
『ミッション・インポッシブル ゴースト・プロトコル』をTOHOシネマズ渋谷で見ました。
(1)本作は、隅々までアクション映画で、見ている時はそれこそハラハラドキドキさせられ、手に汗を握りますが、見終わった途端に何も残らず消えてしまう感じになります。それでも、135分間食い入るように見させてしまうのですから、大した出来栄えといえるでしょう。
とはいえ、冷戦下では米ソの対立というお誂え向きの状況があって、本作が力を込めて描き出す諜報活動にもかなりのリアリティが伴いましたが、米国の一人勝ちの今の世界では、かっての「スパイ大作戦」とか「007」のようにはいきません。
そこで本作では、強者の世界を築くためには米ソ戦争核戦争を引き起こす必要があるなどと訳の分からないことを主張する狂信的な核兵器戦略家なる者を悪人に仕立てています(要すれば、最早、諜報機関も、国ではなく個人を相手にせざるを得ないのでしょう)。
世界を破壊しようとするその核兵器戦略家のヘンドリクスは、偽の指令をロシアの原子力潜水艦の指揮官の元に入れて、核ミサイルを米国に向けて発射させようとします。
イーサン・ハント(トム・クルーズ)ら4人から成るスパイ・チームは、それを阻止すべく大活躍するというわけです。
さらに、彼らは、ロシア側の捜査官らにも執拗に追跡されます。最初の方でクレムリン宮殿が爆破されますが、ヘンドリクスの仕業にもかかわらず、イーサンらによるものと見なされて。
まあ、こんな背景は本作にとってはどうでもいいことなのでしょう。なににせよ、全世界を破滅に導こうとする極悪人がいるというだけで、あとはいかにギリギリの状況にイーサンが追い込まれるのか、といったことに専らの焦点が向けられるのですから。
でも、いくらインドの富豪が途轍もない資金を蓄えているにしても、一実業家に過ぎない者が購入した旧ソ連の軍事衛星を使って、偽の指令をロシアの原子力潜水艦に入れるというストーリーは、個人が絡んだ事件ですから仕方がないにしても、スケールが小さすぎるのではという気がしてしまいます。
それでも、トム・クルーズらは、核ミサイルを発射させるのに必要な情報を記した文書を奪うために、なぜかその文書の取引が行われるドバイに行き(注1)、世界一の高さのビル、ブルジェ・ハリファ(地上828m)で相手側と戦うわけですが、確かにその場面は、物凄い迫力がありました。

なにしろ、劇場用パンフレットに掲載のProduction Notesによれば、特殊な手袋(ゲッコー・グローブ)で窓をよじ登ったり、ビルの壁を上から地面に向かって走り降りたりといったスタントを、トム・クルーズはスタントマンを使わずに自分でこなしたというのですから驚きです。
登場する俳優陣は、トム・クルーズ以外もなかなか豪華です。
途中までは単なる分析官と思われていましたが、実は同じ諜報員のブラントを演じるのは、『ハート・ロッカー』で主役を好演したジェレミー・レナーで、その俊敏な身のこなしはさすがと思わせます。

女性諜報員を演じるポーラ・パットンは、『プレシャス』の教師役が凄く印象的でしたが、こうしたアクション物でも上手く嵌っています(注2)。

核兵器戦略家のヘンドリクスを演じるのは、『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』でジャーナリストのミカエルに扮したミカエル・ニクヴィスト。敵役は実質的に彼一人なので大役ですが、なかなか大物振りを発揮しているのではないでしょうか。
(2)ギリギリのところまで迫った世界核戦争阻止を巡ってのスパイの活躍というと、昨年の夏に見た『ソルト』がすぐさま思い出されるところです。お話の概略や醸し出す雰囲気が似ているのもそのはず、『ソルト』は、元はトム・クルーズがやるはずだったところ、彼が降板したために、アンジーにお鉢が回ってきたとのことですから!
例えば、『ソルト』では、ギリギリまで追い詰められたソルトが、高層マンションの窓を伝って逃亡するシーンが映し出されますが、本作においても、クレムリン宮殿爆破の煽りで傷を負ってロシア側に捕らえられたトム・クルーズが、病院の窓伝いに逃亡します(注3)。
とはいえ、『ソルト』の場合、CIAにおけるアンジーの上司がロシアのスパイであり、アメリカの核兵器を使って世界に向かって核攻撃をするという計画を実行に移そうとしますが、本作の場合は、ヘンドリクスは、逆にロシアの原潜のミサイルを作動させてアメリカ本土に核攻撃を仕掛けるという計画をたてています。
また、いずれの計画もスパイ達の人間離れした活躍で阻止されますが、『ソルト』では、主にアンジー個人が動き回るという従来型のところ、本作の場合、4人の諜報員の力がまとまって発揮されて計画が阻止されるという描き方となっています。
といっても、チームのリーダーであるトム・クルーズの活躍に注目してしまうのは、『ソルト』でアンジーに目が釘付けとなるのと同じですが!
(3)映画評論家はこの映画に対して好意的なようです。
テイラー章子氏は、「何の役にも立たないのだけど、痛快で面白い。この映画、一見の価値がある」として85点もの高得点を付けています。
また、樺沢紫苑氏も、「テーマ的な深さはありませんが、何もも考えず楽しめるアクション映画ということで、ときらはこういう映画を見て、スッキリするのもいいでしょう」として80点を付けています。
さらに、渡まち子氏も、「ハリウッドのトップをひた走る“最後の大スター”クルーズは、演技にアクションに、プロデュース業にと、八面六臂の大活躍だ。49歳の今も変わらず、白い歯がまぶしいハリウッド・スターは、観客を楽しませるため、本気で映画に取り組んでいる。エンタメ映画の王道を生真面目に行く本作、掛け値なしに面白い」として75点を付けています。
(注1)ドバイでは、物凄い砂嵐の中をイーサンがヘンドリクスを車で追いかけるシーンがありますが、この画像で見ると、実際にも大変な砂嵐があることが分かります。

(注2)彼女は腹に銃弾を受けますが、なぜかスグにその傷は癒えてしまっています。
(注3)劇場用パンフレットによれば、「ビルの突き出た棚からジャンプし、近くの電線を滑り降り、走行中のヴァンの屋根に飛び降りて、無事に地面に降りる」というシーンは、「本編全部のスタントと同じくクルーズ自身が演じたもの」とのこと。
★★★☆☆
象のロケット:ミッション・インポッシブル ゴースト・プロトコル
(1)本作は、隅々までアクション映画で、見ている時はそれこそハラハラドキドキさせられ、手に汗を握りますが、見終わった途端に何も残らず消えてしまう感じになります。それでも、135分間食い入るように見させてしまうのですから、大した出来栄えといえるでしょう。
とはいえ、冷戦下では米ソの対立というお誂え向きの状況があって、本作が力を込めて描き出す諜報活動にもかなりのリアリティが伴いましたが、米国の一人勝ちの今の世界では、かっての「スパイ大作戦」とか「007」のようにはいきません。
そこで本作では、強者の世界を築くためには米ソ戦争核戦争を引き起こす必要があるなどと訳の分からないことを主張する狂信的な核兵器戦略家なる者を悪人に仕立てています(要すれば、最早、諜報機関も、国ではなく個人を相手にせざるを得ないのでしょう)。
世界を破壊しようとするその核兵器戦略家のヘンドリクスは、偽の指令をロシアの原子力潜水艦の指揮官の元に入れて、核ミサイルを米国に向けて発射させようとします。
イーサン・ハント(トム・クルーズ)ら4人から成るスパイ・チームは、それを阻止すべく大活躍するというわけです。
さらに、彼らは、ロシア側の捜査官らにも執拗に追跡されます。最初の方でクレムリン宮殿が爆破されますが、ヘンドリクスの仕業にもかかわらず、イーサンらによるものと見なされて。
まあ、こんな背景は本作にとってはどうでもいいことなのでしょう。なににせよ、全世界を破滅に導こうとする極悪人がいるというだけで、あとはいかにギリギリの状況にイーサンが追い込まれるのか、といったことに専らの焦点が向けられるのですから。
でも、いくらインドの富豪が途轍もない資金を蓄えているにしても、一実業家に過ぎない者が購入した旧ソ連の軍事衛星を使って、偽の指令をロシアの原子力潜水艦に入れるというストーリーは、個人が絡んだ事件ですから仕方がないにしても、スケールが小さすぎるのではという気がしてしまいます。
それでも、トム・クルーズらは、核ミサイルを発射させるのに必要な情報を記した文書を奪うために、なぜかその文書の取引が行われるドバイに行き(注1)、世界一の高さのビル、ブルジェ・ハリファ(地上828m)で相手側と戦うわけですが、確かにその場面は、物凄い迫力がありました。

なにしろ、劇場用パンフレットに掲載のProduction Notesによれば、特殊な手袋(ゲッコー・グローブ)で窓をよじ登ったり、ビルの壁を上から地面に向かって走り降りたりといったスタントを、トム・クルーズはスタントマンを使わずに自分でこなしたというのですから驚きです。
登場する俳優陣は、トム・クルーズ以外もなかなか豪華です。
途中までは単なる分析官と思われていましたが、実は同じ諜報員のブラントを演じるのは、『ハート・ロッカー』で主役を好演したジェレミー・レナーで、その俊敏な身のこなしはさすがと思わせます。

女性諜報員を演じるポーラ・パットンは、『プレシャス』の教師役が凄く印象的でしたが、こうしたアクション物でも上手く嵌っています(注2)。

核兵器戦略家のヘンドリクスを演じるのは、『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』でジャーナリストのミカエルに扮したミカエル・ニクヴィスト。敵役は実質的に彼一人なので大役ですが、なかなか大物振りを発揮しているのではないでしょうか。
(2)ギリギリのところまで迫った世界核戦争阻止を巡ってのスパイの活躍というと、昨年の夏に見た『ソルト』がすぐさま思い出されるところです。お話の概略や醸し出す雰囲気が似ているのもそのはず、『ソルト』は、元はトム・クルーズがやるはずだったところ、彼が降板したために、アンジーにお鉢が回ってきたとのことですから!
例えば、『ソルト』では、ギリギリまで追い詰められたソルトが、高層マンションの窓を伝って逃亡するシーンが映し出されますが、本作においても、クレムリン宮殿爆破の煽りで傷を負ってロシア側に捕らえられたトム・クルーズが、病院の窓伝いに逃亡します(注3)。
とはいえ、『ソルト』の場合、CIAにおけるアンジーの上司がロシアのスパイであり、アメリカの核兵器を使って世界に向かって核攻撃をするという計画を実行に移そうとしますが、本作の場合は、ヘンドリクスは、逆にロシアの原潜のミサイルを作動させてアメリカ本土に核攻撃を仕掛けるという計画をたてています。
また、いずれの計画もスパイ達の人間離れした活躍で阻止されますが、『ソルト』では、主にアンジー個人が動き回るという従来型のところ、本作の場合、4人の諜報員の力がまとまって発揮されて計画が阻止されるという描き方となっています。
といっても、チームのリーダーであるトム・クルーズの活躍に注目してしまうのは、『ソルト』でアンジーに目が釘付けとなるのと同じですが!
(3)映画評論家はこの映画に対して好意的なようです。
テイラー章子氏は、「何の役にも立たないのだけど、痛快で面白い。この映画、一見の価値がある」として85点もの高得点を付けています。
また、樺沢紫苑氏も、「テーマ的な深さはありませんが、何もも考えず楽しめるアクション映画ということで、ときらはこういう映画を見て、スッキリするのもいいでしょう」として80点を付けています。
さらに、渡まち子氏も、「ハリウッドのトップをひた走る“最後の大スター”クルーズは、演技にアクションに、プロデュース業にと、八面六臂の大活躍だ。49歳の今も変わらず、白い歯がまぶしいハリウッド・スターは、観客を楽しませるため、本気で映画に取り組んでいる。エンタメ映画の王道を生真面目に行く本作、掛け値なしに面白い」として75点を付けています。
(注1)ドバイでは、物凄い砂嵐の中をイーサンがヘンドリクスを車で追いかけるシーンがありますが、この画像で見ると、実際にも大変な砂嵐があることが分かります。

(注2)彼女は腹に銃弾を受けますが、なぜかスグにその傷は癒えてしまっています。
(注3)劇場用パンフレットによれば、「ビルの突き出た棚からジャンプし、近くの電線を滑り降り、走行中のヴァンの屋根に飛び降りて、無事に地面に降りる」というシーンは、「本編全部のスタントと同じくクルーズ自身が演じたもの」とのこと。
★★★☆☆
象のロケット:ミッション・インポッシブル ゴースト・プロトコル

















拙いエントリをお読みいただき、感謝申し上げます。
まさにおっしゃるように、『007私を愛したスパイ』のストロンバーグのみならず、例えば『007ロシアより愛をこめて』でも、第三の犯罪組織「スペクター」が絡まってきますから、「007」は総じて本作と類似する構図といえますね。
ただ、冷戦時代のように、英ソとか米ソといった国家が事前に対立している構図は、本作では、取り敢えずは前提とされてはいないように見受けましたので(ロシアの特別捜査官も、クレムリン爆破の真犯人が判明すると引っ込みますから)、エントリ本文のように書いてみたところです(とはいえ、誤解を招くような拙い表現で恐縮です)。
あっての成果だと感服するばかりです。
ただ、コメントは5ですからTB以上に発展しないもどかしさがあります。交流を求める派と拒む(筆不精)派
が混ざるのは仕方ありませんが、日本のブログの限界でしょうか。ブログは自己を飾るファッションですね。
それにしても出演者の経歴を披露するなどたくさんの映画を観ての解説に目を見張りました。
それに、役者はタフでないと務まりませんね。
あとは精密度があがったぶん故障具合への改良のみ???。
ベンジーの技術力のさらなる向上及びチームの成長も観たいので、またミッションを実行してくれることを願います☆。
おっしゃるように、クマネズミのブログにあっては、他の方のブログに比べてコメントがかなり少ないように思います。
でも、開き直ったようで恐縮ながら、世の中で多数行われているコメントは、むろんいただいたら甚だ嬉しいものの、有体に言えば本来的なものから離れてしまっているのではないか、とも思っています。
というのも、クマネズミには、掲載してあるエントリの中身についてのコメントが本来的なものであり、取り上げた映画について、エントリの中身から離れて一般的・概論的になされるおしゃべりは、付け足しのように思えるからなのですが。
それに、取り上げた映画が面白かったのかどうかなどということは、エントリにも通常書き込まれていることであって、わざわざコメントでさらに議論すべき必要もないようにも思われるところなのですが。
とはいえ、ブログの当初の成り立ちからすると、そうしたチャットめいたことの方が本来的なものだったのかもしれませんが。
さらにWikipediaで調べると、Geckoは英語でヤモリを意味する語だとあり、なるほどと納得してしまいます。
きっと更なる改良を加えて、次なるミッションで使われることでしょう!