原 石鼎

一枝の椿を見むと故郷に
 『頂上の石鼎』 深夜叢書刊

うたれ雉子を灯によせて見る霜夜かな    大正9年

2010年02月01日 | 12月・石鼎俳句鑑賞
 猟で撃たれた雉子は霜夜の寒さの中で凛然としているのだ。
生きているときにはマジマジと見ることのできない雉子を我が手中に収めた優越感。
子供たちが宝物を何度も見つめるように作者もうたれ雉子をそっとまじまじと灯に寄せて見つめる。
うたれ雉子は死しても霜夜の凛とした寒さにより際立つように生きているようだ。
雉子の美しい姿態を一種の宝物を得たような恍惚感さえ猟師は得ているのだろう。
寒い霜夜の季語が活きている。
冬の寒さの厳しい中で雉子たちも春を待ちわびていたのであろう。
猟師はその宝物がどのような風貌をしているのか心躍らせる。
猟師の吐く息は白く雉子にまで触れそうになる。
剥製のように固まって動かない雉子だからこそ猟師の顔はそっと雉子に寄りそいながらまじまじと見つめる。
そこにはある種の雉子と猟師の劇場のような空間が想像されていくのだ。
追うものと追われるものとの犯されがたい距離。
その距離をそっと猟師は超えていける時間が流れている。
そこに雉子を得た猟師の苦労を癒し、また厳しい冬の猟へ駆り立てる至福の時があるのだろう。
まるで読者たちまでも猟師の心情を鮮やかに垣間見ることが出来るような俳句の描写の凄みがある。
(豊里友行)
ジャンル:
俳句
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4 コメント

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Unknown (田中)
2010-02-02 16:11:51
そうですかぁ。
子供が宝物を見るようにうたれ雉子を見ているという丁寧な観賞おもしろいです。
もう少し深く突っ込んで風土を観賞されるとおもしろい立派な石鼎俳句鑑賞になると思います。
Unknown (豊里)
2010-02-04 15:28:30
ありがとうございます。
常に精進したいと思います。
Unknown (太郎)
2010-02-09 15:58:10
猟師の気持ちになれる良い鑑賞ですね。
Unknown (豊里)
2010-03-07 14:20:55
太郎さま
鑑賞は難しいです。
常に精進したいと思います。

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