映画的・絵画的・音楽的

映画を見た後にネタバレOKで映画を、展覧会を見たら絵画を、など様々のことについて気楽に話しましょう。

銀魂

2017年08月14日 | 邦画(17年)
 『銀魂』をTOHOシネマズ渋谷で見ました。

(1)小栗旬の主演作であり評判も良さそうなので、映画館に行ってきました。

 本作(注1)の冒頭の舞台は、江戸の町。ビルが立ち並び、宇宙船が飛んでいます。
 志村新八(注2:菅田将暉)のナレーションで、「侍の国。それは今は昔のこと」「20年前に、宇宙船がやってきた」「僕らは彼らを天人(アマント)と呼んだ」「かつて、天人を排除しようと攘夷戦争が勃発した」「だが攘夷の志士らは敗れた」「天人は廃刀令を出し、侍は衰退した」。

 次いで、場面はファミレス。
 新八はレジ打ちしていますが、うまく操作ができないので、店長(やべきょうすけ)が「だから違うんだよ」「レジ打ちは、チンパンジーでもできる」と怒ります。
 それに対し新八は、「剣術しか学んでこなかったもので」と言い訳しまが、店長はさらに怒って、「今の江戸じゃあ、剣は何の役にも立たないんだ」と新八を殴ります。
 客のチャトラン星人(注3)が「おやじ、ミルクを」と注文します。
 店長がミルクを2つ用意して、「チャトラン星人様にお持ちしろ」と言うと、新八はそれを持って客席へ。
 すると、近づいてきた新八を、チャトラン星人は足を出してつまずかせ、その拍子にミルクがチャトラン星人の服にかかってしまいます。
 店長は「とにかく謝れ」と新八に言いますが、怒ったチャトラン星人に新八は突き飛ばされてしまいます。

 そこに登場するのが本作の主人公の坂田銀時(注4:小栗旬)。
 新八を突き飛ばしたチャトラン星人に跳び蹴りを食らわせます。
 すると、銀時が腰に刀を差しているのを見た別のチャトラン星人が、「貴様、廃刀令違反だ」と叫びます。
 これに対し、銀時は「木刀ですよ」と答え、さらに「てめえラらが騒ぐからチョコレートパフェがこぼれちまった」「医者に血糖値高いと言われて、週一しか食えねえんだ」と木刀で殴りつけます。
 それから店長に「パフェだけど、コンフレークの割合が高すぎる」「クリームとアイスの割合を高くして」と言って、その場を立ち去ります(注5)。
銀時はスクーターで江戸の町を走ります。
 新八のナレーションが「坂田銀時と言われた男」。
 そして、各国語で表示された「坂田銀時:小栗旬」がテロップで流され、加えて小栗旬の歌までも。

 堪りかねた新八がCGキャラクターとして登場し、「何なんですか?このオープニングVTR。あんたしか出てこないんだ」と怒ると、銀時が「だって主役だから」と答えます。
そこに中国服の神楽(注6:橋本環奈)も登場し、「最後の方は読めなかった」と言うと、銀時は「ハングルとかアラビア文字」と答えます。

 こんなところが本作の初めの方ですが、さあこれからどんな物語が展開されるのでしょうか、………?

 本作は、「週刊少年ジャンプ」連載の空知英秋の漫画を実写化したもの。舞台は江戸幕府末期の江戸。近藤らの「真撰組」と、高杉らの「鬼兵隊」、それに桂や主人公の坂田銀時らが入り乱れて争います。とはいえ、なにしろプロローグ後の本編が、普通にカブトムシを獲りに来た主人公らと、逃げた将軍様のペットのカブトムシを追いかける真選組の連中とが遭遇するというところから始まるくらいですから、後は推して知るべし。まずまず面白いコメディに仕上がっているなと思いました。

(2)本作には、見ていて楽しい場面が色々含まれています。
 例えば、本作の本編が始まると、「カブト狩りじゃー!」と叫んで、銀時と新八と神楽が捕虫網を持って、一緒に森の中に入っていきます(注7)。



 すると、将軍が飼っていて逃げ出してしまったカブトムシの「瑠璃丸」を捜索している「真選組」に出くわしますが、その「真選組」の幹部の格好には呆気にとられてしまいます。
 なにしろ、局長の近藤勲(中村勘九郎)はハチミツでカブトムシを集める作戦をとり、副長の土方十四郎(柳楽優弥)は木にマヨネーズを塗ってカブトムシを呼び寄せようとし、沖田総悟(吉沢亮)はカブトムシの着ぐるみを身にまとってカブトムシを捕まえようとしているのですから!
 特に、褌一つでハチミツを全身に塗って樹木のように立っている中村勘九郎の役者魂には魂消ました。
 こうしたナンセンスなシーンは、原作を知らないクマネズミであっても、想像力で補ったりして随分と楽しめます。

 さらに、飛んでいる黄金のカブトムシ「瑠璃丸」を、銀時らの3人組と真選組が追いかけていると(注8)、桂小太郎(岡田将生)が登場し、何人もの真選組を打ち倒してしまいます。
 ですがその後(注9)、銀時と別れて一人で歩いて橋を渡っている時に、桂は、辻斬り(注10)にいともアッサリと切られてしまい行方不明になります。
 ここらあたりも、実にテンポよく話が進み、なかなか面白く見ることが出来ます。

 とは言え、例えば、上記(1)に記した冒頭部分のあらすじの中でも、最後の方で銀時や新八、神楽がCGキャラクターになって登場する場面になると、どうして面白いのかクマネズミにはよくわかりませんでした(注11)。

 全体的に、本作は、様々の面白い話が沢山盛り込まれている上に、話がポンポンとリズムよく進んでいき、なかなか楽しめる作品なのですが、他方で、なぜ周囲に座っている女の子たちが笑うのかよくわからず、取り残された感じがしてしまうことが何回となくありました(注12)。

 そうはいっても、本作は、ギャグ場面以外にも見どころはあります。
 例えば、銀時と似蔵との2度に渡る戦い(注13)は、どちらもなかなか力のこもった出来栄えではないかと思いました。



 でも、例えば、『るろうに剣心 伝説の最後編』の鋼鉄製軍艦「煉獄」における剣心(佐藤健)と志々雄(藤原竜也)の戦いなどに比べると、クマネズミにはイマイチの感がありました(注14)。

 まあ、あんなこんなながらも、本作は、出演者の張り切りが観客に伝わってくることもあり、総じてまずまず楽しめる作品に仕上がっていると思ったところです。

(3)渡まち子氏は、「名付けて、オールスターキャストの銀魂コスプレ大会。お祭り騒ぎを、つい堪能してしまった」として60点を付けています。
 前田有一氏は、「「これは「変態仮面」を撮った監督が、豪華キャストを使って最初っから無茶苦茶飛ばしまくるシュールギャグ映画なのだ」としっかり認識し、覚悟した上で鑑賞する。これが大事である」として80点を付けています。



(注1)監督と脚本は、『俺はまだ本気出してないだけ』や『HK/変態仮面』の福田雄一。
原作は、空知英秋著『銀魂』(集英社)。

 なお、出演者の内、最近では、小栗旬と長澤まさみと安田顕は『追憶』、菅田将暉は『帝一の國』、柳楽優弥は『許されざる者』、新井浩文は『ブルーハーツが聴こえる』、ムロツヨシは『疾風ロンド』、岡田将生は『秘密 THE TOP SECRET』、佐藤二朗は『幸福のアリバイ~Picture~』、菜々緒は『土竜の唄 香港狂騒曲』で、それぞれ見ました。

(注2)剣術道場・恒道館の跡取り息子。父亡きあと、姉の妙(長澤まさみ)と一緒に恒道館を守っています。本作冒頭のエピソードの後、銀時の「万事屋」に就職。

(注3)茶斗蘭星人。天人に所属。外見は豹。

(注4)「万事屋 銀ちゃん」の主で侍。
 さしずめ現代ならば、『まほろ駅前多田便利軒』に登場する便利屋の多田啓介(瑛太)か、あるいは、そこに転がり込んできた行天晴彦(松田龍平)といったところでしょうか。

(注5)ここまでは、原作漫画第1巻の冒頭部分をほぼなぞっています(電子版の試し読みで見ました)。

(注6)宇宙で最強とされている夜兎族(天人に所属)の少女。万事屋に住み込んで働いています。

(注7)最初の内、新八は「一人で行ってよ」と言い、銀時も「僕達大人なの。純真な心ないのよ」と拒否し、神楽が「いつまでも少年の心を持っているとモテる」とおだてても、「モテなくていい」と動こうとしませんでしたが、カブトムシを売れば相当儲かることがわかると、銀時と新八の態度が一変します。

 なお、“カブトムシ”となると「哀川翔」が思い出され、そうなると『昆虫探偵ヨシダヨシミ』に行き着いてしまいます。

(注8)途中で、新八の姉の妙を見つけると、近藤勲は、カブトムシの追跡から方向転換し、妙の方に向かいます。ですが、妙は竹箒をバットにして、近づく近藤を大空へ“打ち上げ”てしまいます。

 なお、近藤は、後半で宇宙船に乗り込む際に足を踏み外してしまい海中に“落下”します。
 また、大きなカブトムシの着ぐるみを着けている沖田総悟は、神楽に樹木を揺すられると、地面に“落下”します。
 さらに言えば、最後の方で宇宙船から脱出する際に、桂とエリザベス(桂のペット的な存在)と銀時はパラシュートを使って“落下”していきます。
 逆に、宇宙船に設けられた十字架に縛り付けられた神楽は、上空の更に“上方”に引き上げられていると言うべきかもしれません。
 こんなことから、本作は、上下の「垂直運動」の観点から捉えることが出来るかもしれません〔補注〕。ただ、それに対置すべき「水平運動」にめぼしいものが見当たらないため(せいぜい、銀時がスクーターに乗って江戸市中を走り回す姿くらいでしょうか)、いくらそのように把握してもあまり発展性がないようにも思えます。

(注9)銀時と桂が並んで町中を歩く際、銀時が「辻斬りに気をつけて。ズラは、後ろ姿が女みたいだから」と注意すると、桂は「ズラではない。カツラだ」と怒った上で、「辻斬りなんぞに殺られはしない」と答えます。

(注10)後から、岡田似蔵(新井浩文)だとわかります。
 なお、岡田似蔵は、高杉晋助(堂本剛)が復活させてリーダーとなっている「鬼兵隊」に所属し、盲目ながらも居合い斬りの達人。

(注11)特に、神楽がなぜ「これ絶対TBSに怒られる」と言うのか、特に、どうして“TBS”なのか、クマネズミにはわかりませんでした。ですが、ここらあたりがTBSTVの「CDTV」のパロディだとわかると、周囲の観客が笑っていた理由もいくぶんか判明します。

(注12)例えば、平賀源外(ムロツヨシ)が銀時に渡す「ゴムゴムの実」など、漫画『ONEPIECE』を知らないクマネズミには、意味が理解できませんでした。

(注13)最初、銀時は、似蔵が持つ妖剣「紅桜」〔刀匠・村田鉄矢(安田顕)が打った刀〕にやられて重傷を負いますが、2度目は、鉄矢の妹・鉄子(早見あかり)が打った刀で似蔵を倒します。

(注14)この他、高杉晋助が率いる「鬼兵隊」の一員である武市変平太(佐藤二朗)や来島また子(菜々緒)などは、とても愛すべきキャラクターです。



〔補注〕イタリア映画『甘き人生』では、「垂直落下運動」が見られました(同作についての拙エントリの「注19」を参照してください)。



★★★☆☆☆



象のロケット:銀魂

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4 コメント

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Unknown (ふじき78)
2017-08-14 21:42:52
銀魂の笑いは「大人だったら空気を読んでわざわざ踏み込まないようなバカな事をあえてやる」笑いで、各作品のパロディも、「そんなあからさまにパクっちゃいけないでしょー」という体を取って量産してます。
いや、違うか。空気を読まないと言う体を取りながら、マンガや物語の約束事を破壊しているのだな。例えば劇中のエリザベスというキャラに対して「マンガやアニメだといいが実写だとキモイ」みたいなメタなセリフを自然に吐ける。実に堂々としたキャグまんがですね。
Unknown (クマネズミ)
2017-08-15 05:54:44
「ふじき78」さん、TB&コメントを有難うございます。
なるほど。冒頭の「CDTV」のパロディも、本当にTBSは怒るかもしれませんね!そして本作は、きっと「堂々としたキャグまんが」なのでしょうが、残念なことに、なかなかクマネズミごときにはついていけない箇所もありました。
Unknown (atts1964)
2017-08-17 08:32:00
原作を知らない私でしたが、楽しく見れました。環奈ちゃんにあそこまでやらせたのが思い切りがいい。
原作を知っている人にもっと聞きましたが、もっと面白いキャラの能力があるそうで、時間があったらアニメ版も見ても良いかな?と思いましたが。
いつもTBありがとうございましす。
Unknown (クマネズミ)
2017-08-17 21:33:46
「atts1964」さん、コメントを有難うございます。
本作がなかなか面白かったので、原作を読んでみたいと思いましたが、“既刊69巻”と聞いて諦めました。

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