バイユー ゲイト 不定期日刊『南風』

ブルース、ソウルにニューオーリンズ!ソウルフルな音楽溢れる東京武蔵野の音楽呑み屋バイユーゲイトにまつわる日々のつれづれを

明日はボクシング世界タイトルマッチを観なければなりませんよ…

2008-06-11 | ボクシング

えーっと、ボクシングです。

明日、6月12日(木)日本武道館にてプロボクシング、ダブル世界タイトルマッチが開催されます。
『WBC世界バンタム級タイトルマッチ/チャンピオン:長谷川穂積vs挑戦者:クリスチャン・ファッシオ(ウルグアイ)』『WBA世界スーパーフェザー級タイトルマッチ/チャンピオン:エドウィン・バレロ(ベネズエラ)vs挑戦者:嶋田雄大』日本テレビ系で放送です。
皆さん、是非御覧になることをお薦めいたします。本当です。

僕は長谷川選手のファンなので、彼の6度目の防衛戦はとても楽しみです。公言通りにKOで勝って念願のアメリカ進出を果たして欲しいと期待しています。しかし、そこは世界タイトルマッチ。そんなに簡単なわけではありません。今回は自分としては珍しく挑戦者ファッシオ選手についての知識がほとんどないので試合の予想がつきがたくなんとも言えませんが、だからこそ試合が楽しみです。長谷川選手はいつもの華麗なボクシングを見せてくれるはずですし、そのうえアメリカ進出のハードルとしてKOを公言しているのですからどのような試合運びをするのか?興味津々です。

そしてなによりの注目はもう一試合!デヴュー以来23戦全勝全KOの怪物王者バレロに36歳の嶋田選手が挑む一戦です。
このブログでも何度か触れてきたことですが、ボクシングの奥深さや面白さを堪能させてくれる試合には、派手なKOや華麗な技術戦以外に”一見してスピードやパンチ力に劣ると見られる選手”や”凡庸に見える選手が”全ての面で上回ると思われる選手”に対して目には見えにくい形で翻弄し、いつしか自分のペースに巻き込み、同じ土俵に引きずり込んだあげくに破ってしまうというものが有ります。このなんとも納得し難いような不可解な試合結果には度々、敗れた選手が不調だったという解説がつけられることがあります。でもそうではないのです。2本の手のみを使って攻撃し、そのヴァリエーションをギリギリの高みで競っているトップ選手同士の場合、自分の長所を殺されてしまうとあたかも絶不調のような試合をせざるをえなくなってしまうのです。
どんなにパンチの強い選手でも当てられなればどうしようもないし、どんなにハンドスピードの早い選手でもパンチを出そうとするときに相手がスピードの関係ない近距離にばかりはいってきていればそのアドヴァンテージは生きないし、また相手のスローなリズムにあわせてリング内ですごしているうちに知らず知らずのうちに自らもスローテンポになってしまたりするものだ。
世界のトップクラスの選手には昔からこのような選手が存在する。近年では辰吉選手を2度に渡って撃退したダニエル・サラゴサ選手がそうだった。一見非力なガチャガチャのファイターのように見えて、いつしか相手は自分のテンポでパンチを出せる距離にはまったくとどまれなくなってゆき、サラゴサ選手のパンチは当たらないと思っている距離から最短距離を飛んで来てクリーンヒットする。それが試合中に次第に…という時もあれば、辰吉戦のように試合開始直後ということもある。試合開始ゴングと同時に飛び込んだところに不思議なテンポと距離であっさりとストレートを顔面に受けた辰吉選手はそのままペースを奪われ、気力で激しく応戦したが試合中ずっと同じまっすぐを顔面に浴び続けた。そう、距離の錯覚をおこさせることに長けているのかもしれない。そんな選手のボクシングを見ることはボクシングファンの大きな楽しみのひとつではあるのだけれど、現在の日本選手で数少ないそんな存在が今回の挑戦者、嶋田雄大(たけひろ)選手だ。
思えば目立たない選手だった。日本ランク上位にあがってきても冴えない印象だった。なのに勝負強い。決してシャープともいえないし、ハードパンチャーでもない。華麗なテクニシャンでもない。なのに相手のパンチを貰わない、貰っても効かない。一見盛り上がりのないような試合展開の中で小さく自分のパンチをあてていく。世界挑戦間近という選手と戦っても、格上と見られる選手と戦ってもいつもそうだった。それにしてもここまで時間がかかったなと思う。
「嶋田ってけっこうやるんじゃない??」と思われるようになってからでも4年くらいは経っているのではないだろうか?なんといってもデヴュー時、畑山隆則(幻のヨネクラ練習生時代)と同じバイト先で働きながら一緒に練習していたという「先輩」なのだ。
近年は不思議な勝負強さに加え、相手を自分の土俵に引きずりこんだあとは怒濤の強さを見せることも多い。一気に試合を詰めることも覚えたという感がある。36歳での世界初挑戦のため苦労人という言葉を使う人もいるようだが”遅咲き”と呼びたい。

キャリア20年の集大成として挑む相手がウワサの怪物王者ということで不運という声もあるようだが、僕は以前からバレロ選手と嶋田選手の戦うところを見てみたいと思っていました。挑戦者の怪我により急遽巡ってきた代役挑戦。本人もかねてからバレロ挑戦を希望していたし、なにか運命的なものを感じます。
バレロ選手はKOキングと謳われていますが、テクニックのない乱暴なだけのファイターではない。かなりラフなスタイルに見えてその当て勘、細かい技術には驚かされる。なのに、嶋田とやればどうだろう?と思ってしまう。
それは嶋田選手が相手を翻弄しているところを見ていても、なんとなく納得できないような気がする程に不思議だからだ。相手の出方に応じた絶妙の位置取り。距離を少しづつ殺して、自分の当たる角度に修正していっていると思われる泥臭いボディワーク。打ち込まれたときの身体の寄せ方の嫌らしさ。徳山選手の相手の長所を殺すボクシングより更に判りづらい独特のスタイルだと思う。まさかバレロ選手のあのラフなモーションに綻びを見つけられるのか?そしてからめ手により息詰ったところに一気に攻めかかるシーンが見られるのか?まったく想像がつかない期待感でいっぱいです。

…残念ながらこれまで特別熱心な嶋田ファンとはいえなかった自分は「頑張れ嶋田選手!絶対に勝ってくれ!」というようなことを言えたものではありません。なので「嶋田はやってくれるはず!」とも言いませんが

嶋田選手どうか、テレビの前のボクシングファンにボクシングの奥深さ、面白さを体験できるような素晴しい試合を見せて下さい。

とコメントしておきます。

そして大きな怪我なく、できればベルトを巻くところを見たいです。

うーん、バレロ選手もいい選手なんだよなー。

日本テレビ系です。皆さん是非。そして見た後はバイユーへ。
…バイユーでもその時間はテレビタイムの予定です。
一緒に観るというのもいいですね。


Michael Doucetのソロアルバム!

2008-06-11 | 音楽

新着盤華やかな梅雨のバイユーです。梅雨ってバイユーな季節ですねー。蒸し暑くって不快なのもまぁ、これも一回りしてやってきた季節かと思えばなかなかに味わい深いものです。
さて、新着盤です。
遠く南西ルイジアナからやってきました。グレイト・ケイジャンバンド『Beausoleil/ボーソレイユ』のフロントマン、マイケル・デューセのソロアルバム『from now on』です。From_now_onmichael_doucet
もっとも有名なケイジャン・バンドである『ボーソレイユ』。前作は30枚目の記念ライヴアルバム(最高!!)でありました。マイケルのフィドルを中心としたダンサブルで哀愁漂うバンドサウンドにカラリとした南国感がフランスルーツのケイジャンに混ざり込んでいる、大げさ(これみよがし)ではないミクスチャー感覚(死語と言われました)がなんとも魅力的な個性溢れるケイジャン・ロック(?)バンドです。僕はかつてニューオーリンズでライヴを観て以来、新作はチェックするようにしています。
そんなボーソレイユの顔(アルバムによってはボーソレイユというバンド名にMichael Doucetの名前がくっついて表記されているものもあります)のソロアルバムは、とにかく素の手触りの生々しい作品です。ほとんどを自らのフィドルのみか、ギターなどもうひとりのミュージシャンとつくりあげていて、ソロアルバムもソロアルバム…時にデモのような雰囲気さえも漂うプライヴェート感たっぷりの作品です。1曲目はアコースティックギターとフィドルによる『Everything I Do Gonna Be Funky』!…カッコイイです。
とにかく全編ザラリとした感覚でたっぷりと聴かせてくれるケイジャンサウンド。そのスッピン度の高さゆえ、ポップミュージックとしてはあまりに不親切かもしれませんがバイユーゲイトには似合っているように思います。フィドル・ソロ・インストゥルメンタル・ナンバーも多く、万人にお薦めはできないような気もしますが、とても気に入っています。

梅雨を味わうに相応しいルイジアナサウンドかと…。