paradise city <takuya fukushima>

天国なんか、どこにもないぜ

欧州紀行:バルセロナ編・7

2010-05-09 | 欧州紀行
6日

起床後、監督仲間の坪川さんの日記などチェック。韓国のチョンジュ映画祭に参加中で、松永さんも行っている。松永さんはフランクフルトで一緒で、チョンジュのあとここバルセロナに来る予定。もうすぐ会えるだろう。

3日の上映を見て大ファンになったとfacebookにメールを送ってきたカルラという女子大生がいて、返事書いたら盛り上がって会うことになった。昼間のほうが時間取れるので観光に同行してもらうことにして、その子と佐久間さんと合流。
ホテル前で待ち合わせ、サグラダファミリア行きたいから案内を頼む。
と言っても佐久間さんは何度も言ってるので行きたいの俺だけなのだけど、カルラはとにかく俺と話したかったらしくすごくテンション上がっている。
facebookの写真よりかわいいのでこっちもテンション上がったが、とにかくよくしゃべる。英語堪能なのだけど早いし文法むちゃくちゃだし何を言ってるかよくわからない。一緒に地下鉄に乗ってサグラダ・ファミリアまで行く途中しゃべり続けた彼女のアワーの感想で聞き取れたもの抜粋。

○映像も音楽も物語もすばらしくて、そのすべてがつながっていて、とにかくパーフェクトだった。
○見終わって完全にアワーにフォーリンラブした。自分でも驚いている。
○私は本当は歌手とかアーティストとかそういうタイプの人は嫌いなのだけど、あなたのことが知りたくてネットで調べた。こんな気持ちになったのは初めて。
○facebookであなたを見つけたときは興奮した。しばらくしてからあなたから返事がきて本当に驚いた。
○『PRISM』という映画をすごく見たいのだけどスペインで売ってるのか。
○うまく感想が言えないし、映画の感想を言うのは好きじゃない。でも本当にすばらしい映画だった。

というようなことを超ハイテンションでずっとしゃべっている。とてもうれしい。が、なかなか会話できない。だって早いしずっとしゃべってるんだもん。

とかだらだらしてたら地下鉄は駅に到着。
で、地上に出て振り返ったら、ドーン!!
そこにサグラダファミリアがあった。
…クレイジー。
とにかくその一言に尽きる。
ガウディというおっさんは、とんでもなくサイケでロックでクレイジーな男だったのだろう。
これを見ればもう観光の必要はない。それくらいお腹いっぱいになる物体だった。
チャーチでしかも巨大な楽器でもあるなんて、アタマどうかしてる。
すごい男が世界にはごろごろいるのだ。

カタルーニャ広場に戻り、映画祭ディレクターとは別のカルロスという人と待ち合わせ。
彼はアワー音楽の関口の友人で、バルセロナ在住のミュージシャン。
Johny Priceというかなりかっこいいバンドのギターとサックス担当でもある。5年前に俺の短編『the point(2,8,16)』でも、サックスで参加してもらっている。でも会うのはこれが初めて。

ずっとやかましいカタロニア人ばかりと会っていたので、カルロスの物腰柔らかくておっとりして優しい感じに癒される。むちゃくちゃいい人だ。

カルラに調べてもらって4人でうまいパエリヤを食いに行く。
カルロスは今はスタジオを経営していて、音楽から少し離れて脚本のようなものを書いたりしているらしい。

食後カルラは大学に戻り、サングラス買いたいと言ったらカルロスが安いところを案内してくれる。その後彼の行きつけの穴場カフェへ。バルセロナとは思えない静けさで、とてもいいところ。さすがカルロス。こういう人は間違わない。

コーヒー飲んでから少し散歩した後カルロスと別れ、佐久間さんとホテルで一杯飲んだ後CCCBへ移動。『OUR BRIEF ETERNITY』2度目の上映である。

平日18時開始というのが、今度は逆に早すぎるようで、20人くらいしかお客さん来ない。かなり焦る。
しかし開始時間が近づくにつれ徐々に増え、最終的には100人どころじゃない人数のお客さんが来てくれた。トムもローザもグラハムも来た。
ほかの友人もいっぱい連れてきてくれた。筆坂さんもいる。ありがたい。

またカタロニア語で挨拶して、上映スタート。少しトラブルがあったが、そんなのは映画祭の常識なので気にしない。ディレクターのほうのカルロスやスタッフが詫びに来るが、ノープロブレムだと答える。

上映中、インターネットテレビ局の取材を受ける。せっかくなので佐久間さんも同席。おしゃれ図書館みたいなとこで収録。どこで放送するのかよく知らないけど。

取材が終わり、会場の広場で泉が好きだった赤マルボロ吸いながら物思いに耽る。

これで一段落だ。
帰国後は新たな日々が待っている。
東京での公開に向けて休む暇もないだろう。
生活も立て直さなければならない。
でも、ようやくここまで来た。
これでよかったのだろう。
どこの時点から振り返ればいいのかわからないが、たぶん何一つ間違ってなどいないのだろう。
この孤独を受け入れることができるようになったのだから。

マルボロの味は、日本にいるときよりやわらかい気がした。

上映が終わり、質疑応答へ。
前回よりもさらに白熱し、かなり時間も延長して、非常に盛り上がった。
終わってからはサイン攻め。その中の数人は、たどたどしい日本語で「エイガ、トテモ、ヨカタデス。サイン、オナガイ、シマス」みたいな感じで来てくれて微笑ましい。
日本映画の大ファンのブルームという青年がいて、今まで見た日本映画の中でアワーがベストだと言ってくれる。うれしい。
トムたちも本当に満足してくれていて、彼らはミュージシャンということもあり、特に音楽がすばらしいと感想をくれた。
そのほか、全部よかったけど撮影が一番よかったとか、それぞれが一生懸命たどたどしい英語で感想をくれる。アワーを見た興奮と情熱を感じる。これを感じるために、俺はここまで来たのだ。

こうして、俺の欧州ツアーの目標は達成された。
あとは帰国まで、本当の休日を過ごすだけだ。

グラハムたちと近くの広場でビール飲む。そこでもいろいろ話す。
その後、オフィシャルのカクテルパーティへ。映画祭関係者とスポンサーなど集めた超セレブパーティ。いろんな人と知り合えて楽しかった。

さらに映画祭御用達のバーで二次会。とにかくみんなよくしゃべる。
特にジェリーがハイテンションで大ハッスル。フィリピン人のくせにカタロニア人なみにしゃべる。

テレサがディスコに行こうというので夜中3時くらいから行くことに。
しかし例によってヨーロッパのディスコというかクラブというのは基本ダサくて、みんなダンスむちゃくちゃヘタ。その間にいつでもハイテンションなジェリーのスーパープレーでテレサが実は彼氏いないことがわかり俄然やる気が出るが、いろいろ疲れたしツンデレでめんどくさいし俺もツンデレだし特に何もなくそのまま終了。

長い一日が終わった。

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