

たとえば・・・
金太郎の村の上のほうには雪国がある。
金太郎の村とその雪国の間には通り抜けられないように山脈が横たわっている。
浦島の村、すずめのお宿2、寝太郎の村を経由しないと本来たどりつけない。
だが、実は1マスだけ通り抜けられる抜け道があり、実はそれらをいきなりスキップしてそっちに行く事も可能なのだ。

しかし何段階かイベントをスルーして先に進むので、敵が異常に強い。
たしか、1回逃げられなかっただけで即死だった気がする。
けれど「なんじゃこりゃー!」とか「ええい!また死におった!」とかブツクサ言いながら、無理矢理ヘンテコな攻略ルートをたどるのが実に楽しい。

ほかにも、さいごのほうの黄泉の塔で何度も何度も死にながら隠れ蓑を大量にかかえて低レベル攻略にチャレンジするのも実に楽しい。
それ以外でも変なことをする要素はいくらでもあった。
ふつうにやればふつうに楽しめるのに、わざわざ変なことをするのが楽しいのだ。

しかし、桃太郎伝説2になり、大変バランスが良くなったかわりに、ほとんどヘンテコな攻略をする要素がなくなった。
変なことをしたというと、せいぜい可能な限り呪文を憶えずにクリアしたとか、金の延棒を無限増殖したとか、そんな程度の記憶しかない。
2のほうが間違いなく良いゲームだったはずなのに、なぜかわたしの記憶のなかでは初代のほうが強烈に遊んだ印象が残っている。



パソゲーにしたってそうだ。
例えばイース。
神殿の奥に行くまえに引き返して廃坑に行き、1激で即死する敵の猛襲に怯えながらもシルバーアーマーを盗って帰ったときのニヤリ感、そしてシルバーアーマー武装により神殿のボスをノーダメージで倒したときのニヤリ感はパソゲー屈指のいい思い出だ。

そして、途中の鎧をろくすっぽ買っていないままダームの塔へ入り、シルバー装備をとりあげられて
「やっべ、オレそれ盗られたら、鎧はプレートメイルしか持ってないじゃん・・・」
とあっけにとられて大苦戦したのもまたいい思い出である。



ここであげたどれも、どちらが良作かというと、どちらとも後世の作のほうがまともな出来になっているから、冷静にかんがえたら比較するまでもなく後世の作のほうが良作だ。
しかしながら、どちらがおもしろかったかというと、それは良作だったほうだとは必ずしも判定できない。

この違いはバランスの悪さを楽しめるかどうかにある気がする。
バランスが良すぎるゲームはなんとなく遊べてしまい、イマイチ印象に残らないまま終わってしまう気がする。

われわれは時にはバランスの悪さを積極的に肯定できる寛容さを持ち合わせるべきだろう。