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映画「イン・ザ・ヒーロー」 顔を出せない俳優たちに敬意を込めた力作

2015年03月03日 19時00分00秒 | 映画・テレビドラマ・漫画
唐沢寿明さんが主演で、種市先輩こと福士蒼汰君が助演の、子ども向けヒーロー実写ドラマのアクション俳優たちの矜持を描いた、観終わった後は確実に爽快感を覚える力作。

「手裏剣戦隊ニンニンジャー」が先月、『222』の忍者の日から放映を始めましたが、この作品は「秘密戦隊ゴレンジャー」以来のスーパー戦隊シリーズ第38作目。
2000年の「仮面ライダークウガ」から再開された仮面ライダーシリーズも、まだまだ製作は続きそう。
「ウルトラマン」シリーズも相変わらず作られていて、アルビレックス新潟が清水エスパルスとデンカビッグスワンスタジアムで戦う日には、新作映画が劇場公開。
これら特撮ヒーローものは今や、北米や欧州の〝オタク〟にも人気のジャパニーズ・クール!

そして新進の人気若手男優が輩出される登竜門的な位置付けとしても、すっかりお馴染みにもなりましたよね。
杉浦太陽君、オダギリジョー君、要潤君、佐藤健(たける)君、松坂桃李君たちなどなど。
女優でも「花子とアン」の高梨臨ちゃんのような例も、少なからずあります。

ところが、特撮ヒーロー作品を"真に"背負っているのは、イケメンの駆け出しの俳優の卵じゃないんですよ。
ヒーローの撮影用アクションスーツを着用して、飛んで跳ねてバク転して格闘するスタントマン スーツアクターが本当の主役。
いくらイケメンの若手を10人20人揃えたって、アクション俳優がいないと、作品は完成できんのです。
でも、スーツアクターも人の子、本音では顔を出して演技をしたいって欲望があるわけですよ。
自分の仕事に矜持を持っているけど、でもやはり顔を晒して芝居がしたい。
そんな葛藤と職への誇りを描いたのが「イン・ザ・ヒーロー」。

有名な逸話だけど、唐沢寿明さんは下積み時代に、仮面ライダーのライダーマン等のスーツアクターして、稼ぎを得ていた人。
役所広司さんのCM「ダイワマン」シリーズで、ダイワマンの恰好で唐沢さんが登場した作品がありましたが、これはセルフパロディ。
そんな唐沢さんが、業界では知らない者はいないスタントマン界の第一人者、生きる伝説の本城渉を演じるという面白さ。

同じく面白いのが、「仮面ライダーフォーゼ」の主人公に抜擢されて、〝今〟がある福士蒼汰君が、特撮ヒーロー番組を『ジャリ向けの番組』とバカにする、でもそのジャリ番に客演することになる、ぽっと出の二枚目俳優・一ノ瀬リョウ役ってところ。
ジャリ番と悪態をついて、スーツアクターも撮影スタッフも同じように低く見ている一ノ瀬を通して、スタントマンたちが、特撮ヒーロー番組制作に携わる人たちが、どんだけ凄くて熱意があって、表現として研鑽を積み、子どもたちに夢を与えようと努力しているのかが追々明らかになっていくとい筋立て。

唐沢さんも福士君も過去に、実体験としてスーツアクション 特撮ヒーローものの仕事をしているから、やはり巧みに演じてんですよね。
全くその経験が無い男優が本城役と一ノ瀬役だったら、失敗作とはいわないまでも非・成功作になっていたんじゃないかな。
というより、この2人がいたからこそ成立し、製作された映画なんでしょう。

生意気な、意気がっている若者が、プロフェッショナルの世界に足を踏み入れて〝大人〟になっていくという展開。
これは、どこかで観たことがあるような、ありふれた流れ。
でもつまらないどころか、どんどん引き込まれていくんですが、そうなったのは我々の知らないスーツアクターの世界を魅力的に描いてくれているから。
日々の肉体鍛錬、立ち回りの付け方、着ぐるみをしたときの視界や息苦しさなどが紹介される度、なるほどねえ、ってなるんです。
どこかの山の中で撮影してるのかと思いきや、普通の街中で、さも山の中で芝居をしているかのように工夫している場面があるんですが、ここには感心しました。
わざわざ遠出して撮影しに行かなくても、カメラの置き方や見せ方で、近場で上手いことロケしてんだ、と目から鱗。

観客がそうであるように一ノ瀬も、特撮アクションの奥の深さを知っていき、やがてジャリ番だという偏見を改めていく…と、あたかも一ノ瀬の成長譚のような印象を受けますが、主役はあくまで本城渉であり、スーツアクターのカッコよさと誇り高さを描写するのが主眼。
ハイライトは、日本で撮影されるハリウッド超大作のスタント場面を、本城が本場香港きってのアクション俳優のスタントマンとして演じる10分以上の場面。

映画の途中途中で、そのハリウッド超大作の撮影風景が挿入されるんですよ。
監督がムチャクチャな演出計画を披露する。
それは、CGもデジタル合成もワイヤーアクションも受け身を取るマットも一切使わず、当代ナンバーワンのアクション俳優が100人の悪者忍者を、最後は火だるまになりながらもバッタバッタとやっつけていくシーンを、カメラを止めずに撮り切りたいというもの。
そのアクション俳優は、いくらなんでも無茶だと尻込みして香港に帰国。

“ははーん、それで本城が代わりに演じるんだな”って簡単に先が読めちゃうわけですが、そのクライマックス場面がなんという圧巻!
再起不能、下手すると死にかねない危険な撮影に臨む本城を助けるべく、スタントマン仲間が集結する場面でまず感動。
そして、いざ本番のアクション撮影の場面。
これで終わったかな、と一息つくけどまだ続く。
唐沢さん本人が役柄の本城同様にノースタントで演じたって話ですが、意識敵に息するのも忘れるほど痺れる10分間。
100人全員を倒し終えた後は、心の中で拍手喝采ですよ。

ところが、実際に拍手した人もいて。
それがしの前に座っていた女性、たぶん福士君のファンみたいですが、拍手を送っちゃって。
それにつられて彼女の友人も拍手。
いやー、でもそうしてしまう気持ち、分かりましたわ。


不思議なことに、傑作の部類に入る「イン・ザ・ヒーロー」なのに、賞には無縁なんですよ。
キネマ旬報ベスト10では相当に下の方。
映画人が選ぶ映画賞である日本アカデミー賞でも無視された形。
だから、DVDレンタルでは是非とも高回転の貸し出しとなってほしいんですよね。

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