教団「二次元愛」

リアルワールドに見切りをつけ、二次元に生きる男の生き様 (ニコニコでは「てとろでP」)

アニオタにも負けた不動産屋 (上巻)

2009-03-20 00:01:37 | 経済/経済/社会
このまえ、かなりひどい不動産のセールスマンが現れたので記してみたい。
今回はゼニ勘定の話もからむので、少々小難しくならざるを得ないのを御了承いただきたい。

わたしは会話を記すだけにしようと思うので、彼が悪徳業者なのか単なるおバカなセールスマンなのかの判断は読者に委ねたい。
わたしにも不動産屋さんの知り合いもおり、決して不動産屋さんの大半がこいつのような人物ではないとは断っておこう。

まずその男は、たまたまわたしが家にいた時間に訪問販売のキャッチセールスで現れた。
早い話が賃貸アパート暮らしのヤツらの家を回ってマンションを売りつけようとする不動産屋である。

わたしの部屋には ”おまもりひまり” のポスターは張ってあるわ、床には ”ロザリオとバンパイア” のDVDは転がっているわ、デスクトップの壁紙は ”リリカルなのは” のシグナム姉さんだわ、という、あるいみ目を覆うような惨状(笑)のなか、打ち合わせを開始した。
この不動産屋も入った瞬間にオッと引いた顔をしていたが、なるべく顔には出すまいと取り繕った感じもした。
まさか、こんなタダのアニオタに言い負けるとは思ってもいなかったろう。



男「不動産はインフレ対策にもなるんです」
  (といってパンフレットをめくって)
男「このように、年平均で○%もインフレが進んでおりまして・・・」
俺「ちょい待った! これ何年からの集計?」
男「30年前から最近までの集計です」
俺「それはおかしいでしょ、、、狂乱物価といわれた1960年代のインフレなんかを加味したらとんでもない数字になるのは目に見えているわけだし。
  低成長が確定的となったバブル以降の統計で解釈すべきでしょ」
男「そうかもしれませんね、いまはこれしか資料がありません」
俺「そもそも一昨年はまま好景気だったにもかかわらず地価は17年連続で下落してるけど?
  これ、インフレ対策には全然なっていないよね・・・」
男「なにをいいかげんな事いってるんですか、
  品川なんてすごい勢いでマンション価格上がってますよ?」
俺「品川はJRの車両おきばの再開発って特殊事情だからでしょ(笑)
  東京はまだましなんかもしれんけど、ここみたいなイナカはダメよ」
男「・・・」
俺「・・・」
男「不動産は絶対安全な資産なんです」
俺「REITは絶賛爆下げ中だし、アメリカでは不動産担保証券が紙切れになってるけど、どの辺が安全なの?」
男「日本だけじゃなくて、不動産は絶対安全だというのは世界の常識ですよ?」
俺「日本よりオーストラリアやスペインのREITのほうが値下がり激しいけど?」
男「あなた知識だけ先行してて実際の現場を知らないんじゃないですか?」
俺「小口で流動性の高い証券化商品から手を出すのが正攻法で、いきなり借金しないと買えないような現物から手を出すのはおかしいでしょ?」
男「・・・」

男「豊かな老後をおくるには意外にお金が必要なことにお気づきですか?」
俺「そりゃまあ、収入もないのに支出はあるしねえ・・・」
男「実は老後には月○万円も必要なんですよ」
  (といってパンフレットをめくって)
俺「ちょい待った!」
男「はい?」
俺「学生時代の暮らしっぷりから考えて、こんなに金がいるはずがない。
  この試算は直感的におかしい。
  うちわけを見せてもらおうか」
男「ここの下の表がうちわけでございます」
俺「これはこんなにいらん。
  これもこんなにいらん。
  (中略)
  引退したら月○万円で生活できる自信がある。
  そもそも一人暮らしなんだし」
男「これはあくまでとある機関の見積もりですから・・・」
俺「ではあなたはどう思いますかね?」
男「お客様がそれで生活できるとおっしゃるのでしたら、それが正しいかと」
俺「そのとおり。あなたの持ってきた試算はあてはまらない」
男「・・・」

男「いつかは家を持ちたいと思いませんか?」
俺「勤務地移動や転職のリスクを考えたら買う気は全くない」
男「仮に住めなくなったとしたらどうすればいいと思います?
  みなさん貸しに出して元を取るんですよ?」
俺「借り手がいなかったら持ち出しになるから1か0のハイリスク投資だし、年月がたつにつれて建物がボロくなるぶん不動産価値は下がるんだから、そう都合よくはいかないでしょうに・・・」
男「世界の裕福層の間では不動産で運用するのが最も手堅いというのは常識です」
俺「ワンルームマンションの投資利回り計算したことあるけど、
  リスクの割には利回りは長期国債に比べて話しにならんけどね」
男「家を持っているという満足感は他の何にも変えがたい投資効果を得る事ができます!」
俺「なんだか話が変わってるような気が・・・
  そんなつまらん事で満足しないので、私にとってはそんな何だかよくわからんような投資効果はない」
男「みなさん結婚して子供が生まれたときのことを考えて、
  たとえば3LDKとかの物件を独身のときから検討されるんです」
俺「結婚する気もないのに? なんで検討するの?」
男「いつかは結婚したいと思っているでしょ?」
俺「さあ? しないんじゃない?」
男「・・・」

男「ここは賃貸ですよね?
  毎月家賃を払っているのがもったいないと思ったことはありませんか?」
俺「べつに。そんなもんでしょ」
男「家賃と同じ支払いでマンションを買えるんですよ?」
俺「いらん。会社から少しだけど家賃補助が出ているので、それを上回る投資効果がないと買う必要はないし、計算したことがないけど、とてもそれを上回るとは思えないのでいらない」
男「月○万円でマンションが買えるのは良い買い物だと思いませんか?」
俺「そんなに借金するのは恐ろしすぎるから、どう考えても良い買い物だとは思えん」
男「・・・」

男「一生賃貸にお住まいのご予定ですか?」
俺「さあ? そうなるかもね」
男「賃貸には一生は住めませんよ?」
俺「なぜ?」
男「ふつうは収入がある人しか賃貸契約はできないものです」
男「へー、だったら定年したら一括で中古マンションを買おうかな」
男「では、なぜ今その決断をしないのですか!」
俺「そもそも、こんなところに一生住む気はない」
男「転職か転勤のご予定がおありで?」
俺「転職や転勤の予定はない。
  定年までここに住んでいたとしても、定年後は車が無くても生きていける街に移り住む予定だ。
  だからここには一生住む気はない」
男「それまで住む分でも十分だと思いますよ?
  住んだ後の資産価値も残りますよ?」
俺「そもそも団塊の世代が寿命を迎える20~30年後はいまの住宅事情とは全く異なる状態になっているはずだし、ここみたいに老人がたくさんいるような地方都市では二束三文で土地が買えるようになる可能性も十分ありえると思っている。
  そんな状況のなか、ここで不動産を買って資産価値云々と言われても買う気は全くない。
  だいいち人口減少傾向が鮮明なこんな地方でマンション買っても価値が残るのかどうかはなはだ疑問に思っている。
  まだそれなら大都市の投資用マンションのほうがましだ」
男「実は投資用マンションのご紹介もできます」
俺「ほう?」
男「○○の駅前の新築マンションで、価格は○○万円、家賃は○○万円取れますので、利回りは○%いけます」
俺「高すぎるわ(笑)」
男「そういうお客さんのために、全額ローンでご提供させていただくプランもございます。
  家賃収入だけでローンを返していけますのでお買い得です」
(といって資料を出す)
男「このように、ローン開始時には手元資金は必要ありませんし、ローンを完済したあとにはマンションの価値がまるまる残ります」
俺「えっと、ローン完済時の物件の価値が新築と変わらないのはおかしいでしょ?」
男「いえ、まあ、これはあくまでも概念的なお話でして・・・」
俺「しっかりと具体的な数字で解説されていますが」
男「・・・」
俺「・・・」
男「えっと、キャッシュフローで説明いたしますと、家賃収入が○万円、35年ローンでは月々の支払いが○万円、わずかにプラスで回ります」
俺「なんか直感的におかしいぞ?」
男「と申されますと?」
俺「共益費とか管理手数料とか入っていない気がする・・・。直感的になんかゴマカシが混ざっている気がする・・・」
男「共益費は○円、管理手数料は○円です。」
俺「やっぱり入ってない、ゴマカシだわ」
男「・・・」
俺「空室リスクは?」
男「当社には家賃保証システムがございまして、空室時にも○%の家賃を保証しておりますので、ご心配はありません」
俺「家賃保証の掛け金に相当するものはいくら?」
男「家賃の○%を頂いております」
俺「例えばこの物件の空室率は?」
男「この物件というと難しいのですが、弊社の物件では相場は○%から○%くらいで推移しています」
俺「では空室率も加味した実質家賃はいくらとれるの?」
男「いえ、空室が発生しても家賃保証をいたしておりますので、そういったご心配は発生しません」
俺「そうではなくて、空室になったら家賃保証で○%の収入になるんでしょ? 家賃保証の掛け金も払うんでしょ? で、家賃の期待値はいくらなの?」
男「といいますと?」
俺「じゃ、たとえば、家賃○万円、家賃保証の掛け金○%、空室率○%、家賃保証○%だとして、長時間平均したあとの実際のところの家賃はいくらくらいになるの?」
男「そういったご質問はされたことがないので・・・」
俺「それくらい今すぐ計算できるでしょ」
男「あとで本部のほうに聞いてみます」
俺「本当に買うのを検討することになったとしたら、それくらい自分で計算するから、あなたがたを当てにはしませんよ。
  むしろ本部に聞かないとわからないとか言われたほうが困るんだけど・・・」
男「・・・」



(明日へつづく・・・)