カネサダ番匠ふたり歩記

私たちは、大工一人、設計士一人の木造建築ユニットです。日々の仕事や木材、住まいへの思いを記していきます。

岐阜県の民家と言えば・・

2010年02月07日 | 家のこと
飛騨、美濃地方には私たちの心を捉えて離さない家々があります。





飛騨の民家と言えば、世界中の人びとが白川郷の合掌造りを思い浮かべるでしょう。
合掌造りは極めて屋根勾配のきつい茅葺屋根なのですが、一方で極めて屋根勾配のゆるい板葺石置屋根の家が存在します。





これらの家の分布はかなり広範囲です。
東西には北アルプスの麓の旧上宝村から高山、旧清見村、旧河合村にかけて、南北には旧高根村、下呂、旧金山町にかけて広がり、その南限が私たちの住む郡上にまで及んでいます。

それぞれの村では独自の構造や意匠が発達していて、どれも目を見張るものなのですが、基本的な建て方はほぼ共通しています。
まず、屋根の勾配が緩いこと。茅葺屋根の矩勾配(かねこうばい、45°以上)、瓦屋根の4〜5寸勾配(25°前後)に対して2.5寸〜3.2寸勾配(15°前後)とかなり緩くなっています。屋根を支えるための登り梁がたくさん掛かっています。

勾配が緩いのはどうしてか分かりますか?葺き板が風で飛んでいかない様に石を重しに載せるのですが、勾配がきついと石が屋根から転げ落ちてしまうからです。また、雪おろしの時の安全のためでもあります。





2階建てですが、ほとんどがツン建ち(つんだち、総二階のこと)です。そして軒の出がかなり深い(1.5メートル前後)のですが、雪や雨から建物を守るためです。深い軒は夏には風を呼び込む役割も果たしているんですよ。

2階部分は低いですよね。これはその空間を養蚕に利用したためです。もともとは平屋建て(1階建て)であったのが、養蚕が江戸時代後半に普及するにつれ、2階部分が発達していったものです。日本の民家(町屋は別として)は人が住むために2階に部屋を設けた例は少なかったのです。イロリの煙にいぶされていると燻製になってしまいますしね・・。





いろいろな家を見て歩いてみると、個々の家で間取りや規模の違いこそあれ、構造や意匠は全体的あるいは地域ごとに整然と共通性を持っています。それは屋根の葺き材や壁土や材木といった素材選びにも同じことが言えます。
そして地域の気候風土や当時の人びとの生活そのものに直結していたいう当然のことを今改めて知って、家づくりの何たるかに思いを馳せています。

さて、私たちの住む郡上にもこれらの家々が数多く残っているのですが、郡上だけにしか見られない特長を備えており、わたしたちはこの郡上ならではの造りに魅入られています。
出登り造りと呼ばれるのですが、カネサダ番匠では今年この家を建てようとしています。順次これらのことは紹介していきますね。おたのしみに〜。




ジャンル:
岐阜県
キーワード
日本の民家 北アルプス
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2 コメント

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Unknown (尼助丸)
2010-02-23 18:20:49
美しい。

更新、楽しみにしています。
美しさの基 (カネサダ)
2010-02-26 23:19:11
尼助丸さん、ありがとうございます。
昔の家って、構造が意匠に直結していて、その無駄のなさが美しさを作り出していますよね。わたし達も何とかそれに近づきたい、と思っています。
またいろんなこと紹介しますね。

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