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グラフィティ・ブリッジ ☆プリンス主演映画第3弾☆

2012年04月07日 | プリンス
 90年に公開されたプリンス主演作の第3弾です。そして現段階で、最後の映画制作となっています。そして、もう映画制作をする事はないような気がします。プリンス自身が自費で製作するのなら別ですが。出資するスポンサーがいないような気がします。
 84年の自伝的な映画『パープルレイン』の公開とともに、プリンスは絶頂を極めます。80年代はとてつもないCreativeなパワーで疾走します。
 そして90年代突入し、『パープルレイン』の続編という位置づけの映画『グラフィティ・ブリッジ』とこの映画と同タイトルのサントラでプリンスの90年代の活動が開始されます。組むバンドもレボリューションではなく、ニュー・パワー・ジェネレーションとなります。アルバムには「New Power Generation」というそのまんまのタイトル曲もあり、プリンスの新時代に向けてのメッセージも強く感じます。
 またマイケルとも比較してしまいますが、MJもクインシーと離れ、新たな才能テディー・ライリーを音楽的なパートナーに向かえ90年代のプロジェクトを開始します。プリンスも、MJも90年代に入ると、やはり音楽的なスタイルは変わっていきます。音楽シーンは、多様化、複雑化し、80'Sのようなシンプルな時代ではなくなっていきます。
 さて、『グラフィティー・ブリッジ』にワーナーも出資しますが、正直なとこ、この出来でよくOKを出したなと思います。元々は、プリンスというより、舎弟バンド、モーリス・デイ率いるジャム&ルイスもメンバーのThe Timeを中心に据えた物語が当初のプランだったようですが、ワーナーはやはりプリンスが主役ではない物語に出資する気はなく、原案の手直しを求め、続『パープルレイン』的な物語に変更されたようです。
 87年、モノクロのフランス映画調のプリンス主演2作目の『Under The Cherry Moon』が大コケ。批評家にもボロクソ言われ、プリンスも映画制作に対する自信と意欲を失わされたのではないかと推測します。当時のあまりにもひどい批評を鵜呑みにして、見るのを避けていた『Under---』ですが、この前、25年を経て見たら良かった。最初から期待しないで見たからよかったのかもしれまへんが・・・聞き込んでいた『パレード』の曲との融合も『パープル』以上に絶妙で。プリンスの演技もよかったし、物語としてもよかった。モノクロというセンスというかねらいも感じたし。しかし、一般的にはゴールデンラズベリー賞も受賞した評価の低い映画です。プリンス好きという人も、プリンスの映画3作を見てない人はけっこういる。
 そんなプリンスが、もう一度映画制作の意欲を火をつけたのが89年の『バットマン』のサントラを手がけた事と、『バットマン』でブルースの恋人・ヴィッキー・ヴェールを演じたキム・ベイシンガーとの出会いだったようです。



 元々『バットマン』が好きだったプリンスは、監督のティム・バートンの要望以上の仕事をし、スコア盤とは別にプリンス版バットマン的なアルバムを作ってしまうのです。バットマンのダークな部分に共鳴してたのかも。ここから「BATDANCE」が久々のHot100で1位を獲得。斬新なあの曲でプリンスの健在振りをシーンにも見せつけます。
 おれのFav女優キム・ベイシンガーとプリンスはかなり意気投合したらしい。キムは、プリンスといいエミネムといい才能ある奴にいれこむ傾向がある。プリンス的には、ベイシンガーは好みの顔立ちではないと思われるけど、プリンスも惚れちゃったみたい。
 2人は、音楽的な事から、映画の事からかなり盛り上がったみたいです。
 手始めに、『バットマン』のエンディングにも使われた「スキャンダラス」にキムを招いて製作。さらに『スキャンダラス・セックス・スウィート』とという濃厚なミニアルバムも製作してしまうのです。

スキャンダラス・セックス・スイ
クリエーター情報なし
ワーナーミュージック・ジャパン

 キムとベットの中で作ったと言われるのが納得のセクシャルな問題作です。リアルにベイシンガーの喘ぎ声みたいなのが聞こえる。プリンスのエレキギターが官能的。
 さらに、キムとは、『Hollywood Affair』というアルバムまで作ってしまいます。全編プリンス製作です。後に妻となるマイテも全編Produceをしますが、女性アーティストを全編プリンスcreditで手がけるアルバムって知らない。この事実だけでも、2人の関係が尋常ではなかった事がわかります。ブックレットまでできているCDがありますが、このアルバムが公式に世に出る事はありませんでした。



 そのキムとは、映画制作の話も盛り上がったようで、再びプリンスは映画制作に火がついた感じ。その中で、キムが作品のアイデアをだしたにも関わらず、プリンスがその案を持ち逃げしただしないだで2人の関係はこじれます。『スキャンダラスSEXスウィート』の印税でもめたのも決定的だったようです。またまた契約問題でこじれるプリンス。
 キムは映画のプロジェクトを降り、プリンスとの関係も終わった感じ。この流れでほぼ完成していたキムのソロアルバムも没になります。(といってもけっこうブートで出まわってますが)
 キムが演じる役だった役を、ほぼ無名のイングリッド・シャヴェイズを起用。キッド役にプリンス、そしてライバルのモーリス・デイとそのグループ、The Timeの7人も実名で登場。もちろんその中にジミー・ジャム、テリー・ルイスもいます。タイムの面々は実名で登場。演技しているジャム&ルイスを見るのも新鮮。



 ただこの作品は正直きつかった。90分だけど、なんか最後まで物語に入りきれないんですよね~。『パープルレイン』も見ました。キッドはプリンスが投影された人物で、キッドを中心に周囲の人物像もしっかり描けていた。
 ただ今回は、キッドの苦悩が伝わりにくいんですよね。キャラがうすい。身内映画的な匂いが強すぎて、見てて全然物語の中に入っていけない。逆にどんどん引いちゃんですよね。
 内容は、アップタウンを牛耳ってるモーリスとキッドの対立。キッドは精神性をテーマにした音楽を演奏するが、モーリスは「そんなんじゃ客は来ない。何も変わりはしない」と言って、キッドの所有するクラブのあけ渡しを要求する。その二人の対立の中で、前述のキムの代役となったイングリッド・シャヴェイズ演じる神秘的な女性が重要な役を担い物語が動いていきます。(後にイングリッドもPaiseley Parkからデビューします。彼女は、マドンナのNo1シングル、雰囲気があってセクシーで大好きな「Justyfy My Love」をレニー・クラヴィッツと共作もする)
 


 『GB』はセット感が強い。基本、スタジオに作られたセットの中で物語りは展開する。アップタウンの中に、キッドのグラムスラム他、メイヴィス・スティプル、ジョージ・クリントンらがのオーナーのクラブがあり、吉本新喜劇のような人情劇も展開されるのです(ちょっと違うかっ)ロケのシーンもあるのだけど、その差がはっきりしていて、ストーリの中でもすごく違和感をもってしまった。
 もともとはマドンナを主演にしたミュージカル仕立ての作品を作りたかったそうですが、そういった演出も強く感じます。
 この物語の中で、プリンスのライバルバンド、The Timeは重要な存在ですが、リーダーのモーリスはプリンスと同等かそれ以上の出演時間のような気もします。普段もまんまこのキャラなのかな~。才能集団のこのタイムを統率しているのはこのモーリスなのよね。なにか画面からは伝わらないカリスマ性がモーリスにはあるのかなぁ。タイムのパフォーマンスもかなりあります。この映画を見るとタイムの生パフォーマンス見たくなる。

 
 
 個人的には、大好きなJam&Lewisの演技を見れるのはうれしい。タイムのパフォーマンスもいけてる。ミュージカル風といえば、そう。かなり音楽的なパフォーマンスを強調している作品です。
 そんな中、タイムの連中はモーリスに命じられてキッドへの嫌がらせで、楽器を壊すシーンがあるんですが、あのシーンは、ミュージシャンにはつらいんじゃないかな。プリンスも酷な演出をするぜ。

Graffiti Bridge
Prince
Warner Bros / Wea

 映画のサントラ『グラフィティ・ブリッジ』は聞き応え十分です。全17曲。2枚組みにできるボリュームです。2枚に分けてもよかったんじゃないかなという感じもしなくなないですが、プリンスのメイン曲が8曲。そしてThe Timeが4曲。プリンスの敬愛するジョージ・クリントン、メイヴィス・ステブルス、クインシー・ジョーンズもほれ込む天才少年・テヴィン・キャンベルも参加し、バリエーションに富んだアルバムになっています。
 プリンスはこのアルバムと平行して、6年ぶりのタイムの再結成アルバムの製作もすすめていたと思われます。そのアルバム名は『コーポレイト・ワールド』だったそう。結局、そのプロジェクトは没となり、大半の曲がアルバム『パンデモニアム』に収録され、残りの映画に関わったタイムの曲が『グラフィティー---』に収録されたと思われます。
 ただ個人的には、そんなに好きなアルバムではないです。これまでにない新たなプリンスワールドですが、明らかにこれまで感じてきた80'Sの圧倒的なクオリティーとは違う。(80年後半に作られた楽曲も多数収録)なんか曲が好みでなくてなじめなかった。プリンスとThe Timeの共演も超エキサイティングな出来事なんですが、曲自体はそんなにパワーを感じないというか。ジョージ・クリントンのFUNKも聞けるし、クインシーとプリンスの両方に認められた天才少年ボーカリストの、テヴィン・キャンベル。ゴスペルシンガーの、メイヴィス・スティプルスも熱く歌う。
 一番好きな曲はエンディングでも使われたスピリチュアルなゴスペルソング「Still Would Stand All Time」です。あと80’Sの匂いを残す密室的な「The Question Of U」もいい。この2曲が飛び抜けて好き。
 シングルにもなり、Top10にも入った「Thieves In The Temple」も好みじゃなかった。プリンスのこれまでのシングルと比較しても普通。映画のテーマ的にも重要な曲「エレファンツ&フラワーズ」は映画のパフォーマンスを見て好きになった。
 「Love マシーン」のパフォーマンスにジル・ジョーンズが登場。『パープル』よりもかなり登場してる彼女。彼女の87年のデビューアルバムすごく好きです。彼女のパフォーマンスとVocalも好み。



 でもこの曲ボーカルは、ジルではなくプリンスも2ndアルバムに関わるエリサ・フィオリロ。どうせならジルにも『グラフィティー』で歌って欲しかった。
 サントラでテーマもあるので、プリンスの純粋なソロアルバムとはちょっと感触がちがいますが、プリンスだけの8曲を1枚のCDにして聞くと(実際そうしてるおれ)けっこう純粋なソロ作として聞ける。



 このアルバムでプリンスの90年代が始まります。苦悩 or 迷走の始まりでもあります。MJに対してもそうですが、90年代に入ってプリンスから離れていった人も多い。もともとそういう人は、そんなにプリンス好き、音楽好きではなかったのかもしれませんが。MJに関しては、『Dangerous』で新たなファン層もつかんだ。しかし、93年の虚偽の告発事件を機に離れたファンも多いと思います。MJの楽曲やパフォーマンスのクオリティーがおちた事が原因ではなかった。
 でもプリンスの場合、明らかに80年代に疾走したCreativeなパワーが落ちたと、個人的には思っています。80年代のプリンスは、超Creativeなんだけど、圧倒的にキャッチャーだった。
 『Around』、『パープル』で一気にはまり。さかのぼって『1999』にもノックアウト。『パレード』のパーカッシブビートにやられ、『サイン・オブ・ザ・タイムズ』で多くの人がプリンスの底知れぬ才能に脱帽した。
 90年代のプリンスがあまりなじめないのは、おれの感性の衰えもあると思います。逆に80年代のプリンスがなじめない人だっていると思う。90年代のプリンスはある意味さらに多様化した。90年代には、New Power Generation名義のアルバムも3枚ありますが、NPGでのSOUNDはプリンス名義とまたちがった感触。通常のアーティストだと2、3年に1枚というアルバム発売だと思いますが、NPG等のアルバムや3枚組等のアルバムもいれると1年に1枚よりも短いインターバル。
 ただチャート的にも91年の「クリーム」を最後にHot100での1位シングルは生まれません。やはり大衆の評価はストレートだと思います。そしてなんだかんだ言ってもプリンスも大衆からの評価を求めていた気がします。チャートという客観的な評価を得れなくなり、プリンスの名を捨てたり、やっつけ仕事のようなアルバムを発表したり、迷走していった気がする。結局、思ったようなセールスを生まないのでレコード会社との関係もこじれていった気もする。80年代のように、出せば間違いなく圧倒的な評価を得て売れるアルバムだから、レコード会社もプリンスの無茶ぶりも許容した。しかし売れなきゃ、口出しするでしょうね。
 これまでの作品のクオリティーが高すぎたから、その水準にないアルバムに出会うとその失望感も大きい。アルバムの乱発は、プリンス自身にとってもプラスには動かなかった気がする。
 それでもプリンスでしか感じる事のできないあの素晴らしさをまた味わいたくて、プリンス作品を追い求めてしまうのです。
 なんか最後は『グラフィティ・ブリッジ』とは関係ない締めになってしまいました。『グラフィティ・ブリッジ』ある意味、すごい作品です。おすすめできないけど。 


☆無機質的でけっこう好きです。プリンスは直接的には関わってない感じ。
イングリッド・シャヴェイズ
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☆プリンスが手がけた外部アーティストって正直イマイチなんだけど、ジルはいい!
JILL JONES
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